KCRC(九廣鐵路)の東鉄(EAST Rail)は上水から落馬洲(Lok Ma Chau)までの路線を 2007年8月15日開通させた。今までは香港から鉄道で、深�祁に入るには羅湖経由だけだったが、今回の開通により落馬洲(皇崗)経由も選べるようになった。(下のKCRC路線図の矢印参照)
尖東や紅�弍からは羅湖行と落馬洲行が交互に運転されている。上の写真の右は落馬洲駅が入っているビル。駅前は区画整理も良く出来ているが、駅の反対側は左の写真の通り田園風景である。羅湖と比べて右の写真のように新しいだけに清潔で綺麗である。まだ利用客が少ないのでイミグレもほとんど混んでいない。深�祁地下鉄4号線の皇崗駅と連結している。電車で深�祁に入るにはこの新しい落馬洲を選んだほうが快適で便利だと思っている。
香港鉄路博物館 Hong Kong Railway Museum
九廣東鉄(KCR-EAST)・大埔墟站(駅)から徒歩10分くらいのところに香港鐡路(鉄道)博物館があり、日本のと比べると展示車両も少なく物足りなさもあるが、香港の鉄道歴史を見ることが出来る。トップの写真を見て頂くと分かるが九廣鐡路の旧大埔墟站を当時のままに復元保存して1985年に開館した。駅執務室内部も当時のままに再現している。30年前中国に出かけたときに何も案内がない殺風景な出札口に長い行列が出来ていてなかなか切符が買えないでイライラしたことを思い出した。大埔墟は英文では Tai Po Market でその名のとおり昔から大きな市場があり、駅から博物館まで道中でさまざまな市場を見物するのも楽しい。
51號柴油電動機車 亞暦山大爵士號
博物館の目玉はこの柴油電動機車(ジーゼル機関車)、1955年から1997年まで活躍したアレキサンダー号である。1947年-57年香港総督を勤めた Sir Alexander の名前をとって命名された。1955年にこの機関車が導入されてジーゼル機関車の全盛時代となった。しかし1983年には電化が進み、アレキサンダー号は旅客輸送から外され貨物輸送を担当した後1997年退役してこの博物館に保存されることになった。
窄軌蒸汽火車頭 Narrow-gauge steam locomotive
香港鐡路博物館のもう一つの目玉はこの蒸気機関車 W.G. Bagnall 0-0-4T。1923年英国 Bagnall 社製で九廣鐡路・粉嶺から沙頭角への支線に2機導入されたが、1928年支線が廃線となりフィリピンの Victorias Milling 製糖会社に売却された。バガス(サトウキビの搾りかす)を燃料としてフィリピンで1980年代まで活躍した。この博物館に歴史ある蒸気機関車を展示したいと考えた博物館スタッフは比国ビクトリアス製糖会社で廃車となっていた機関車を香港に戻し、2年の歳月をかけて元の形に復元して1997年からこの場所で展示されている。長く世界の製糖工場では輸送のため多くの蒸気機関車が活躍した。右脇の写真はハワイで製糖会社で働き、今は観光用として活躍しているサトウキビ列車。(2006年7月7日マウイ島で撮影)
その他の展示車両 (写真下・左)1964年112號頭等車廂 (下・中)1911年302號三等車廂 (下・右)1974年276號普通等車廂 *頭等とはファーストクラス(一等) 302號の天井に扇風機が付いているがこれはかなり後に付けられたと推測する。
MTR 香港地下鉄(地鉄)
旅行者にも簡単に利用できるのがMTR(香港地下鉄・香港地鐡)である。日本に比べるとはるかに料金も安く、路線図で分かるとおりほぼ全域をカバーして、しかも車内も清潔で快適に移動できる。写真のようにほとんどの駅にプラットホームドアーが設置されて安全性は向上したが、どのような車両が走っているのか分からない。しかしMTRが地上に出たところのホームではその全景を見ることが出来る。全景写真は觀塘線・九龍灣で撮影したもの。機場快線(AEL)は全駅ホームドアー方式であるが、東湧線・欣澳で通過するAELを見ることが出来る。なお同駅では東湧線および迪士尼線の車両も撮影出来る。地上でのMTR全景写真の下は昔の地下ホーム(尖沙咀)で1999年に撮影したもので、現在と違った懐かしい車両である。いずれMTRも全駅ホームドアーとなるので鉄道ファンにとっては車両の撮影は難しくなるだろう。
