切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

チョコレートと森茉莉と…。

2006-02-14 02:00:51 | お富、味道
「バレンタインもたんなるチョコレートの日だったらよかったのに…」と長年思っていた甘党のわたしは、バレンタインデーの支持率が案外低いことを知って、ちょっと嬉しかった。だいたい、バレンタインネタの歌だって、国生さゆりのバレンタインなんとかと大滝詠一の「ブルー・ヴァレンタインズ・デイ」くらいしか思い出せないし、映画とか小説もさっぱり思いつかない。だけど、チョコレートということなら…、というわけで思い出したのが、わたしの愛してやまない森茉莉のことだ。

OLの7割「なくなって」 バレンタインデー調査 (共同通信) - goo ニュース

「もしマリリン・モンロー本人が遊びに来てくれたら 二人で腹ばいに寝ころんで、チョコレートを食べたい」と思っていたという森茉莉は、その著書『ドッキリチャンネル』のなかで、「父は飲むチョコレエト、私は齧るチョコレエを、好きな、チョコレエト父娘だった。」といっている。

森茉莉の父・森鴎外はお茶漬けに饅頭を入れるほどの甘党で、本郷の青木堂で買った舶来のチョコレートを溶かしては、夏は冷たくして飲んでいたそうだけど、わたしもじつは「飲むチョコレート」が大好き。

ヨーロッパのカフェのメニューによくある「ショコラ」は、日本で言えばいわゆるココアなんだろうけど、わたしにいわせれば、まったく似て非なるもの。冬の朝に飲む、熱~いショコラは体が暖まるし、頭もシャキッとする。

パリではルーブル近くの「アンジェリーナ」というお店のショコラ・アフリカンというのが昔から有名だけど、わたしにはちょっと甘ったるくて、サンジェルマン・デュ・プレのカフェ・フロールで出してくれるショコラを、朝、静かな2階の席で飲むのがささやかな楽しみだった。

ところで、森茉莉が日常よく食べていたのは、安い「森永ミルクチョコレート」だったらしいんだけど、「贅沢というものは 高価なものを持っているということではなくて、贅沢な精神を持っていることである。」(『ほんものの贅沢』より)と断言している森茉莉を見習って、安いチョコレエト(!)を齧りながら、高貴な夢でも見れるくらいじゃないと修行が足りないってことなんですよね、きっと。

だいたい、森茉莉の「贅沢貧乏」って、めちゃくちゃ貧乏生活してるくせに、「贅沢だ」って言い切っちゃうひねりがミソなんだろうし…。

というわけで、とりとめもない話でした。

森茉莉と歌舞伎(過去の記事)


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2 コメント

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贅沢さ (fortheday)
2006-02-15 19:44:44
一番簡単に満たせるのは、精神なんですかね。

でも一番難しいのかも知れませんね。

いつでもポジティブだったらり、小さなことでも感謝する心があれば

贅沢な日々をおくれるんですかね。
返信する
贅沢って何だろう? (切られお富 )
2006-02-16 01:38:26
こんばんは。



森茉莉の華麗な文章を読むと素晴らしい彼女の安アパートの様子も、群ようこの本で読むとトンデモない部屋だったことが分かりますが、きっと彼女は幸福のうちに死んでったんだと思います。(というか、そう思いたい!)



私の住んでるところも相当凄いですが(笑)、根が楽天的なのと、好きなものに囲まれている幸福感で、まあまあ「贅沢貧乏」への道を突き進んでいるかなとは思います。



これでもうちょっと旅にいければ、もっと幸せなんだけど…。



それと、いい芝居を観たときは幕見でも「嗚呼、贅沢!」って思ったりするなァ~。
返信する

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