もちろん家計は火の車

読書と映画、クルマにゲーム……いろんなものを愛しつつ、怠惰な日常を送るオッサンのつぶやき。

映画『2012』の感想について、ちょっとした追記など

2010年04月07日 | 映画

昨日のエントリに引き続き、映画『2012』に関する話の続きです。
っていうか、劇場公開時に書いた『2012』の感想を久々に読み返していて、
ひとつ、「書き落としていることがある」点に気づいてしまったのです……。
ま、どこからもツッコミが来てないし、実際のところ
「誰も気にしてない」のは間違いないワケですが(笑)、
自分的なケジメとして、一応は書いておこうかと。そのように思う次第です。

で、何を書き落としていたのかと言うと……。
去年の12月アタマに書いた、『2012』劇場公開時の感想で
わたし、こんなことを書いてるんですね。
いわく
「このテのパニック映画のラストって、1つの定型パターンがありますよね」と。
要するに、大災害を一致団結して乗り越えたことにより、
いまこそ人類は「大人への階段を1つ昇り、ついに“地球市民”となったのである」
……っていう、例のお決まりパターン(笑)のことですよ。
エメリッヒ監督のパニック映画『インデペンデンス・デイ』に限らず
実は『ディープ・インパクト』などなど、多くの大作映画が
この“パターン”を踏襲して作られています。
具体的に書くと、米国大統領が
「いまこそ人類はひとつになった!」的な
“感動の”大演説をかまして“the END”……ってのがお約束、みたいな。

ところが本作『2012』の場合、ラストのまとめ方として
大枠でその“お約束”パターンを踏襲しつつも、
「“ありがちな大統領演説”でまとめることなく、
ある“趣向”をこらすことにより、なかなか上手い演出をやってて感心しました」と。
で、その“趣向”については「あとで語ります」な~んて言っておきながら、
そのまま触れないで、当時のエントリが終わってたんですね~!
伏線だけ張っておいて回収するのを忘れてるあたり、
わたしもエメリッヒの大雑把な演出を笑えないわけですがw
こうして今「書き落としの事実」に気づきましたので、
この機会に、その点についてきちんと書いておこうと思います。

では、映画『2012』におけるその“趣向”とは何かと言いますと……
要するに、人類(の一部)が大災害を生き延び、
すっかり様相の変わった「新しい地球」で
「新たなスタートを切る」ラスト近くのシーンで、
画面上にテロップで出る“年号”が「0001年」になってるんですよ、さらっと(笑)。
この“さりげない”演出って、なかなか「上手いな!」と……。

『2012』という映画自体が、作りとして
「地球大破局までのカウントダウン」を前提としていますから、
作品中、さまざまなシーンで「2010年○月○日」
「2011年○月○日」といった“テロップ”が出てきます。
しかも、映画のタイトル自体が『2012』ですから、
観てる人間は、どうしたって“西暦”ってヤツを強く意識することになります。
“西暦”といえば、言うまでもなく「キリスト教徒の暦」。
でも、世界にはキリスト教徒以外に
“仏教徒”もいれば“イスラム教徒”もいるわけで……。
『2012』という作品は、最後の最後にさらっと
「“西暦”から脱却した人類」の姿を描くことにより、
宗教だとか人種といった“違い”を乗り越え、
真の意味で「1つにまとまった人類」(あるいは、まとまろうとしている人類)の
姿を、ある種の“希望”として提示して、終わるわけです。

長ったらしい大統領の演説なんかよりも、
『0001』という4ケタの数字が
“1つの希望”“新しい時代の到来”を雄弁に物語る……
この演出って「なかなかニクイじゃないの!」と、ま、このように思ったわけです。
(あくまで「思っただけ」で、当時、ブログに書くのを忘れてたわけですがw)

あ……なんか、こう書くと『2012』という映画、
なかなか“感動的な名作”に見えるかもしれませんが、
そこは「エメリッヒ印」のパニック映画ですから(笑)、
ストーリー自体はメチャクチャ、
人間ドラマは薄っぺらと、そこらへんはもう、スゴイことになってますw。
でも、何度も書きますが
「地球がブッ壊れていく様子」を描くこと……
この一点に関して“だけ”は、
エメリッヒは本当に凄まじい職人ぶりを見せてくれているので、
やっぱ『2012』って映画は、偉大なマスター・ピースなのです。


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