現在の車両と車内
現在のプラットホーム 昔のプラットホームと車両
機場快線 AEL Airport Express Line
香港と香港機場(空港)を結ぶ機場快線(AEL)、空港と香港(中環)を24分で連絡している。料金は100港元(機場-九龍は90)と高めであるが九龍と香港(中環)では無料のシャトルバスでほとんどのホテルまで送迎があるので便利である。
車内は極めて快適で座席にはインフォメーションのLCDも付いている。今までは機場が終点だったが、「博覧館」まで延長された。東湧線で使用されている車両はAEL、MTRとも違うので興味深い。外形はAELと良く似ているがドアーの数と塗装(やや薄め)が違い、車内もAELと大きく違ってややKCRに良く似ている。
迪士尼線 Disneyland Resort Line
香港迪士尼樂園(HKDL・香港ディズニーランド)開園のために開通した迪士尼線。ユニークなデザインで人気がある。MTR東湧線・欣澳(Sunny Bay)で乗り換える。香港からディズニーまで26分で連絡している。(料金26港元) 迪士尼で降りると目の前がディズニーランドである。MTRはワンマン運転だが、迪士尼線は一駅だけなので無人運転で運行されている。
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地鐡有限公司(MTR)と九廣鐡路公司(KCR)が合併
2007年11月地鐡有限公司(MTR)と九廣鐡路公司(KCR)が合併というより、実質上はMTRがKCRを吸収して、香港内の鉄道は香港鐡路公司(MTR)の独占運営となった。KCRの九広東鉄(East Rail)は新MTRの東鐡綫(線)に、西鉄(West Rail)は西鐡綫(線)に、馬鉄は馬鞍綫(線)となった。(軽鉄の名称は変わらず) 従来のMTRの港島綫、�恃灣綫、觀塘綫、将軍澳綫、機場快綫、迪士尼綫、東涌綫を加えて香港内をすべて鉄道網をMTRが網羅するようになった。2011年現在のMTRの路線図は下記の通り。
ピークトラム 山頂纜車 PEAK TRAM
香港TRAM(路面電車)と並んで100年以上の歴史があるのが山頂纜車有限公司が運営するピークトラムである。海抜28mから396mの山頂駅まで1.4kmを結んでいる。乗車料金は片道28港元(HK$)往復は40港元、オクトパスも使える。ピークトラムに乗車するにはMTR(香港地鉄)中環駅J2出口、または金鐘駅から香港公園を通り抜けて徒歩10分強。バスだとスターフェリー(中環)乗り場から15番の路線バス。タクシーだと「花園道山頂纜車站」と言えば連れて行ってくれる。山頂からの景観も素晴らしいが是非歴史あるこの登山電車にトライして欲しい。登るときは右側の席を確保するのが良い。かなり角度を付けて登るので窓から見える景色は写真のようになる。
九廣鐵路公司 KCR Corporation
九広鉄路(KCR)はMTR(香港地鐵)と並んで香港の重要な鉄道である。現在下の路線図にあるように東鉄、西鉄、馬鉄、軽鉄と4つの路線がある。
*MTR(香港地下鉄)とKCR(九廣鐵路)は合併して、2007年12月に香港鐵路(MTR)となった。従って旧KCRの路線については、例えばKCR East Rail (九廣東鐵)はMTRの東鐡綫(East Rail Line)となった。駅名についても旧旺角(モンコック)は旧MTRと旧KCRにあったが、同一会社となったので旧KCRの旺角は旺角東と変更された。
九広東鉄(KCR EAST Rail) 最も古く開通した路線で当初は羅湖(Lo Wo)と紅�弍(Hung Hom)を結んでいたが、紅�弍から地下に入りかって九龍駅があった尖沙咀近くの尖東駅まで延長された。羅湖駅は深�祁への入出境駅で駅内にイミグレーションがある。唯一この路線のみ1等(頭等)車1両連結されている。通常沙田駅と大學駅の間は火炭駅を通るが、香港(沙田)競馬開催日は支線を通り馬場駅に停まる電車も運行している。(12両編成)
