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ディック スギ の写真の世界(The World of Dick Sugi’s Photos)

📷このブログでは写真全般の話題を取り上げていきます📷

安原一式を語る

2024年08月17日 | ディック スギの写真談義

今ディックの手元に安原一式があります。

本の紹介のシリーズに「安原製作所 回顧録」を取り上げるにあたり、防湿庫から持ってきました。

これは、世の中がデジタルに移行した後に、ネットオークションで手に入れました。ディックは、フィルムはほとんど使わないため、使わないだろうなと思いながらも、頭の片隅に残っていたカメラなので、家に来てもらうことにしました。

トータル4000台程度しか売れていないカメラなので、なかなか市場に出てこず、ディックも実際に触ったのは、この機種が初めてでした。

登場当時はとても話題になりましたが、そうしたカメラで実際に触ったことがない方が多いカメラの筆頭に上がるのではないでしょうか。

 

安原一式は、1998年10月にネットで試作機が発表されて以降(同時に予約開始)、カメラ雑誌だけでなく、マスコミでも多く報道され、大きな話題になったことはディックもよく記憶が残っています。また、安原一式は、ライカLマウントの機械式のレンジファインダーであったことで、ちょうど中古カメラブームでライカが人気になっていたことも盛り上がった原因の一つと考えます。企画が時流に合っていたといえます。

販売方法も定価販売で、5000円の予約金を払って予約し、順番がきたら販売するというスタイルのみで、これも大きな話題となりました。1999年3月の供給開始後も供給がなかなか進まず、バックオーダーを多く抱える時期が長く、実物を持っている人が少なかったことも、人気に拍車をかけた一因だったと思います。

ただ、これはニッチな分野で、もともと需要が多くない上に、競合機種となるフォクトレンダーブランド(コシナ)の登場やフィルムからデジタルへの移行で、フィルムカメラのこの路線だけでは長続きしなかったのも事実だったでしょう。

2号機秋月は、安原製作所のオリジナル企画のフィルムカメラ(レンズ固定式の露出はAE(A又はP)のレンジファインダーカメラ)でしたが、開発が遅れ(専らの原因は工場での遅延)、2003年末の登場となってしまい、時代がデジタルに移行しつつあったこともあり、人気が出ず売れたのは100台以下とのことです。

 

ディックは、安原一式がとても話題になったことは、前述のとおり、ディックは正にリアルタイムの状況で知っているのですが、必ずしも肯定的な見方ばかりでなかったのは事実です。

機種自体が中級機レベルなのに(しかもシャッター膜の遮光性につき、やや難あり)、少量の限定供給(工場の生産能力の問題もあったと思いますが。)のため予約販売の手法を取ったこと、譲渡後は届け出が要請されていたことなどは、プレミアムが付く高級機の売り方だと思い、そのギャップに違和感を覚えたものでした。

フォクトレンダーから同様なコンセプトの機種(ベッサR 2000年3月)が登場すると、次第に話題に上らなくなっていった記憶です。

日本のOEMメーカーと提携して高級機路線で展開していたら、もっと違っていたかもしれませんが、それが安原さんの意向と合致していたかどうかは分かりません。

秋月は、フィルム派の方が今欲しいカメラではないでしょうか。フィルム撮影を楽しむには理想的なスベックだと思います。

突然の業務終了は、時期に遅れない撤退だったと思いますが、アフターサービスも一気に終わってしまったので、この点は物議を醸したということがありました。これだけ潔くできたのも、技術者出身ということも大きかったのかもしれないと感じました。

 

安原さんはディックと同年代ですが(写真関係の時代背景は同じなので、より共感できるものがありました)、今回この話題で調べたところ、2020年3月に逝去されていたことがわかりました。早すぎます。ご冥福をお祈りします。

※安原一式は改めて紹介したいと思います。

安原一式は、思っていたよりもしっかりとした作りでした。これは触ってみないと分からないところです。

カメラジャーナル77号で取り上げられました。長徳氏は予約したものの、順番がまだ先。たまたま中古カメラ屋で委託品が出ていたのを購入したので、この号で取り上げたというストーリー付です。

 

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安原製作所 回顧録(本の紹介 10)

2024年08月16日 | 本の紹介

安原製作所 回顧録(安原伸 著 枻文庫)
2008年1月刊

安原さん1人のカメラメーカー「安原製作所」の立ち上げから、安原一式、2号機の秋月の販売を経て、その終わりまで(1997年~2004年。振り返ってみると、わずか7年程度です。)を回顧録として記した本。

安原一式は、1998年10月にネットで試作機発表されて以後、時の中古カメラブームの状況にも正にまさにはまり、立ち上げの特異性ととも、とても話題になったこと(取材が殺到し、多くのメディアで取り上げられましたが、安原さんはその取り上げ方に違和感があったようです(P132参照))は、当時写真に接していた方には記憶に刻まれているのではないでしょうか。

カメラを一人で企画から販売まで行うという、通常考えられないことを実現してしまったというストーリー自体、興味深いもので、それを本人が説明してくれるので、この時をリアルタイムで知っているカメラファンなら面白くない訳がありません。

ディックもこれまでに、何回か読んでいます。しばらくすると読みたくなるのです。

その時のカメラ業界や販売されたカメラの状況にも触れられており、そうした点もよく分かるので、フィルムの時代末期からデジタルに移行しつつあった当時を知らない方には、その時代の空気を知ることができる格好の読み物だと思います。

 

