今回取り上げる本は
「先客万来の 中古カメラ店ガイド」(田中長徳 著 アルファベータ 1996年(平成8年)3月刊)
「先客万来の 中古カメラ店ガイド 第二版」(田中長徳 著 アルファベータ 1997年(平成9年)9月刊)
です。
20世紀末に起こった中古カメラブームは、1993年(平成5年)ころにその存在が発見され、1999年(平成11年)にはピークを迎え、2003年(平成15年)ころまでには終息したとされます(これについては、本の紹介③で取り上げた「ブームはどう始まり どう終わるのか」(中川右介 著 岩波アクティブ新書96 2004年(平成16年)1月刊)が詳しいです。)。
最近、ディックは、自身も大きな影響を受け、中古カメラという領域に踏み込んだ、この中古カメラブームを振り返るとともに、その盛り立て役の一人であった田中長徳氏を改めて注目しており、カメラジャーナルや当時出版された田中長徳氏の著書を時折目を通しています。
この本は、まさに中古カメラブームの真っただ中で、購入先となる中古カメラ店が注目される中、中古カメラ店を巡る便に資するために、中古カメラ店の全国的なガイドブックがあったらという要望があり、それにこたえ、出版されたものです。
1ページ1店舗の紹介で、このデータは所在地、電話番号、営業時間、定休日、創業念、取り扱い商品、売り場面積、カードの利用の可否、買取と通信販売の有無、雑誌広告、修理、保証期間、特徴の記載があり、知りたい情報がほぼ網羅されています。また、希望する店舗は、メッセージも記載されています。
それ以外にも、チョートク本らしく、有名店の写真やインタビュー、「中古カメラ店の快楽」などのエッセイ、各種レポート、読者の推薦の店などの読み物も充実しています。
翌年には、改訂版(第二版)が発売され、初版の286ページから384ページに大幅に増えました。新たに収録されたお店も増え、これだけでも、当時の中古カメラブームの熱気が伝わってきます。
掲載の写真や読み物もリニューアルされています。
ディックは、第二版を購入しました。
こうしたガイドブックは、年月が経つとデータが古くなり、当時の資料的価値はあるものの、通常は使用は難しく、多くは処分される運命にあります。
第二版も発売から25年以上はゆうに過ぎて、ここに掲載されていた多くの中古カメラ店は姿を消しました。でも未だ健在の店もあり、ブーム後も生き残ってきた苦労を乗り越えたところに感動を覚えます。
この本の価値は、当時の中古カメラ店の資料的価値の外に、読み物の存在だと思います。これは当時の当時の熱気が伝わってきて、当時を知るディックをワクワクさせるものがあります。
かなり後年に、初版も手に入れて、読み物を再読しました。2冊を揃える価値はあると実感しました。
初版は「カメラジャーナル新書3」 第二版は「カメラジャーナル新書10」
初版の冒頭のギャラリー形式のコーナー 懐かしさが漂ってきます
初版の「カメラ店の店内はどうあるべきか」のコーナー
第二版の「はじめに」 この後も年1回の改定が予定されていたようですが、実現されず