○次元俳句005・裏01(空間)・橋間石(※間は門に月)
俳人は裏を見るのが大好きです。物の裏もそうですが、裏の視点から観ることも得意です。
○「裏側をゆくとき遅し走馬燈」(『和栲』1983)(橋間石01)(※間は門に月)
○季語(走馬燈・三夏)
【鑑賞】:走馬燈の光の絵は動物が描いてあったりしますが、表よりも裏をゆく光が遅く感じられる、という意味です。まさしく石の発見ですが、大発見ではありません。これぐらいの「小発見」こそが俳句向きです。「そういえばそうかなあ」と読者の共感を誘います。
○橋間石(※間は門に月)(はしかんせき)(1903~1992)
○好きな一句「階段がなくて海鼠の日暮かな」(『和栲』1983)02
○季語(海鼠・三冬)
【Profile】:石川県金沢市出身。句作は1932年から始め、1949年「白燕」を創刊、主宰。大学教授にして英文学者。1984年、81歳で「和栲(にぎたえ)」により第18回蛇笏賞受賞、88年、85歳で詩歌文学賞受賞。
↓
橋間石(※間は門に月)掲載句
03雪ふれり生まれぬ先の雪ふれり(『和栲』1983)(雪・晩冬)〈次元23・誕生以前(時間)2〉 2010/12/26
04縄とびの端もたさるる遅日かな(『和栲』1983)(遅日・三春)〈次元32・端(空間)1〉2011/2/27
05春の水まなこ開けば昏れいたり(『卯』1978)(春の水・三春)〈五体38・まなこ2〉2011/4/26
06白魚のまぼろしや傘ひらくとき(『卯』1978)(白魚・初春)〈色彩119・白21〉2013/3/6
07なみなみと熱湯はこぶ夕牡丹(『卯』1978)(夕牡丹・初夏)〈特集532・いろは俳句(な)〉2021/5/28
08黄濁の川鳴る胸に万年筆(『無刻』1957)(無季)〈色彩667・黄濁1〉2024/9/23