フィエスタの谷 山行記録

【福島県勤労者山岳連盟所属】フィエスタの谷は山に登る事が好きな仲間の集まりです

谷川岳合宿(2021/5/29~30)

2021-07-04 | 山行記録

【メンバー】
ゴールデンペア:T田さん、O島さん
若いぞチーム:A坂さん、I姉、M崎(記)
還暦チーム:M子さん、NT目さん、A井先輩
※専門用語や知識に疎いため、あくまで感想文です。その点をご了承の上お読みください。

5月29日6時出発 私はA坂さん、I姉の若いぞチーム。今回この3チームに分かれて一ノ倉沢南陵を登る

【プロローグ】
初めての体験を前に、前日は眠れなかった。それどころか食欲さえなかった。
以前、谷川岳へ登った際に初めて一ノ倉沢を見た時、曇天のなか剥き出しの岩肌と絶壁を前にした私は、こんな険しい場所は絶対に登ることはないから見るだけで大丈夫…そう思った。

あれから2年、私はここに居る。何故来てしまったんだ!もう戻れないじゃないか!
この日を迎える前に脳内で葛藤が繰り広げられたが、何故来たか。
それは、会のメンバーに会いたかったからだ。ご近所の山ではなかなか会えない。
それに、今回のメンバーなら安心して登れると言われたからだ。もちろん私もそう思う。

【本編】
前置きが長くなったが、出発だ。この日は他のパーティも少なく、天気も良好だった 雪渓に上がり、すぐに軽アイゼン装着。初めてのアイゼン、ザクザクと雪に食い込んで歩きやすい。
今回はTooちゃんが不参加のため、装備一式を拝借した。格好だけなら立派なクライマーに見えたかもしれない。ありがとうTooちゃん

I姉とO島さんと記念撮影しながら、きゃいきゃい進む。女子仲間、良い
そんなことを考えていると「キャ」っとO島さんが可愛らしい声を上げた。視線の先には息耐えたニホンカモシカが。
全体的には毛も手足も残っていて綺麗だったが、顔の皮は剥げ赤黒く変色していた。ツノの生えた毛の無い顔が人に見える。人面鹿。怖い。
残念ながら写真を撮る余裕はなかった。目の前にそびえ立つ絶壁に気が気ではなかったからだ。

南陵テラスまで、が結構キツかった
テラス、と聞いて安易に考えていた。無理そうだったら南陵テラスで皆の帰りを待てばいっか♪などと思っていた。雪渓がなかったらテールリッジまで来るのも一苦労ではないか。
気合を入れ直し岩場を登る。周りに皆が居たからとにかく付いていくことに集中し、恐怖を押し殺し何とか南陵テラスへ。
天気良好、景色も良い、皆はサクサクと準備を始める。ついに来てしまった。ここまで来たら登らなきゃ。一人で待つのも怖い。

ゴールデンペアはT田さんを先頭にサクサク進む。2ピッチ目はO島さん。するすると登っていく。後ろでNT目さんが「あそこ核心だぞ、O島ちゃんがいくのか、すごいな」とつぶやく。
素人目の私には、何が難しくて簡単なのか判別がつかないが、あの場所が難しいとだけ頭に入れ、自分の順番に備える。

私たちの番になり、最初はA坂さん。安定の登りですぐに私の番になる。内心怖気付いていたが「大丈夫ゆっくりでいいからね~」I姉の優しい言葉に気合を入れる
そうだ、登るだけなら大丈夫。高さを意識せず、目の前の岩にだけ集中しろ。後ろからI姉も来てくれる。自問自答しているうちにA坂さんの姿が見えてホッとする。
私は正直な気持ちを暴露する。一ノ倉沢めっちゃ怖いんですけど!A坂さん「俺だって怖いよ」と。技術や経験はA坂さんと比べられないくらい未熟な私だが、なんだか心の同志を得た気持ちになった。そっか、怖いのは私だけじゃないんだと。
そこへI姉がするする登ってくる。その笑顔に私もほっこりして、登り切ろうと気を持ち直す。そのままA坂さんが登る。

草付きはI姉の後を追いながら一緒に進む。湿った土が滑りそうでヒヤヒヤしたが、草を掴みなが登った。
ここまでの間、自分の未熟さを痛感する。ロープワーク、回収したヌンチャクの処理、簡単なアシストすらままならない。本当にA坂さんとI姉にはお世話になりっぱなしだ。役に立てないことに申し訳ないと思いながらも、出来ない事は仕方がない。少しでも迷惑をかけないように、登ることに専念した。それでも恐怖は消えなかったけれど、笑わせてくれるA坂さんや、折れた心を癒してくれるI姉に元気をもらえた。

時折聞える、還暦チームのA井先輩とNT目さんの声や、グングン登ってくるM子さんの笑顔に勇気をもらい、何とか後半に挑む。
後半はI姉がするする登り、狭い足場で3人身を寄せ合いながら、終了点を目指す。
いよいよ終了点近く、高度も増し手こずる。これまで何とか気合を入れて誤魔化して来たが、ついに足が震える。ガクガク震え出した足は、生まれたての子鹿なんてもんじゃない。脱水で偏った洗濯機だ。このまま壊れちまうんじゃなかろうかと思うくらいの震動、ガタガタガタガタッ止まらない。
落ち着け、大丈夫、怖くない怖くない、自分に言い聞かせるが声に外に出ていた。なんとか震える足を叩き落ち着け、冷静に努め、岩を越える
ナイス」の声と共に、ふと視界の端赤いに人影が。
M子さんだ、と理解するまでに数秒かかった。自分の手元しか見えていなかったから、知らない人が突如現れたかと思ったのだ。

岩にへばりついて止まった私を心配してしてきてくれたのだろうか。ニコニコ笑顔のM子さん。私の呟きを聞かれてしまったかと少し恥ずかしくなったが、近くに仲間がいる安心感で、何とか終了点まで行くことができた。I姉がとびきりの笑顔で迎えてくれる。着いた!

