<< 超音波水槽の構造 >>
これまでの話で、
強いキャビテーション状態を理想と考えている人が多数いるという話をしてきました。
超音波(振動子、振動板、発振機)キャビテーションだけで進めると
大出力で複数の超音波を使用することになります。
しかし、多くの結果として、
洗浄効果の低下、超音波寿命の短期化、騒音問題の発生・・・
良好な展開につなげられません。
まだまだ誤解の危険が残っています。
超音波の振動現象は様々な要因の集まりで、
液体・弾性体の振動の複雑さが大変なものであることは
音響流の検討からほぼ理解できます。
これに比べると、安定したキャビテーションを実現する仕組みは比較的簡単に見えます。
キャビテーションが減衰する主要因は、以下の3点です
1)超音波出力に対する、水槽との強度バランス
2)超音波発振部(振動子、振動板)の設計
3)水槽・振動子の設置方法
この要因について、設定を誤るとキャビテーションの減衰
あるいは伝搬する、超音波周波数の低下が起きます。
問題の発生経過として、単調な超音波発振により
水槽の強度不足の部分が、低周波の振動モードで共振を始めます。
あるいは、洗浄液の各種分布により、超音波が屈折・透過・反射することで
液体の流れに合わせた、共振モードを発生する場合があります。
(通常、大きな騒音になります)
これらの動きの組み合わせで、
体の外側に振り出されている右腕を内側に回しながら体の前に引き戻せば、
右腕の振りの基本的な動きが実現します。
これらのことを考えて、
費用・製造方法を考慮した、水槽構造を設計開発します。
ポイントは以下の2点です
1:溶接 角部での溶接を極力避ける。折り曲げて突合せ溶接を採用する。
2:水槽の固有振動数が高くなるように
断面2次モーメントのバラツキを最小限にする。
この技術の背景は
流体力学、材料力学に基づいた振動工学を利用する知恵です。