こんな本を読みました

気ままで偏りのある読書忘備録。冒頭の文章は、読んだ本からの引用です。

『レター教室』(三島由紀夫)

2015-10-31 | 近代小説
(写真撮り忘れその2)
招待を断るには、「のがれがたい先約があって」という理由だけで十分で、
その内容を説明する必要はありません。


 いわゆる三島文学とかけはなれた三島作品。未亡人氷ママ子45歳、山トビ夫45歳、空ミツ子20歳、
炎タケル23歳 、丸トラ一25歳、5人の手紙のやりとりのみで進んで行くストーリーだが、とにかく
それぞれがキャラ立ちしていて、面白おかしい。さまざまな感情がぶつかりあうなかで、忘れてはいけな
い日本人の常識というか、あらためてはっとさせられる心遣いもあり・・・引用は氷ママ子から空ミツ子
への手紙より。「日本人同士の間では、断るのにもっともらしい理由がいります。~略~それをあんまり
こまかく説明しすぎると、相手にヘンな気持ちを起こさせます。こんなにうるさく言い訳をするのは、
ひょっとすると、私がきらいで、来たくないから断ってきた、のではないかしら? と。」あ~わかるわ
~これ!やっちゃうわ~。と思った次第。
 なんだ、三島さん、意外と常識人じゃん。人を見る目もあたたかくてユーモアがあるし、こっちの方向
でお気楽に進んだら、あんなことせずに、今頃のほほんとした好々爺になってたかも。それをしなかった
から今の名声があるともいえる?

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