香港歴史街道を訪ねて

2014年11月03日 | 香港街歩き

香港の歴史的建造物(法定古跡)を訪ねて

近年香港でも歴史的な文化財を保存すると動きが出てきて、今では法定古跡の指定など政府指導で文化財の保護が進められている。2006年にスターフェリーの中環乗船場の閉鎖・取り壊しを契機に市民の運動が起こったのが発端だと思っている。金鐘―中環―上環には歴史的な建造物がたくさんあり、ぶらぶら散歩するのも楽しい、お勧めのとっておきスポットをいくつか紹介する。

舊最高法院 (旧立法會大樓)

中環(セントラル)でMTRの皇后像廣場への出口から出ると目の前にある。1912年に落成し、最高法院、および立法機関、そして2011年までは香港立法会として利用されました。建物はバッキンガム宮殿などの建設に関わったイギリスの建築家アストン・ウェッブとイングレス・ベルにより設計された。写真は中国銀行側から撮ったもの、大きな天井のドームと回廊のシルエットが美しい植民地時代を代表する建物。

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皇后像廣場と和平紀念碑

旧立法會大樓の遮打道をはさんで北側に和平紀念碑がある。大きな芝生の広場の真ん中に慰霊碑はロンドン・ホワイトホールの慰霊碑とまったく同じデザイン、ただしこの香港のものは 「英魂不朽 浩氣長存」と彫られている。もともと第一次世界大戦の戦没者を弔うため、1923年に建てられ、その後、第二次世界大戦の戦没者も追加された。セントラル(中環)駅を出ると目の前にあるのが皇后像廣場、 ビクトリア女王の銅像があったがビクトリア公園に移されて、現在は香港上海銀行の元総経理であったサー・トーマス・ジャクソンの銅像が建っている。皇后像廣場の周りには、旧立法會大樓・和平紀念碑・香港上海銀行本店などセントラルの名所が並んでいる。

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終審法院  (前法國外方傳道會大樓) 

旧立法會大樓の南、香港上海銀行を過ぎて皇后大道中を渡ると向かいの小高い丘に赤レンガ建ての建物が見える。前法國外方傳道會大樓だ。丘に上がる石段を上がっていくと、前法國外方傳道會大樓の前に出る。建物の入口の上には香港特別行政區章の下に「終身法院」と書かれている。この建物も長い歴史があるが、1917年にフランスの外方傳道會大樓としてリニューアルされたのが今の建物。1953年に政府に売却、その後政府機関が利用していたが、1997年からは香港終審法院となっていて、香港の歴史を物語る建物だ。

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聖約翰座堂 ST. JOHN'S CATHEDRAL

石段を上がったら赤煉瓦造りの前法國外方傳道會大樓の前に出るが、そのすぐ右側にあるのが聖約翰座堂(セント・ジョンズ教会)。1849年に建設され、香港でもっとも古く歴史を持つ教会として知られている。13世紀のゴシック式建築の様式で、質素で気品がある美しい建物だが、高い木々の緑に囲まれているので、建物の全景の撮影は難しい。日本軍占領時代には日本人倶楽部として使用された。中の礼拝堂も見学させてもらえる。

聖約翰座堂

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聖約翰座堂を出て、花園通に沿って登っていくとピークトラム駅(山頂纜車總站)、さらに進むと梅夫人婦女會主樓(ヘレナ・メイ)が左側に。1916年元香港総督夫人ヘレナ・メイが、香港を訪れる独身西洋女性用の宿舎としてに開館、日本軍占領時代は日本軍のクラブハウスに、現在はすべての国籍の女性の宿泊を受け入れている。さらに西に進むと右手に香港動植物公園、左手に行くと香港公園。 

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舊三軍司令官邸(茶具文物館)

香港公園はとても大きな公園で、その北東部に1978年まで駐香港英国軍総司令官邸として使われていた二階建のルネッサンス様式の建物がある。1844年に建築され、現存するもっとも古い西洋式建築物とされている。現在は香港藝術館の分館・茶具文物館として一般開放されている。このコースについては本文の紹介は位置関係ではこのコースが分かりやすいのだが、実際はかなりの上り坂になるので逆のコースをお勧めする。MTR金鐘駅からパシフィックプレイスを抜けて香港公園に、公園を右手に進むと茶具文物館。香港公園から動植物公園を進むコースがお勧め、最後はセントラル駅にたどり着く。

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中環(セントラル)から上環(ションワン)へ

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香港外国記者會(FCC)、藝穂會(フリンジ・クラブ)

MTR中環から雪咸街を登っていくと、外国記者クラブの建物がある。1892年もともとは乳業会社の倉庫として建てられた。1982年建物手前(北棟)に外国人記者クラブが入り、2年後に南棟(写真左奥)にフリンジ・クラブ(藝穂會)が入った。中にはギャラリー、シアター、レストランがある。

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旧中區警署

さらに雪咸街を道なりに進み荷李活道(ハイウッドロード)に入ると左側に旧中區警署が見えてくる。警察署は1864年に監獄を併設した質素な建物だったが、1919年に現在の建物になった。正面に「Hong Kong Plice」と記された上に建設された年号「1919」とある。美しい青色の窓枠と石造りのマッチングが素晴らしい。建物の中庭側から見ると赤レンガ造りで同じ建物とは思われない雰囲気である。