九広西鉄(KCR WEST Rail) 2003年に開通した新しい路線で南昌と新界西部の屯門とを結んでいる。従来香港のベッドタウンの新界にはバスかフェリーの連絡しかなく不便であったがこの西鉄と軽鉄の開通により香港市街までのアクセスは容易となった。西鉄・南昌駅と東鉄・尖東を結ぶ工事が進んでおり更に便利になる。(7両編成)
九広馬鉄(MA ON SHAN Rail) 東鉄・大圍(Tai Wai)から北東へ延びる路線で鳥渓沙(Wu Kai Sha)まで結んでいる。この地域一帯の海岸は埋立て工事が進み高層アパートが多く建設されている。新界東部を結ぶ重要路線となっている。(4両編成)
新路線計画 現在深�祁から香港に鉄道で入るには九広東鉄・羅湖経由しかないが、近い将来に九広東鉄・上水から深�祁の落馬洲への路線が計画されている。またその次には同じく落馬洲から九広西鉄・錦上路までの路線も計画されている。
写真(上・左)九広東鉄の頭等(1等)車両の車内、料金は普通車両の2倍である。頭等車両は中央に一両だけ連結されており、車両の上部塗装が黄色になっている。頭等車に乗車するときは事前にホーム・頭等車廂と表示されたところにある端末にオクトパス(八達通)をかざして料金支払いを済ませる。写真(右・上)は普通車両の車内、従来と比べて快適になっている。ただし車内モニタから流れる音声と自由になっている携帯電話の通話で非常に騒がしい。西鉄(ウエストレール)には静音車両が1両連結されていてモニタの音声は無く、携帯電話も禁止となっているのでアンクルサムは好んで乗車している。西鉄のように新しく建設された駅は安全確保のためホームドア方式(写真下・右)となっている。
* 香港市街(MTR・地鉄)からKCRに乗り換えるには、東鉄はMTR観塘線「九龍塘」、西鉄はMTR�恃灣線「美孚」が便利。廣州や東莞への直通車に香港からは「紅�弍」からしか乗車出来ない。
九廣輕鐡 (KCR Light Rail)
KCRCの路線図を見ると九広西鉄の元朗站(駅)と屯門站の区間に天水圍と兆康を経由してネットワークを形成している路線がある。これは1988年9月開業した九広軽鉄(KCRライトレール)である。新界西部地区に68の駅を配し開発されているベッドタウン住民の足となっている。2003年九広西鉄が開通されるまでは香港市街からこの路線にはバスかフェリーを利用しなければならなかったが、西鉄開通により非常に便利になった。
九広軽鉄の車両には運転席が前方だけしかなく、従ってターミナルでは線路はループとなって方向転換する。軌間1435mm、直流750V、インバータ制御運転でオーストラリア製と日本製(川崎重工業)がある。トップの写真は川崎重工業製。2両連結もあるが後方車両に運転席がないタイプもある。
写真(上・左)の右にある円形の建物は九広軽鉄・元朗站、左は九広西鉄・元朗站。乗車はオクトパス(八達通)が便利で、各駅に設置されている端末センサーに乗るときにオレンジ色の「入站」に降りたときにグリーン色の「出站」の端末にオクトパスにかざす。
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地鐡有限公司(MTR)と九廣鐡路公司(KCR)が合併
2007年11月地鐡有限公司(MTR)と九廣鐡路公司(KCR)が合併というより、実質上はMTRがKCRを吸収して、香港内の鉄道は香港鐡路公司(MTR)の独占運営となった。KCRの九広東鉄(East Rail)は新MTRの東鐡綫(線)に、西鉄(West Rail)は西鐡綫(線)に、馬鉄は馬鞍綫(線)となった。(軽鉄の名称は変わらず) 従来のMTRの港島綫、�恃灣綫、觀塘綫、将軍澳綫、機場快綫、迪士尼綫、東涌綫を加えて香港内をすべて鉄道網をMTRが網羅するようになった。2011年現在のMTRの路線図は下記の通り。