フィエスタの谷 山行記録

【福島県勤労者山岳連盟所属】フィエスタの谷は山に登る事が好きな仲間の集まりです

会津駒ヶ岳 下の沢(2019/8/10)

2019-08-30 | 山行記録

メンバー I堀(ソロ:記)

梅雨明けから暑い日が続く今年の夏、アブがあまりでないという桧枝岐の下の沢を遡行してきた。
下の沢は話通りアブがほとんどおらず快適に遡行できた。竜門の滝以外は10m以下の滝がほとんどで威圧感はない。地形図の大瀑も10m前後で拍子抜け。しかし、小粒ながらピリリと渋い滝が多く、時折でてくる直登不可の滝の巻き道はどれも踏み跡が薄くルートファインディングに苦労した。

ゴルジュの中の滝でも大高巻きにはならないのが救いだが、竜門の滝は相当な高巻きとなるので注意が必要だ。
前半は単調な沢だが、二股を越えて1500mあたりから第3ゴルジュに入ると滝が次々とでてきて面白くなる。小粒だがほとんどが直登可能で楽しい。1700mを越えると大釜をもつ小滝が連続するなど変化に富んでいる。
 ゴルジュの中にある10m滝。右岸巻き

 スダレ状の滝、右岸巻き

 大瀑と思われる滝・左壁を直登

1800mで最後の大滝12mが現れ、これを越えて分岐を水流が多いところを忠実にたどると、駒の小屋手前の草原にヤブ漕ぎなしで到着することができた。草原に吹く風はじつに気持ちいい。
 最後の大滝12m左壁から容易だがスリップ注意

 駒の小屋手前に詰めあがる

せっかくなので山頂まで行き、ここまでで6時間30分の山行である。帰りは足早にくだり午後4時過ぎに駐車場に帰れたが、ここからが試練であった。
沢の中にはいなかったメジロの様なアブがタカリはじめ、叩こうがなにしようがまとわりついてくる。どうも夕方がヤバいようだ。日帰り湯も露天風呂ではアブに襲われ退散する有様。日が高いうちに入渓し、日が高いうちに下山するのがポイントのようだ。

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北アルプス 奥穂高岳(2019/7/24-26)

2019-08-17 | 山行記録

メンバー K野(別ルート)、NT目、Toちゃん、A井(画像提供)、M崎(記)

7/24 16:00上高地~18:45横尾山荘(テント泊)
7/25  5:36横尾山荘~13:15穂高岳山荘(山小屋泊)
7/26  5:40穂高岳山荘~奥穂・前穂~16:00上高地

【Day1】7月24日
いわきを出発して6時間半、念願の上高地へ到着。
駐車場から上高地まで乗せてくれたタクシーの運転手さんが好印象だった。

夕方ということもあり、静かな上高地を横尾に向けて出発。
ちなみに、この3日前あたりにNT目隊長は足をくじいてしまったようだ。
それでも私たちを連れて来てくれたことに感謝。

出発前にToちゃんが言っていた。今回は都会の山だぞ、と。
なるほど、綺麗に整備されていて歩きやすい。都会だわ~
途中、イケメン青年3人組に先を譲る。彼らは徳沢ロッヂに宿泊とのこと。
私たちは徳沢ロッヂで濃厚なソフトクリームを頂き小休止。
イケメン君達と(心の中で)名残惜しい別れをし、横尾へ向けて出発。

初日は3時間程なので予定通り横尾山荘に到着。
ここでNT目隊長の恩恵を受け、冷たいビールのご褒美が。
ありがとうございます、NT目隊長、横尾山荘様。

ひとまず、ビールはおあずけで、テント設営。
M崎はこの日、初めてのテント設営&寝袋泊である。
隊長に教えを請い、セッティング完了。

4人で夕食を食べながら、ビールを頂く。
この日はまだまだ元気だが、明日に備えて就寝。NT目隊長の足は大丈夫だろうか。
3日前からクマの目撃情報があったそうで、クマ怖い~と思いながら、寝袋に入った。

【Day2】7月25日
初めての寝袋体験は…寝慣れぬ床面でゴロゴロしてしまった。

私たちの出発は早いほうだと思ったけれど、他のテント泊の人たちはかなり早く出発したようだ。
いよいよ今日は、どうしても行ってみたかった涸沢カール。私の気持ちも盛り上がり、歩き始めた。

直後、山道のど真ん中にクマの落し物が…しかも、真新しい。
周囲の木にはクマの爪痕も…怖い。おしゃべりの声(なんでわざわざど真ん中にするかね‼笑)と、自然と大声に。
(え?普段から大声?すいません、Toちゃんと私の声は大きいですね、はい。)

左に見える断崖絶壁の岩。屏風岩。
進むにつれて、その全容が見えてくる。
あんなの人間が登るなんてウソでしょ?えっ?登ったの?
途中、屏風岩への秘密の入り口を教えてもらう。
心の中で、私は怖いから来ません、と返事をした。

ずんどこずんどこ1時間ほどで本谷橋。小休止の後、ここから少し険しくなる、と気合を入れて出発。
さすが有名な山、スカートを履いたオシャレな山ガール、山淑女とすれ違う。やっぱり都会だわ。
まだ雪の残る山道を進む。涸沢カールが見えてきた。
雪渓に道は出来ていたけれど、不慣れなせいで歩きにくい。でも、頑張れ私!もうすぐ涸沢カールだ!