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前中央裁判司署 域多利監獄

旧中區警署の一角に前中央裁判司署と域多利監獄(ビクトリア・プリズン)がある。前中央裁判司署(写真右)は1914年に建てられたもの、大きな柱が古代ギリシャの神殿を思わせるデザインである。裁判司署が移転した後、入境事務所や警察署のクラブハウスとして使われ、現在は再開発計画が進められ、おそらく外観を保存して中は近代的な内容になるのだろう。写真左は域多利監獄(ビクトリア・プリズン)は香港で最初の刑務所で、ごく最近まで使用されていた。この周りを歩いて行くと元刑務所だったことが分かる表示をいくつか見つけることが出来る。写真左下に「監獄圍牆不准泊車」刑務所の外壁は駐車できないという表示、また刑務所での面会に対する注意表示の看板も見つけることが出来た。昔はあまり歩きたくないところだっただろうが、今は香港の昔を訪ねられる素晴らしい散歩道になっている。

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甘棠第(孫中山紀念館)

堅道を北西に向かって進むと孫中山紀念館に出る。あちこちに案内版が出ているので心配ない。日本では孫文と呼ばれている中国の革命家の生誕140年を記念して孫中山紀念館がオープンした。中環(セントラル)・半山衛城道にある「甘棠第」と呼ばれた1914年に建てられた西洋建築の粋を極めた建物を改装して紀念館となった。この辺は坂が多く歩いても疲れるので、ぜひ入館して中の展示や美しいステンドグラスを眺めて疲れを癒そう。

孫中山紀念館

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舊病理學院(香港醫學博物館)

孫中山紀念館から文武廟を目指し、急な階段の樓梯街(Ladder St)を上がっていくと右側に緑で囲まれた赤煉瓦の美しい建物が見える。昔流行したペスト菌の研究を行なうために1906年建設された病理學院を、今は香港醫學博物館として使われている。エドワード王朝時代の英国式建築様式で香港法定古跡にされている。館内では100年にわたる香港の医学の歴史と発展について展示品で紹介している。

香港醫學博物館

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香港中華基督教青年會必列者士街會所

文武廟から醫學博物館に向かう途中、大きな赤レンガの建物が香港中華キリスト教青年会(YMCA)、中華YMCAは20世紀初頭にアメリカから派遣された宣教師によって香港に誕生。会員が増加したので、1918年に現在の建物が建設された。香港中華YMCA必列者士街(Bridges Street)會所の歴史は次のサイトで。

香港中華基督教青年會必列者士街會所歴史

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皇書院 King's College

般咸道(Bonham Road)をすっと西に進み、西邊街(Western Street)と交差するところに英皇書院がある。赤レンガの気品ある建物、ロンドンのキングスカレッジと関係あるのかないのか分からないけど、学生たちも建物と同じように格式が高そうだ。建物の設立は1926年落成、法定古跡に登録されている。

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 香港大學 The University of Hong Kong

香港大学はかなり遠いので歩いては無理なので、中環からバスか上環からタクシーになるが、1911年に設立された香港大学には見どころがたくさんある。まずは香港大学美術博物館(左)、設立当初は「馮平山博物館」、のちに隣の「除展堂楼」3階も改築して博物館の一部となり、香港大学美術博物館となった。ここは一番のお勧めポイントで展示品は素晴らしく新石器時代から清朝までの中国陶器、磁器や青銅など多く展示されている。入場は無料、喫茶室も充実している。香港大学はとても広いので、大学の案内版を見て回ることにする。香港法定古跡もあり、時計台のある建物はもっとも古い建物で20世紀初めに建てられた。景観が素晴らしくまるで優雅なリゾート地にいるのではと錯覚する。TOPの右は「孔慶熒樓」(Hung Hing Ying Building)、音楽図書館である。中央にドームがあってとても美しい。もちろんこの音楽図書館も香港法定古跡になっている。

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西港城(Western Market)

MTR上環駅の目の前にあるのが、ウエスターン・マーケット、香港で最も古い建物の一つにあげられている赤煉瓦のおしゃれな建物。建築様式はビクトリア朝後期のもので1906年に設立。1990年に法定古跡になり、翌年改装工事を済ませて規模を拡大した今の姿になっている。グランドフロア(1階)は観光客向けのショップ、1階(日本では2階)は布地などを扱う店が入っている。出入り口付近の内部ではアーチ型に積まれた煉瓦でのビルの構造を見ることが出来る。

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アドバイス:中環と上環にある比較的訪ねやすい法定古跡の一部を紹介したが、実際に現地でその建築物の歴史などを学びとるのは非常に難しい。また尋ねてもたぶんまともに答えられる人はほとんどいない。従って事前準備が大事だが、それには「香港文物探知館」を訪ねて欲しい。古跡などの案内パンフレットから資料が揃えてあり、係員の人が詳しく教えてくれる。  香港文物探知館

 

 

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