在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

Prosecco Colfondo -Casa Belfi

2013-09-29 21:57:10 | Veneto, Emilia Romagnaヴェネト、エミリア
Prosecco Colfondo -Casa Belfi


プロセッコのColfondo o Col Fondoコルフォンドはあまり知られていない。
Fondoは底、conは一緒という意味なので、底に、という意味になる。
または、そして、フランスではSur Lieと呼ばれる。
Sur Lieというと、今はよく上品質の白ワインのひとつの作り方として知られているが、これはプロセッコである。
プロセッコの地域では、伝統的な造り方のひとつだそうだ。
瓶の底におりが溜まり、軽く振って飲むので、濁り酒のごとく、少しにごったプロセッコになる。

プロセッコはシャルマー式で、つまりタンクで大量に造るのだが、コルフォンドは、春、復活祭のころ、ボトルに詰めて、発泡させる。
そして、そのままである。というと、簡単そうだが、そうはいかない。
シャルマーで造った普通のプロセッコは、多少品質が劣るものでも、おりを取り除いたあと糖分などを調整するので、ある意味いくらでもごまかせる。
しかし、コルフォンドはごまかせない。ボトルに詰めたものがそのまま最終製品として市場に出るので、ベースワインの品質が良くないと良いものにはならない。

そのままなので、自然とおりがボトル内に溜まる。溜まったおりをボトルの口に集めて、取り除き、門出のリキュールを足し、糖分などを調整すれば、普通のクラシコ方式のスプマンテになるのだが、たまったおりを除かず、おりを混ぜて飲む。
もちろん、ボトルの底にたまったおりを、混ぜず、揺らさずグラスに注いで、残しても良い。
門出のリキュールも当然入れていないので、糖分ゼロの超辛口である。そして、もともとのベースワインに酸味があるので、酸味が特徴のものになる。
そして、ベースワインが良くないと、酸味がきついだけの、美味しいとはいえないものになってしまうので、良いワインを造る必要がある。
というわけで、単純ではないのである。
また、普通のプロセッコは、早いうちに飲んだほうが良いのだが、コルフォンドの場合は、長く置いておける。シャンペンが長くボトルの中で熟成されるのに似ているからだ。

ベルフィは、ラベルにも明記があるが、ビオである。
ラベルが非常にかわいい。
色は濃い目、ボトルを揺らして飲んだので、当然濁りがあり、極辛口、酸味がかなりあるが、きつすぎるほどではない。品質の良いベースワイン、アミノ酸を含むおりが、味と香りを与えている。自然派で、やさしい。本物の自然派ワインは心に響くやさしさがある。
なお、ベルフィのコルフォンドは王冠使っている。

また、白も美味しかったが、赤が大変気に入った。
品種はCabernet とRaboso。
アルコール度12%で、いまどき重たい赤が多い中、大変うれしい。とてもきれいな赤で、小さなフルーツの香りが心地よい。自然派ワインらしく、程よい酸味があるのに、最初の口当たりはやさしく、主張過ぎることがなく、脇役として料理を引き立てる。
暑い時期だったこともあるが、少し冷やしてみた。これが、大変美味しかった。暑い夏に、少し冷えた赤ワイン。タンニンがきついわけでもなく、程よい酸味が非常に心地よい。
海辺で魚料理でも良いと思った。

Cincinnato

2013-09-29 11:40:02 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
Cincinnato


このところ、ラツィオから遠ざかっている。というより、北に集中していると言う方が正しい。
最初は、近くて有名産地のトスカーナ、ローマ周辺、南もなかなかいいね、特に安いし・・・であるのだが、いつかは北へ行く。もちろんどこかにとどまっても良いし、好みはさまざまであるし、南も中部も素晴らしいものはあるし、北のワインだから全てが良いわけではないが、北の‘良い’ワインはあきない。

でも、ラツィオもいいね、と思ったのはこのCincinnatoと、そして同時に訪問したCarpineti。
Carpinetiは昔から知っていたが、Cincinnatoはあまりよく知らなかった。
オーナーの女性、Giovannaと知り合って、素晴らしく人柄の良い彼女のワインを飲むようになって、ちょっと開眼した。
ラツィオのワインと言うと、味も香りも平凡なもの、またはなんだか無理して造ったメルローとか(美味しくないわけではないが)のイメージなのだが、Cincinnatoは、(別に述べるCarpinetiも)地元の品種、ベッローネとネーロ・ブォーノに焦点を当てている。どちらもあまり知られていない品種だが、このところ土着品種流行りなので、これから知られるようになると思う。


そのCincinnatoが新しいカンティーナを造って、そのお披露目に招待された。
場所はローマの南、1時間ちょっと行った、コーリという場所にある。
建物は、ふんだんに光を取り入れ、また、デザインのあちらこちら(カウンター、扉、椅子、その他)に解体した樽の木材を使った、大変味のあるものだった。建物は、20年近く放っておかれたものだというので、こうやって素晴らしいカンティーナになって、よみがえったことになる。

写真はバリックの木材で造ったカウンター。焼印がそのまま残っている。

醸造はいまだあるカンティーナの方で行い、こちらにはバリックとトノーの樽が置いてある。コーリの町ときれいに整ったブドウの畑とに囲まれ、地元の食材、地元で取れる葉、野菜をふんだんに使った美味しい料理を味わうのは最高であった。



食事がほぼ終わったころ、Nero Buonoの3ヴィンテージをさらっと試飲した。
2010年 非常にまろやか、インパクトが大変よく、飲みやすい。タンニンがまろやかで、女性的な印象を持つ。万人に受けるタイプで、肉料理にぴったり。
2009年 2010年のあとだと特に、なのだが、やや細く、硬い印象。酸味がある。しかし、ずいぶん後になってかなり変化して良くなった。
2008年 2010年と対照的に男性的な印象。硬くはないのだが、重みを感じ、タンニンと酸のバランスがよく、ちょうど良い飲み頃に熟している。


Cincinnatoは協同組合で、200人のブドウ生産者からなっているという。それは、コーリの畑の50%になると言うが、協同組合でこれだけの質を保つのは難しいと思う。ラツィオのワインであることもあり、値段も手軽でうれしい。
なおラツィオのもうひとつの有名地元品種Cesaneseを使ったワイン、そして、Belloneで、とても飲みやすい白、スプマンテ、デザートワインを造っているので、こちらもぜひ試してほしい。