![]() | EVE new generation(通常版)角川書店このアイテムの詳細を見る |
PS2のアドベンチャーゲーム。2006年発売。
PCやサターンでヒットしたEVEシリーズの現状最新作。
EVEシリーズは初代『EVE burst error』が名作としての有名で、自分としてはADVでは異例の七周クリアしたゲームでもある(内訳、サターン版4周、WIN版1周、PC98版1周、PS2版一周)
ギャルゲー・エロゲーとしては珍しい20万本のヒットとなった本作は、当然のように続編も作られ
たのだが、その続編『EVE Lost one』は、ファンのみんなのに総スカンくらった駄作として名高い。
というのも、ディレクターでありシナリオライターであった剣乃ゆきひろが『EVE burst error』を出した後に会社を移籍したため、まったくの別人たちによる強引な続編になっているのが最大の原因。一作目で完璧に完結している作品を無理に延命しているため、どう考えても蛇足にしかならないのだから仕方がない。
が、それを考慮しても『EVE Lost one』は空気読めてないとしかいいようのない原作レイプっぷりでたいそう顰蹙であった。ちなみにこのゲームのシナリオライターは若かりし頃の桜庭一樹で、いま思えば大胆すぎるレイプっぷりはある意味、尋常な精神では出来ないので、のちの直木賞作家の片鱗を感じないでもない。そもそも美少女ゲームの機微をこれほど感じないライターは珍しかった。
そんなひどい二作目でも前作のおかげでけっこう売れたので、その後も『EVE ZERO』『EVE The Fatal Attraction』とシリーズは出つづけるのだが、評判も売上も急激な右肩下がりの一途。
結局、販売会社自体の存在も怪しくなり、2001年から放置されていたのたが、それが2006年に急遽復活。新シリーズとして立ち上げると発表したのが本作なわけだが……
二作目での顰蹙を受けてか、三作目、四作目は初代のデッドコピーになっていて、そのせいで右肩下がりだったわけだが、復活を掲げる今作では、イラストレーターも一新し、シナリオライターには『EVER17』でギャルゲーマーには有名な打越鋼太郎を起用。打越鋼太郎といえば記憶や人格に関わるSF的ギミックと叙述トリックで定評のあるライターだ。初代をつくった菅野ひろゆきとはSFという共通点はあれど、作風はまるで異なっているため、まったく新しいシリーズを作るには適任ではあるかもしれない。
で、実際の仕上がりとしては……
つまらなくはないけど、これどこもEVEじゃねえな。
まず主人公の小次郎とまりなのキャラが違いすぎてちょっと吹く。
基本的に喰えない人物であった二人が、なんかわりと真面目なのが変だし、ピンチのときでもなんだかんだでジョークをとばしていた二人が常にせっぱつまっていて余裕がないのもおかしい。
これはもうライターの性格の違いとしかいいようがない。
わりと初代っぽさを残そうとしているのはわかるのだが、やれはやるほどその真面目さが初代との違いを浮き彫りにしてしまっている。
とにかくすべてのキャラがいままでとは別人としかいいようがない。これはもうシリーズとして見ない方が正しいなー。
イラストの面でも、みんなすごい馬面で「別人別人」と心の中で呪文をいくら唱えても「それ以前に下手すぎるだろ、これ」と素に返らざるを得ない低クオリティ。どうしてこうなった?
が、そういうのファンであるがゆえの違和感とかその他諸々はおいといて、ストーリー自体の出来はというと、なかなか良い。
ひたすらテンポをよくすることにつとめたのだろう、ストーリー展開は『24』ばりにピンチとどんでん返しの連続で、飽きるよりも先に次の事件が起きるというハイテンポ。
二つの視点を任意で切り替えて進むシリーズ独自のシステム「マルチサイトシステム」は、あざといひきの連発のおかげで際立っているし、お互いに疑念が浮かぶように組み立てられた二人の主人公の行動の絡み合い方もマルチサイトを実に生かしている。
ストーリーの骨子となるSFトリックも面白く、「んなわけねえだろ」と思いつつ「できるかも」と思わせる魅力がある。
トリックの伏せ方にかなりアンフェアなものがあるし、ミスリードを誘う手法に強引すぎるものもあるし、主人公達がかなり間抜けなアホの子を演じてしまっている部分も多々あり、この辺の欠点はシナリオライターの今までの作品でも散見できた特徴ではあるが、ちょっとやりすぎの感はあり。
小さなトリックの積み重ねでひつぱり続けたシナリオは、クリアーするまでまったく飽きさせない牽引力はあるのだが、しかしクリアーしてみてもいまいちすっきりしないという欠点を持っている。この辺も、一つの大きなトリックで(かなり強引に)すべてを収斂させた初代作とは対照的だ。
全体的に、初代をあえて意識したような部分があちこちに見られるのだが、結果的に仕上がりは正反対。
個人的には圧倒的に初代のが面白かったのだが、ここまでちがうとこっちのが好きだという人もけっこういそうなので、シリーズを復活させる方向としてはそんなに間違ってはいなかったと思う。ただ、いまさら復活しても喰い付く人がいなかっただけだろう。おれもスルーしつづけてたし。結果的にシリーズ復活させたけどやつぱりずっと放置だし。最新作にいたっては脱衣マージャンだし。もうなにがなんだか。
一本のADVとしては、そこそこの良作なのでプレイして損はない。
が、インターフェイス、てめーはダメだ。
既存の操作系と違い、「見る」「調べる」「話す」がそれぞれボタンに対応しているという形になっているのだが、「見る」で会話がはじまったりすることが頻繁にあるため、結局総当りでまったくこの形式にした意味がない。
十字キーおしっぱで見たり調べたりする場所を指定するのだが、直感的でシンプルなシステムを目指したんだろうが、仕上がりはまったく直感とは程遠く、ただ煩雑でめんどくさいだけのダメインターフェイスだった。これだったらただボタンを押して読み進むだけのほうがなんぼもマシだった。
結論として「やっぱりEVEは一作目で終わってたんだなあ」という感慨を新たにするゲームだった。
かといってアホみたいに移植・リメイクを繰り返したあげく、おまえどこの誰だよという変貌をとげてまだリメイクしつづける初代作はこれはこれでうんざりだし、かといってもとの製作者である菅野ひろゆきの最新作『MQ~時空の覇者~』は思い出すだけで三日間は酒に逃げたくなるようなひどさだったし、全体的に天が「EVEのことは忘れろ。そうすればお前は強くなれる」と云っているのではないかな。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます