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【重要】刑法改正・贈賄罪の国外犯

2018-01-22 | 法律の情報
刑法改正の情報です。
過去問の解答も変わります。

まず,次の過去問を答えてみてください。

日本人が日本国外において,日本国の公務員に対する,その職務に関しての賄賂の供与をした場合に,わが国の刑法が適用されない。(S56-25-3)

答えは○ですね。

外国で日本の公務員が収賄を受けたら,日本の刑法が適用されます(刑法4条)。
これに対して,
外国で日本人が日本の公務員に贈賄をしたら,日本の刑法は適用されない。

ということですね。
刑法3条の国外犯規定に贈賄が含まれていないのです。
基本知識ですね。
ケータイ司法書士にも書いてあります。

しかし,刑法が改正されて,刑法3条に贈賄が追加されました(刑法3条6号)。
組織的犯罪処罰法改正の関係です。
すでに施行されております。

改正後は,
「日本国外で,日本人が贈賄罪を犯した場合,日本の刑法が適用される」
となります。

ということで,先述の過去問,×に解答変更となります。

合格ゾーンの最新版も解答が○となっていますので,×に直しておいてください。

そして,
ケータイ司法書士を使っている方も,
ケータイ司法書士4
P214
[2]刑法の適用範囲
(4)の矢印を削っておいてください。
P215
下から2つめの問題の答えを×から○に直しておいてください。

すでに刑法の講義が終わってしまったクラスにおいては,
これらの情報の指摘ができませんでした。
情報提供が間に合わず本当に申し訳ありませんでした。
まだ,講座継続中のクラスの方は,講座の中でまたお話しします。

ケータイ司法書士や僕の講義を利用している方以外の方も,
各自のテキスト,過去問集を最新の情報に直しておいてください。

また,これ以外の改正点についても,ケータイ司法書士の情報アップデート動画とブログ記事の準備をしています。
読者の方に安心して使っていただけるように,情報を提供していきたいと思っています。
近いうちに更新します。
もうしばらくお待ちください。

民法改正の影響

2017-04-13 | 法律の情報
債権法に関する民法改正法案が衆議院法務委員会で可決されました。
まだ,国会を通過したわけではありませんが,
ここまで来たら,何事もなければ,今回の国会で成立するでしょう。
政治の世界で本当に対立しているのは,民法ではないですので,民法改正はすんなり通るでしょうね。

今年,国会を通過したと仮定して,施行日がいつになるかが問題です。

これは,法案の附則に書いてあります。

民法改正法案附則
第1条 この法律は,公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

この条文には,但書きがあり,一部,先行して施行されるものもありますが,
法務省は,2020年1月施行の予定を立てていると聞いています。

では,受験生の本当の関心事。
2020年から施行されることを前提としたら,いつの試験から,改正法が出題されるのか。

すでに改正法の影響を受けた出題がされているというのは,ブログやTwitterで書いてきましたが,
それは置いておいて,本当に改正法で出題されるのはいつの試験からかということです。

まず確実なのは,今年の本試験が現行法で出題されること。
これは,すでに発表されている受験案内に書いてあります。

5 法令等の適用日
筆記試験及び口述試験の解答に当たり適用すべき法令等は,平成29年4月1日(土曜日)現在において施行されているものとします。

改正法は,この適用日において施行されておりませんから,試験では出ません。

問題は,来年以降。
ここからは,確実な話ではありません(そもそも施行日も予想にすぎません)。

2020年の試験は,2020年4月の時点で施行されていれば,まず改正法での出題でしょう。

では,その間の2018年,2019年の試験はどうか。

普通に考えたら,現行法ですね。
Twitterでも,現行法だと断言しました。

ただねえ,未来のことですから,断言してはいけなかったですね。
民法改正が大規模な改正であることを考えたら,改正法で出題するということは考えられなくはありません。

実際,会社法は平成18年5月1日施行でしたから,平成18年の試験の適用日には施行されていませんでしたが,
出題されたという過去の例もあります。

このときは,僕は,東京法経学院で講師をしていましたが,
受験界は改正法を指導するかどうかなど,バタバタしており,大変だった記憶があります。

ただ,このときは,早い段階から,改正法を出すと予告をしてくれましたから,
受験界は,年明けには改正法での対策に切り替わりました。
もし,今回も,施行前に改正法を出題するなら,早い段階で予告をしてくれるはずです。
しかも,かなり早い段階で言ってくれるでしょう。
その点は安心していいと思います。