だいぶ早く着いたであろうT田さんとO島さん。仲間の姿にホッと気が抜ける。へたり込むように座った場所は水が滲み出ていてパンツまで濡れてしまったが、もうどうでもいいと思った。とにかく登り終わった。
そう、登りは終わった。登りは。これからは降りなければならない。

T田さんとO島さんと会えたのも束の間、2人はサクサクと懸垂下降で降りていく。A坂さんが懸垂下降の準備に取りかかる。
もっとも不安な懸垂下降。1週間ほど前に青葉で練習させてもらったが、その時しこたま打ちつけた左腿のアザがまだ痛い。だが帰るためには降りなくちゃ。再び脳内葛藤を続けることややしばらく、先に降りたはずのA坂さんからOKの合図が来ない。下を覗き込むと、かすかにO島さんの姿が見える。いいのぉー?と声をかけるが、両手で×印が返ってきた。

やっと合図が来て懸垂下降開始。器具の取り付けにやや手間取ったが、ゆっくり降りていく。足が宙ぶらりんで怖い。そして長い。もうすぐかな?と思ったところで、A坂さんがひょっこり顔を出して、手前の支点でセルフを取ってI姉を待てとの指示が。ロープが足りないらしい。言われた通りセルフをとりI姉に合図を送る。この時私は見落としていた。セルフを取った支点より、少し上の場所にきちんとした終了点があったことを。

I姉の到着を待って事の次第を伝える。辺りを見回すI姉。あそこに止まればよかったね。視線の先を見ると、しっかりした終了点があるではないか!
なんてことだ。A坂さんが言っていたのは、あの終了点のことでは?私は勘違いして少し下まで降りてきてしまった。降りることに夢中で全然見えていなかった。不安定な支点、狭い足場、犯した失態に申し訳なさと後悔とで謝る私に、I姉は怒らず冷静に大丈夫だと言ってくれた。

その時だ。「落っ!」男性の声と共に落石の音がした。
落石の小さな音はどんどん大きな音になり、もう一つの「ラークッ」と叫ぶ大きな声と共にガラガラガラ、ドッガシャーーーーーーと谷に響いた。

誰か巻き込まれて落ちたかもしれない。再び堪えていた恐怖が戻ってきた。せめてもの救いはI姉が一緒にいてくれたことだ。I姉は雪渓が崩れた音じゃない?と冷静だったので、私も深く考えるまいと決めた。

その後、M子さんが同じロープで手前の終了点まで降りてきてくれて状況を察し判断(この時颯爽と現れたM子さんがレスキューに見えて格好良かった)、A井先輩、NT目さんが降りた後、ロープをかけ直して私とI姉はA坂さんのところまで降りた。A坂さんはロープの足りない部分を命懸けで降りたといい、その様子を見ていたO島さんは、このままMちゃんが降りてきたらすっぽ抜けちゃいますよ!と私の命を救ってくれて、見えないところでA坂さんとO島さんのやりとりがあったらしい。

還暦チームと共に残りの懸垂下降、M子さんが残り全部先に降りてくれて順番に降りた。初心者の私がいるとの事で南陵テラスから雪渓に至るまで懸垂下降で降ろしてもらったのだが、大分時間がかかってしまった。それもこれも私の至らぬ経験と未熟な技術のせいだ。懸垂下降でロープが引っかかるがNT目さんの裏技で解決したり、私と同じく初一ノ倉沢のA井先輩と励ましあったりして薄暗くなる谷をヘッデンを付けてみんなで歩く。出合いでいくつかの灯りが見えた。I姉もメーリングで書いてくれたが、T田さん、O島さん、N田さん、H賀さんが迎えてくれて、帰って来たんだと安心した。

駆けつけてくれた会長N田さんの手料理に満たされ、雪で冷え冷えの差し入れビールでA坂さんとI姉と乾杯をした。全身に染み渡るようで、すっごく美味しかった。

また、携帯電波が悪くて30日の朝に届いたK野さんからの心得と応援のメッセージ。離れていても気にしてくれたと嬉しくなった。

30日のハイキングも楽しく、帰りの山菜採り、ウド取り名人や、O島さんの山菜発見力やイナゴの話、N田さんが持つウドが谷川岳の管理人さんに注意されないだろうかとハラハラした。

あと帰りのランチ待ちの時に、T田さんからM崎はH賀さんの紹介で会に入ったの?と言われてショックだった。3、4年前から居たけど認識されていなかった
きっと前日の打ち上げで、O島さんはするする行った所をT田さんは少しゆっくりだった的な事を言ったからに違いない。ごめんなさい。浄水ボトルの使い方をレクチャーした時は可愛かったのにな。あ、また怒られるかも(T-T)

最後に今回一番の笑いは、女子テントでI姉、O島さん、私で話しているところに外からA坂さんが放った一言。
「O島さん、N田さんがテント食ってくれってよ」「テント⁉︎食べるの⁉︎」と3人同時にツッコミをした。Tooちゃん並みの言い間違いに爆笑

【エピローグ】
今回は反省も多々あり、己の未熟さや至らなさを痛感した山行でした。それでも、私の至らなさをフォローしカバーしてくださった先輩方に感謝いたします。皆さんのバックアップのおかげで、到底無理だと思っていた一ノ倉沢を体験することができました。何より、このメンバーで今回の山行にあたれたこと、本当にありがとうございました。特に若いぞチームのA坂さん、I姉さん、至らぬ私をサポートしてくれてありがとうございました。このチームで良かったと思いました


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