どのブドウが早熟でどのブドウが晩熟なのか?直感で早いメルロ程度はわかるものの、相対的かつ客観的な比較結果など知らなかった。新興ブドウ生産国では、土地の気候に合わせて品種を選ぶ必要があり、こういった研究が必要となるのであろう。私も日本で何の品種を造るかを考えているのだが、こういった研究はとても参考になる。
114種のブドウをほぼ同一環境で生育させて、発芽、開花、成熟の日を分類している。アメリカの生食ブドウなども対象に含まれている一方、アルバリーニョやメンシア、テンプラニーリョは対象にはいっていない。生食用はコルドン仕立てだが、ワイン用はhead trainとある。
収穫日で馴染みのある主な品種を見ると次の通り。マスカット・ハンブルグは生食用とワイン用で大きく異なっているのは仕立て方の違いによるもののようだ。ガメイが2種類あるが、違いは明記されていない。クローン違い?全体的に冷涼地の品種の収穫が早く、温暖な気候では収穫がおそくなることがわかる。
日本の場合、秋雨前線が発達したり台風が到来するのが9月中旬~下旬、その前に収穫を済ませて雨水を吸った水っぽいワインになることは防ぎたい。まさにメルロは早熟で秋雨以前の可能性が高い。ピノ、シャルドネをはじめとする冷涼品種も早熟なため秋雨のリスクは少ないが、温暖気候の品種(カベルネ、マタロウ、グルナッシュ、トゥーリガ)などはリスクが上昇する。ポルトガルのトゥーリガが晩熟に入っていると、アルバリーニョやメンシアも晩熟の懸念がある。
まず、早いものは次の通りで、冷涼品種が目につく
- -18日:マスカット・ハンブルグ(生食用)
- -17日:メルロ
- -16日:ゲヴェルツ
- -13日:シルヴァーナ
- -12日:シャルドネ、ガメイ(ボジョレ)、マスカット・ブラン
- -11日:ピノ・ブラン
- -9日:ピノ・ノワール
平均辺りの品種は、
- -7日:リースリング
- -6日:カベルネ
- -5日:フルミント
- -4日:アリゴテ、マスカット・アレキサンドリア
- -3日:マルベック
- -2日:パロミノ
- +1日:ミッション
- +2日:セミヨン、シュナン
- +3日:グルナッシュ
- +5日:トゥーリガ、マスカット・ハンブルグ(ワイン用)
- +9日:ガメイ?
- +10日:カリニャン、マタロウ
- +14日:ジンファンデル
遅い品種は、
- +16日:シャスラー(ドール?)
- +19日:トカイ?
- +31日:フォル・ブランシェ
- +43日:レフォスコ
出典:G.N. McIntyre, L. A. Lider and N. L. Ferrari, 1982, American Journal of Enology and Viticulture Vol 33, No. 2 「The chronological classification of grapevine phenology」