個人的には,2018年はまず現行法だと思います。
2019年は,もしかしたら改正法かもしれません。正直わかりません。

ということで,
結論。

2017年を目指しているかた。
現行法を学習する。
来年以降は改正法が出題される可能性がないとはいえない。
今回の改正は大変です。その前に受かった方が絶対いい。
ですから,今年の試験で絶対合格するつもりで,最後まであきらめず闘ってください。
7月の試験が終わったら,「ケータイ司法書士プレミアム改正民法はココが変わる」でも是非読んでくださいな。

2018年を目指しているかた。
現行法で学習をする。
情報に敏感にはなってください。可能性はかなり低いですが,万が一改正法が出題されるとの情報が出たら,改正法での学習に切り替える。
改正が出されることになったらしんどいですが,中上級者と横並びになるので,むしろ自分たちに有利に働くと考えること。
「ケータイ司法書士プレミアム改正民法はココが変わる」を気分転換程度に見ておくと,スムーズですが,
副作用として,錯誤って取消しだっけ無効だっけとなってしまうので取り扱い注意。

とにかく,どの受験生も,あまり,まだ見ぬ未来を恐れず,今できることを精一杯頑張ること。
それが,将来にも活きてくるのだから。
僕も今できることを受験生に負けないようにしっかりやっていこうと思う。






相続税対策の養子縁組最新判例の謎についての考察と過去問の重要性

2017-03-16 | 法律の情報
最高裁平成29年1月31日第3小法廷判決
専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても,直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない。

このような新しい判決がでたので,
判例が,真に養親子関係の設定を欲する効果意思を要求している実質的意思説に立っていることを前提にして,この最新判例を解説しました。
この判例については,「たしかに相続税の節税が動機かもしれないが,この動機は縁組をする意思とは併存できる」という趣旨だと説明しました。

そして,過去の判例によれば,
次男以下の男が兵役を免れるためにした法定推定家督相続人のいない者との養子縁組の仮装
旧法上家を出て他家に嫁ぐことが許されなかった推定家督相続人である娘を他家に嫁がせるために養子をとること
芸娼妓として拘束するための養子縁組
進学率の高い学校へ学区外から通わせるための他の学区内の親戚との養子縁組
が無効であることも書きました。

先に言っておきますが,
受験ではここまでで十分です。
この記事に何も付け加えることはありません。

しかし,個人的に何か腑に落ちない。
なんかしっくりいかない。
理論が通っていないような気がする。
「実質的意思説」を厳格に貫けば,今回の判例の言い回しにはならない。
今回の判例が,相続税対策の縁組みがよくあることを考慮した少し特殊な判例と考えるしかないのかと一応は考えていましたが,
頭の片隅では,この判例どう位置づけたらいいのだろう,何か理路整然とした整理の仕方はないかと考えたり,調べたりしていました。

そして,もう一度判例を読んだりしていたのですが,あれっと思うことがありました。
この判例を見てください。
先ほど無効であると説明した芸娼妓縁組みの判例です。

大判大11・9・2
芸妓稼業をさせるため,養子縁組をした場合に,当事者が真に養子縁組をする意思を有し,芸妓稼業をさせるのは,その縁由であるにすぎないときは,その養子縁組は有効である。

え?有効であるってゆうてるやん!!
しかも,「縁由」なんていって,今回の判例の「動機」と同じような言葉を使っています。
「真に養子縁組をする意思」という言い回しは使っているにせよ,
まさに,今回の最新判例と同じような理論を使っています。
今回の判例は,特殊な判例ではなく,最高裁の一連の判例の流れの上にあったのです。

さらに,こんな判例。

最判昭46・10・22
養子縁組の当事者である甲男と乙女との間に、たまたま過去に情交関係があつたが、事実上の夫婦然たる生活関係が形成されるには至らなかつた場合において、乙は、甲の姪で、永年甲方に同居してその家事や家業を手伝い、家計をもとりしきつていた者であり、甲は、すでに高令に達し、病を得て家業もやめたのち、乙の世話になつたことへの謝意をもこめて、乙を養子とすることにより、自己の財産を相続させあわせて死後の供養を託する意思をもつて、縁組の届出に及んだものであるなど判示の事実関係があるときは、甲乙間に縁組を有効に成立させるに足りる縁組の意思が存在したものということができる。

情交があっても有効。

こうなってくると,判例は実質的意思説を採用しているというのが思い込みなのではないかとすら考えられます。

そこで,家にある文献をいろいろ掘り出して調べてみたら,
判例は,「実質的意思説」ではなく,「多元的類型説」に立っている,
つまり,「動機が縁組みをする意思と併存し矛盾しなければ有効」という判断枠組みを使っている,
と評価するのが有力であり,そう考えるとすべての判例が矛盾なく説明できるとかいてありました。
しかも,今回の判例が出る前の文献です。

今回の判例もこの判断枠組みを使っていますから,
どうやら,こう考えるのがよさそうですね。
一人で納得し,声を上げてしまいました。

最新判例の謎は,とりあえず,仮説ですが,解決(あくまで個人的に,そして,あくまで途中経過です・・・)。
ちゃんちゃん。

いや,しかし,ここから先が注意点。

受験生は,あくまでも,最初に説明したように,判例の立場は「実質的意思説」だと覚えるべきです。

なぜなら,過去問がそのような立場にたって出題しているから。

平成24年20問エ
養子縁組の届出が単に他の目的のための便法としてされたにすぎず,養親と養子との間に真に養親子関係の設定を欲する効果意思がなかったときでも,養子縁組の届出自体についての意思の一致があれば,養子縁組は,効力を生ずる。
答えは×。

過去問の重要性はここにあります。
出題者がどのような立場にたって,どの深度で出題しているのかがわかるのです。

たとえば,
過去問が,認知準正は婚姻の時から嫡出子となるといっていれば,条文の記載とは反していても,そう答えるべきです。
また,
公開会社の有利発行で,株主総会議事録が不要だと出題されていれば,いくら古い先例で会社法成立後は違うんでないのという考え方があっても,過去問通り答えるべきなのです。

過去問は重要です。
しっかり過去問を利用してください。

過去問だけでは受からないといわれます。
たしかにそうかもしれない。
ただ,それがいつの間にか,
過去問はやらなくていい
などと歪曲されてしまうんですよね。
過去問は必要です。

そういえば,姫野先生も
「過去問は答えを覚えてからが勝負」
といっていましたね。
けだし名言。

姫野先生といえば,受験生に役立つブログ。
毎日ブログで論点解説をしています。
ただ,今日は,ネタを披露しているではないですか。

いつもは,僕のほうがくだらないネタを年柄年中Twitterで披露しているのに。
今日は僕がまじめなブログ更新。



あれ,もしかして,
姫野先生と森山,入れ替わってる??

おわり。
これがいいたいためだけにブログ更新
長かった。ふう。寝よう。あんなブログを見てしまったばかりに,水曜から夜更かし。

実際には,もちろん,入れ替わっていません。
あんな鋭い論点解説,僕には無理ですから。
そういえば,今回のブログも必死に書いたわりに役立たないぞ

供託規則改正

2017-03-13 | 法律の情報
供託規則が改正されました。

供託法の講義(2017年向け15ヶ月合格講座森山クラス)の第2回で,
お話していた改正です。

講義を受けている方には,講義中に
「3月に改正が予定されていますが,実際に改正されたら,ブログとツイッターでお知らせしますから,確認してください」
とお話ししましたね。あの改正が予定通り行われたということです。

払渡請求時の印鑑証明書の添付省略についての規定である規則26条3項2号が変更されます。

運転免許証などを提示し,本人確認ができれば,印鑑証明書の添付が省略できる

とする内容の条文が

運転免許証などの本人確認ができるものを提示し,かつ,写しを添付することで,印鑑証明書の添付が省略できる

となります。

「提示」するだけではなく,それに加えて「写しの添付」も要求されるようになるということです。

講義でお話しした箇所に反映をしておいてください。

また,ケータイ司法書士を使っている方も,
ケータイⅡ第2版P188の11課(2)に
「写しの添付も必要」と
反映をしておいてください。

以上,交付の日から施行するとのことで,
本日から施行されます。
よって,今年の試験範囲となりますね。

テキスト等に改正の反映をしておいてください。

法務省のホームページにも掲載されています。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00105.html



最新判例 相続税対策の養子縁組の効力

2017-02-01 | 法律の情報
本日,最高裁の判決が出ました。
また,横着してTwitterだけだと,
字数の関係で誤解が生じてもいけないので,少しだけ書きます。

まず,過去問。

平成24年20問エ

養子縁組の届出が単に他の目的のための便法としてされたにすぎず,養親と養子との間に真に養親子関係の設定を欲する効果意思がなかったときでも,養子縁組の届出自体についての意思の一致があれば,養子縁組は,効力を生ずる。

×ですね。

過去問レベルはこれくらいです。
平成19年22問アも同趣旨の出題です。
このように,実質的意思説が分かってればいいくらいの問題が出ています。

この過去問からわかるとおり,養子縁組は,
「単に他の目的のための便法」としてされた場合は無効で,
「真に養親子関係の設定を欲する効果意思」が必要とされます。

判例では,
次男以下の男が兵役を免れるためにした法定推定家督相続人のいない者との養子縁組の仮装
旧法上家を出て他家に嫁ぐことが許されなかった推定家督相続人である娘を他家に嫁がせるために養子をとること
芸娼妓として拘束するための養子縁組
進学率の高い学校へ学区外から通わせるための他の学区内の親戚との養子縁組

を無効としました。
これは,真に親子関係を作る意思がないというわけです。

さて,今回の判例は,相続税対策の縁組が有効かということです。
法定相続人の数に応じて基礎控除額等が増加し税負担が軽くなるので,そのための養子縁組が有効かということですね。
実際にはこのような縁組は多く存在します。
そのため,養子縁組による節税も制限されています。

判旨は以下の通り。


最高裁平成29年1月31日第3小法廷判決

専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても,直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない

そして,こんなふうに言っています。

「養子縁組は,嫡出親子関係を創設するものであり,養子は養親の相続人となるところ,養子縁組をすることによる相続税の節税効果は,相続人の数が増加することに伴い,遺産に係る基礎控除額を相続人の数に応じて算出するものとするなどの相続税法の規定によって発生し得るものである。相続税の節税のために養子縁組をすることは,このような節税効果を発生させることを動機として養子縁組をするものにほかならず,相続税の節税の動機と縁組をする意思とは,併存し得るものである」

相続税対策が動機かもしれないが,

相続税が控除されるためには,相続人となる必要がある。

相続人となるためには,親子関係をつくる必要がある。

そうであれば,相続税対策だろうが,親子関係を作る意思がないとは言えないということですね。

たしかに,
極端な言い方ですが,
「相続税対策のために子供をたくさん作ろう」
というのは,矛盾ではないですね。

過去問の傾向から言っても,そんなに深く理解しなければならないものとは思えませんが,
結論くらいは覚えておきましょう。