上を見上げると、小屋が見えた。
途中、涸沢ヒュッテと涸沢小屋の分岐点で、ズボッ膝下まで雪にはまった。雪の登山道って怖い。
階段状に整備された雪渓を登る。作ってくれた人、ありがとう!

3時間半ほどで涸沢ヒュッテに到着。
写真でしか見たことのない景色が目の前に広がる。
あまりの絶景に、私の気分メーターは振り切れた。
気分が上がりすぎて、Toちゃんに頼まれたラーメンのオーダーをカレーと間違える始末。
ごめんよ、Toちゃん。出資してくれた本人に食べたいものを食べさせない私。
優しいToちゃん、文句も言わず(昨日の昼もカレーだったのに!)、食べてくれた。
ありがとう、Toちゃん!

しっかりと食べ、しっかりと休憩をして出発。
下から目的地を見上げた私に、NT目隊長が今から進む道を示してくれる。
あの出張った岩の部分?あそこ歩けるの?ザイテングラートが遠くに見える。
涸沢小屋でソフトクリームを食べる人を羨ましく思いながら通過する。

道のりは遠いけれど、青々とした草花、白い雪、透き通る空。
足元で綺麗に咲く小さな花に元気をもらい、歩いた。
こんなに長い距離を歩くのは初めてだったけれど、楽しい気持ちのほうが勝っていた。
この時までは。

ザイテングラート取付。
ヘルメットを装着し、発進用意。
下山してきた男性が大きな岩の上で本を取り出した。
青空の下、お花畑に囲まれ、目前に広がる山々を眺めながらの読書。
最高に贅沢な時間だね。

優雅に読書をする男性を残し、出発。
進むにつれ、なんだか苦しい。
自分のペースで行っていいと言われたが、進めない。
涸沢マジックにかかって、はしゃぎすぎたか?
数メートル進んでは、息が上がる。心臓はバクバクしていた。
私、病気なの?心臓が壊れたの?
ちょっと進んでは立ち止まる私。
すぐにToちゃんがやってくる。
また進んでは止まる私、の繰り返し。
小屋が見えたころにはヘロヘロになっていた。
手前の雪渓を小屋の人たちが階段状にしていた。感謝。
なんとか登りきって力尽きた。

NT目隊長によると、高山による影響のようだ。
初の3000メートルに近い登山。
なるほど。
高山ダメージと、前半はしゃぎ過ぎたのせいもある。間違いない。

今回もスポンサーToちゃん様のおかげで個室をゲット。
ありがたや、ありがたや。ラーメン食べさせなくてゴメンね。

やっぱり山で飲むお酒は美味しい。
夕飯前にみんなで小宴会だ。
さっきまでヘロヘロだったのも忘れて楽しく過ごす。
夕飯もしっかりと頂き、食欲良好だった。
見ず知らずの人たちと一緒に食べるのも楽しい。

みんなでゴロゴロしながら、のんびりダラダラ。
こんな時間もいいね。
今日こそは小屋で、布団で、ゆっくり眠れる。

柔らかな布団に包まれながら聞こえる…
いびきの三重奏。
こちらが静まれば、あちらで聞こえる。
さらに雨が屋根を打ち付ける音。豪雨。
テント場の人たちは大丈夫だろうか…
今日は小屋泊でよかった。
昨日の横尾で雨だったら…なんて考えながら、いつの間にか浅い眠りにつく。
明日は晴れるといいな。

【Day3】7月26日
雲海、真っ赤に染まる太陽。
朝からすごい景色だ。
新鮮な卵で、ご飯2杯を頂き、食欲バッチリ。
相席したソロの男性も、私達と同じルートだそうだ。
しかも3日後に人を連れて同ルートを登るそう。
羨ましいというより、少し同情してしまったのは私だけだろうか。
初めて登る感動は、3日後もきっと…どうだろう。

準備を済ませ、いよいよ今日は一気に下山だ。
いささか足にきているが、目の前には岩の壁。奥穂高岳。
これを登るのか。下から見上げると怖いけれど、登り始めると恐怖も少し和らぐ。
靄のせいか、あまり高さを感じずに済んだ。高いところは苦手です。
前をすいすい登るA井先輩を追って、少しずつ登る。
やっと山頂が見えてきた。

ガスがかかっていてあまりよくは見えなかった。
そこに、先に山頂に居たイケメン外国男性3人が声をかけてくれた。
「ヘイ!見える?虹だよ‼」
振り返ると、山頂に立つ私の影の周りに、二重の虹が出来ていた。
イケメン3人組はWonderful!とそれぞれ声を出してる。
「虹だ!ダブルかな?トリプルかな?」と私が叫ぶ。(もちろん日本語で。)
「ダブルだねぇ~」と返してくれた。
知らない人たちと出会って、言葉を交わす。山って楽しい。
虹に気づくのが遅れたので、写真を撮る前に消えてしまったのが残念だったけれど。
NT目隊長にブロッケン現象だと教えてもらった。貴重な体験したな!

