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うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

少女には向かない職業  桜庭一樹  うな

2009年02月16日 | 読書感想
少女には向かない職業 (創元推理文庫)
桜庭 一樹
東京創元社




田舎町でアル中ニートの義父と生活疲れの母の間でげんなりしながらも、友達の前では明るく振舞っていた中二の葵は、ある日むしゃくしゃして通りすがりの山羊を殴っていたところをクラスメートの静香に見られてしまう。
静香は葵の義父への憎しみを見抜き、殺すことを提案するのだが……

中二病がリアルすぎる。
中二病的な奇矯な行動、中二病にいたる環境、中二病的心理、そして中二病から覚める瞬間、そのすべてがリアルすぎる。ここまで冷静かつ的確に中二病を描いた作品があるだろうか?

休みの日の午前中は港でおばあちゃんたちとエビの殻剥くアルバイトして三時間で1500円とか、遊びに行くときは市内にでなきゃいけないとか、家だとうるさいので外でDSやってるとか、そういう細かいところがやたら生々しく、語彙が少なく落ち着きに欠けた一人称と相まって、このうえもなくリアルに女子中学生。
そこに他の追随を許さない生々痛々しい中二病描写が組み合わさった状態はまさに中二無双といった状態だ。

が、そのリアリティに反して、ストーリー自体はやっぱりひねりがまったくなく、盛り上がりにはまったく欠けた。オチも非常にどうでもよい感じ。
終盤、二人のどちらが嘘をついているのか惑わすような感じになっていたが、べつにいままでの話を丁寧に読んだところでどちらが嘘をついているか推理できるわけでもなく、またどちらが嘘つきでもいいやって感じで、非常にどうでもよかった。
そういえば作者がまだ山田桜丸であった頃にシナリオを書いたゲーム『EVE The LOST ONE』でも、似たようなことをやってて、やっぱり盛り上がりに欠けてたな。癖なのか?

中二病描写に関しては素晴らしいものがあったが、それ以外に関しては凡庸で、ページ数的にはあまり長くないのにちと冗長さを感じた作品。
女子中学生な気持ちや中二な気持ちを味わいたいならオススメって感じだなー。



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