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最新判例紹介

2015-11-22 | 法律の情報
最高裁平成27年11月20日第2小法廷判決
【裁判要旨】遺言者が自筆証書である遺言書の文面全体に故意に斜線を引く行為が民法1024条前段所定の「故意に遺言書を破棄したとき」に該当し遺言を撤回したものとみなされた事例

赤のボールペンで、遺言書に大きく斜線を入れた行為が遺言書の破棄に該当するということです。
テキストには、遺言書を火に投げ入れるなどという事例が載っていると思いますが、
それと同じ扱いになるということですね。

その理由として、
最高裁は、
「本件のように赤色のボールペンで遺言書の文面全体に斜線を引く行為は,その行為の有する一般的な意味に照らして,その遺言書の全体を不要のものとし,そこに記載された遺言の全ての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当である」
と述べています。

Yahoo!ニュース

最高裁平成27年11月19日第1小法廷判決

【裁判要旨】保証人の主たる債務者に対する求償権の消滅時効の中断事由がある場合であっても,共同保証人間の求償権について消滅時効の中断の効力は生じない

最高裁は、
「民法465条に規定する共同保証人間の求償権は,主たる債務者の資力が不十分な場合に,弁済をした保証人のみが損失を負担しなければならないとすると共同保証人間の公平に反することから,共同保証人間の負担を最終的に調整するためのものであり,保証人が主たる債務者に対して取得した求償権を担保するためのものではないと解される。」
と述べています。










不動産登記令等の改正に伴う登記申請書記載例

2015-10-27 | 法律の情報
やっと出ました。
法務省のホームページにアップされました。
不動産登記法のあたらしい登記申請書の記載例です。

例の
「会社法人等番号で、資格証明書が要らなくなるよ」っていう改正に対応した書き方です。

11月2日施行なのに、おかしいなと思っていましたが、
ギリギリですね。
個人的には、これが出ることを予定して仕事のスケジュールを立てていましたので、ほっとしたところです。
それにしてもおそいよ

不動産登記令等の改正に伴う添付情報の変更について(平成27年11月2日施行)

会社法人等番号を提供する場合の申請書の記載例[PDF]

登記の目的  所有権移転

原   因   平成27年11月1日売買

権 利 者
○○市○○町一丁目5番6号
株式会社○○
(会社法人等番号 1234-56-789012)
代表取締役 甲 野 一 郎

義 務 者 ○○郡○○町○○34番地
一般社団法人○○
(会社法人等番号 1234-56-789011)
代表理事 乙 野 次 郎

添付情報
登記識別情報(登記済証) 登記原因証明情報
会社法人等番号 代理権限証明情報 印鑑証明書 住所証明情報

これが新しい記載例ですね。
会社法人等番号を記載すれば、資格証明情報だけでなく、住所証明情報もいらなくなります。

資格証明情報に代えて会社法人等番号を提供しますから、
添付情報には「資格証明情報」とは書かないのですね。
しかし、
住所証明情報は相変わらず添付が必要で、会社法人等番号を書けば、その添付が省略できるだけですので、
添付証明情報に「住所証明情報」と記載するわけですね。

ちなみに、通達(「不動産登記令等の一部を改正する政令等の施行に伴う不動産登記事務等の取扱いについて(通達)」〔平成27年10月23日付法務省民二第512号〕)によれば、会社等法人番号を記載すれば、合併や会社分割を証する証明書としての登記事項証明書も省略できるとのこと。


登記事項証明書を提供する場合の申請書の記載例[PDF]

添付情報
登記識別情報(登記済証) 登記原因証明情報
登記事項証明書 代理権限証明情報 印鑑証明書 住所証明情報

例外的に添付する場合には、「登記事項証明書」と記載するようです。

以上、参考にしてください。

なお、僕の講義を受講中の方は、
秋生も春生も講義の中で説明しますので、ご安心を。

秋生は、不動産登記法の講義が終わっていますので、
商業登記法の講義の中で、商業登記法のアップデートとまとめてお話しすることとします。




民法改正のスケジュールと司法書士試験への影響

2015-10-04 | 法律の情報
民法の債権法の改正については、今年の通常国会で成立しなかったのはご存知の通りです。
安保関連法案でもめにもめていましたからね。

では、次の臨時国会かといえば
こちらも成立は厳しいようです。
今度は労働関係の法律が優先事項のようです。

順調にいって、次の通常国会でしょう。

しかも、施行まで約3年あけていますので、
司法書士の試験に直接影響するのはだいぶ先の話です。

しかし、司法書士試験に間接的な影響はすでに出始めています。

最近の公開講座・出張講義のネタを少し紹介しましょう。
夏から公開講座などで使っていたネタの1つですが、
しばらくそのような機会はなさそうなので、ブログで公開です。

司法書士試験では、改正されそうになると、改正前にお土産的に出題してしまうという傾向があります。
ですから、債権法改正で「制度変更される論点が危ない」のです。
しかし、債権法の改正は、多岐にわたっているので、意味がないとも思う方もいるかもしれませんが、そんなことはないのです。
改正案を読めばわかりますが、債権法の改正は多岐にわたるとはいっても、重要な制度変更は実はそんなに多くはなく、
そこが狙われるだろうと思うのです。

なぜかあまり指摘されないようですが、
事実、今年の試験でも結構な影響がありました。

たとえば、
不動産登記記述で、
「電子記録債権が根抵当権の債権の範囲に含まれるか」
という問題。

実は、今回の債権法改正で電子記録債権が債権の範囲に含まれるという改正がされるのです。
登記実務を事後追認するような改正です。

こんな経過から、
この論点については、僕は「今年出題されるかも」と試験前に講義で言っていました。
ただ、僕自身、あまり本気ではなかったので、今年向けの講義ではなく、しかも講義前の雑談で言っただけですから、全然威張れるものではありませんが。

受験予備校は、「なんでこんな問題が出たのか」という論調ですが、明らかに民法改正の影響だと僕は個人的には思っています。
っていうか、どう考えても、改正されるから出したとしか思えないってくらいピンポイントだとおもいませんか。
今回の改正で、物権の範囲で重要な変更点はこれくらいですから。

あとは、選択債権。

選択債権の最大の目玉といえば、
「選択権を有しない当事者の過失による不能は特定しない」って論点ですよね。

実は、あの条文、今回の改正で削除されます。
これは今のうちに出題しないわけにはいかないでしょ。

じゃあ、いつだすか、今でしょ!って当然なります。
で、実際、出題されたというわけです。
要綱仮案をみたときに、「これは出題可能性は高まった」と思っていました。

今年の本試験への影響は
商事時効とか、あげればまだまだあります。


ということで、民法改正についても
対岸の火事というわけではないのです。

受験生としては、
民法改正を勉強する必要はまだありませんが、
今述べたような形で改正論点を意識して学習することはプラスになるかと思います。

使える情報は使ってしまう。
そして、
合格してしまうということが重要ですね。

商業登記法及び商業登記規則が改正

2015-09-26 | 法律の情報
商業登記法及び商業登記規則が改正されました。
法務省のホームページに出てますね。
さっそく、平成27年10月5日から施行されます。

当然、来年の試験には影響します。
2016年向けの講義には反映していきます。

変更点は、次の2点です。

1 会社法人等番号が登記簿に記録されることとなり,登記事項証明書の様式が変更されます。

まあ、今までも枠外には書かれていましたが、それが枠内に書かれるということですね。
登記事項証明書の見本はコチラ(PDF)

2 登記事項証明書の添付の省略について

商業登記法の規定により登記の申請書に添付しなければならないとされている登記事項証明書は,申請書に会社法人等番号を記載した場合には添付を省略することができます(商業登記法第19条の3)。

これは、記述の「雛形」にも影響を与えますね。

登記の申請時に登記事項証明書の添付を省略する場合の記載は、次のようになります。

(記載例)
登記事項証明書 添付省略(会社法人等番号 1111-11-111111)

法務省の記載例もさっそく反映されています。
この記載例のページで、【H27.10.5以降】と書かれているものが、影響を受ける記載例です。

登記事項証明書を添付する必要があるのは、
組織再編の登記や会計監査人・会計参与の就任登記などがありますが、たとえば、コチラ(PDF)

以上です。
知識をアップデートしておいてください。

資格証明情報についての改正

2015-08-11 | 法律の情報
以前の記事で、資格証明情報の改正について、

まだ、確定していないので、
「今年の本試験には、影響しません」

と書きました。

不動産登記法において、
資格証明情報の提供が要らなくなるよ、という改正の話です。

実は、その改正が行われ、
平成27年11月2日から施行されることになりました。

本試験直前に明らかになったのですが、
本試験前にここに記載して混乱しても困りますから、
書きませんでした。
それにしてももっと早く伝えてくれという話ですが

内容としては、

法人が登記申請人になる場合、会社法人等番号を有する法人にあっては、当該法人の会社法人等番号を資格証明情報に代えて提供することになります。
また、それ以外の法人は、今まで通り、当該法人の代表者の資格を証する情報を提供することになります。

今はそれに対応した規則の改正などを進めており、
具体的なことは徐々にわかってくるかと思います。

たとえば、昨日、不動産登記法規則改正のパブリックコメントが出たところなのですが、
ここでは、
会社法人等番号がある法人でも、
作成後1か月以内の登記事項証明書の提供で会社法人等番号の提供に代えることができるなど書いてあります。

受験対策上、このような細かいことは、ある程度まとまった段階で学習するのがいいでしょう。

とりあえず、施行されることは決まっているので、
上記、確定している内容については押さえておきましょう。

ケータイ司法書士Ⅱの不動産登記法については、
資格証明情報のページにある注意書きに従って対応してください。

2016年秋生講義については、
不動産登記法の講義中に確定情報となったので、講義の終盤あたりで説明しました。

申請情報の記載例や細かい内容も明らかになったら、お知らせします。