〇 枻出版社は写真関係の本も多く展開していたので、写真好きには注目の出版社でしたが、2021年2月に民事再生法が適用され、出版業務は終了してしまいました(多くの雑誌は他社に譲渡されました。)。文庫本は引き継がれなかったので、この本も絶版になっています。とても残念なことでした。

 

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カメラは病気【本の紹介⑨】

2024年08月13日 | 本の紹介

カメラは病気(和久俊三・田中長徳 著 光文社文庫)
1998年12月刊

副題「あなたに贈る悦楽のウイルス」

これは、作家の和久俊三さんが本格的に写真もやっておられ、使うための膨大なカメラ、レンズを所有していることから、田中長徳さん御一行が和久邸に伺い、それを見ながら、その機材に関する話題を出発点に、写真にかかる多岐にわたる話題の放談を1冊にまとめたもので、光文社文庫の書下ろしになっています。

田中長徳さんお得意の中古カメラの話題に尽きる展開にはならず、話がかみあっていなようで、また、あちこち脱線しながらも、お互いの写真観が色濃く出ていて、今読んでも面白いの一言に尽きます。当時田中長徳さんとタッグを組んでいたアルファベータの中川さんがうまくまとめたものと感心します。

和久俊三さんのお付き合いのあったカメラの代理店、カメラ屋、当時のメーカー、写真雑誌に対する歯に衣着せない発言は、かなり辛辣な表現もあり、ここまで書物で言ってもいいのかなと思う場面もありました(これは、写真業界がメインでない和久俊三さんならではの感があります。)。当時の状況がよく分かるシーンもあり、それには懐かしさも感じました。ただ、今になっても変わらず役立つ話題も多いです。

表紙は赤瀬川源平さんのダリ風のイラストがとても目を引きます。

前世紀末に発生した中古カメラブームからはや20年以上が過ぎ去り、和久俊三さん、赤瀬川源平さんは鬼籍に入られました。

この本は色あせることなく存在します。お勧めの1冊です。

参考になる箇所は付箋を貼っています

 

目を引く表紙です

 

ドイツにいる時(1999-2000)に、デュッセルドルフに出向いた折に、日本の本を扱っている本屋で購入。シールはマルク表示。これもよい思い出になっています。

 

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「エアポケットの時代 ─80〜00年代の日本製カメラたち─」を読む(PCT掲載)

2024年08月12日 | SNSの紹介

お盆の休みで3連休を含んで5連休となったので、日ごろの仕事の疲れをリカバーをする(これも大切ですね)とともに、寫眞家としての活動も並行して行っています。

その一環として、気になったものを読むのにも時間を充てることにしました。

まずは、ネット掲載の佐藤成夫さんの「エアポケットの時代 ─80〜00年代の日本製カメラたち─」に注目しました。

https://photoandculture-tokyo.com/list.php?c=0&s=01%3A%E3%82%A8%E3%82%A2%E3%83%9D%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E6%99%82%E4%BB%A3++%E2%94%8080%E3%80%9C00%E5%B9%B4%E4%BB%A3%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%A3%BD%E3%82%AB%E3%83%A1%E3%83%A9%E3%81%9F%E3%81%A1%E2%94%80&p=1

カメラの電子化が本格化してデジタルに移行するまでの、各メーカーの取り組みみが分かる連載物でまだ継続中です。ディックはこの時期ずっと写真と付き合ってきたので、それを振り返ることができるこの連載は、とても興味深く拝見しました。

この間に起きた、α7000の登場はエポックメイキングな出来事で、一気に一眼レフのAF化の流れが進み、これについていけないメーカーの脱落が起きたり、その主役だったミノルタも結局その後撤退してしまうなど、ドラマチックな展開の中で、カメラの操作性がどのように変わっていったかを詳しく取り上げられており、読みごたえがある連載です。今は、AF化によるレンズ側の影響についての話題が展開中。

この時代のカメラの進化を振り返り、そうだったなという共感と新たな発見をしながら楽しませていただきました。

これはPCT(ピクト)のコラム欄に掲載しています。

赤城耕一さんもメーカー別の機種のコラム(「推すぜ!」シリーズ)を展開中

ペンタックス、ニコンS、ニコンF、オリンパスに続いてミノルタを取り上げています。

https://photoandculture-tokyo.com/list.php?s=%E6%8E%A8%E3%81%99%E3%81%9C%EF%BC%81%E3%83%9F%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%82%BF

合同会社PCT(ピクト)は、2021年4月をもって休刊した月刊日本カメラ(株式会社日本カメラ社)の元メンバーで設立した会社。代表の佐々木秀人さんは日本カメラの編集長でした。コロナがはやる直前に、日本カメラの編集部を訪ねて、佐々木さんに写真を見ていただいたことがあり、つい最近なことのように思えます。

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8月になる

2024年08月02日 | 寫眞家 ディックの話題

あっという間に7月は終わりましたが、今年は記録的な猛暑として記憶に残る年になりそうな予感です。

最近寫眞家としての活動は目立ったものがなく、また流されモードにならないように注意する必要があります。

書き物の意欲は低下モード域にありますが、まずはできることを着実に進めたいです。

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1日のワンちゃん

2024年08月01日 | ディックの撮影分野
 
毎日暑いですね 
子ブタちゃんたちもカオス状態に至っていそうです
 
1日恒例の「1日のワンちゃん」
カレンダーのワンちゃんとその月の数の子ブタちゃんが登場して、コラボするシリーズです
 
(SONY α9  TAMRON 28-75mm f2.8 Di Ⅲ RDXf16 AE)
 
 
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