前穂高岳に向けて歩く。
靄も晴れて、下が丸見え。怖いよぉ。
前々から思っていたけれど、我らがアイドルA井先輩はすごい。
きっと実年齢をごまかしている。
もしくは、あの中身には20代が入っているんではなかろうか?
ひょいひょいと岩を越えてゆく。
さすがっス、姉貴。
私は怖くて思うように進めない。
後ろからはToちゃんにカツを入れるNT目会長の声が。
足の痛みは大丈夫なのか?
昨晩まで痛いと言っていてたのに、飛ぶように岩場を越える。
尋ねると、痛みより楽しさのほうが勝っている、らしい。
やっぱ普通じゃない人たちの集まりやっ!すごいぜNT目隊長。

なんとか紀美子平へ到着。

ぜぇぜぇと息を切らすToちゃんの姿に、先ほどのイケメン外国人3人が優しくしてくれる。
「酸素貸しますか?」他人に優しく出来る心が素敵だ。
ありがとうと返し、Toちゃんは自前の薬を吸う。何気にToちゃんもすごいよ。
肺の病気なのに、いろんな所へ行くんだもの。やっぱりみんなすごい人ばかりだ。

荷物を下ろして前穂高岳へ。体が軽い。
次来るときは、荷物の内容を考えよう…そう心に決めた。
山頂からは穂高岳山荘からここまでの道が見える。
毎回思うけれど、人間はすごいな。
よくあんな所を歩いてきたこと。
往復1時間で戻り、いよいよ重太郎新道へ。

誰も登っていない山に道を作るなんて。重太郎さん、すごいね。
私は相変わらず怖がっていたけれど、頑張って下る。

途中、雷鳥に出会う。
4匹のヒナを連れていた。
その場に居たガイドさんによると、未登録の個体だったらしい。
頑張れ雷鳥よ!強く生き抜くんだ!生き残れ!
私達も環境問題について行動しないといけないね。
可愛らしい姿に少しほっとして、さらに下へ。

なんだか足が…動かない。
足が棒ってこのことを言うんだな。
前のほうでフラつ女性を支える男性のカップルが。
あぁ、普通の人はやっぱり疲れるんだな。
一度はそのカップルを抜いたが、何でもない道で躓く。2回目はしりもちをつく。
こりゃいかん。しかも心折れそう。
後ろからToちゃんとNT目隊長の声が聞こえる。待とう。
先ほどのカップルに道を譲り、Toちゃん達と合流。
転んだことを話し、笑いながら歩み始める。

「キャー!誰かっ!」

前を見ると、先ほどのカップルの女性が慌てていた。
真っ先にNT目隊長が反応し走る。
「そのまま動かないで!」
「はい!」と女性の声が聞こえた。
私もToちゃんも後を追った。

男性がピクリともせず倒れている。
慌てる女性。

NT目隊長が近づき、声をかける。
意識はあるようだが体が動かせない。

NT目隊長は迅速に対応し、男性の体位を変え救助の要請をした。
Toちゃんは水とタオルを出し、私はそのタオルを濡らし男性の頭に当てた。
大きなこぶと、鼻から出血。

後ろから山道を降りてきた男性ハイカーが手助けをしてくれる。
女性のザックを山小屋へ届けてくれた。私も後を追う。
NT目隊長とToちゃんはその場で救助。
男性に自らのマットやタオルを提供したToちゃん。

A井先輩は私が遭難したと思い心配してくれた。
負傷男性はヘリ搬送された。

こんな事もあるんだ。
もしかしたら、私だったかもしれない。
あのまま歩いていたら…

疲れと考えすぎとでフラフラしながら(他の人は私より元気に)上高地まで戻った。
今回はいろいろあったけれど、無事みんなで帰ってこられた。

山はいろんな出会いがあるけれど
他人だから。と割り切るのではなく
他人だけど…でも。と歩み寄る気持ちを持ちたい。
山小屋で相席したソロの人も、山頂で声をかけてくれた外国の方も
遭難現場で協力してくれた登山者も、みんな他人。
だけど、お互い交流できるし、歩み寄れる。協力できる。

私は、怪我人にマットを提供したToちゃんを素晴らしいと思う。
手早く怪我人の対応に当たったNT目会長を頼もしく思う。

ただひとつだけ、あるとすれば…Toちゃんに言いたい。
雷鳥に出会ったとき、動かない雷鳥の親鳥を見て
「お乳やってんのけ?」
と言ったToちゃんに、本気でびっくりしたことは伝えたい。
雷鳥は哺乳類じゃねーから!

以上、北アルプス珍道中でした(^^)/

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