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誤認逮捕 その32

2007-10-11 | 誤認逮捕
富山冤罪事件 無罪でも失われた時は戻らない(読売新聞) - goo ニュース

読売新聞の社説からです。
※引用
富山冤罪事件 無罪でも失われた時は戻らない

 すでに服役を終えている。遅すぎた名誉の回復である。
 富山県で2002年の1月と3月に起きた婦女暴行、同未遂の2事件を巡る再審判決で、富山地裁高岡支部は元タクシー運転手の男性に無罪を言い渡した。真犯人が判明し、検察側も無罪を求刑していたから、当然の決着だ。
 男性は事件後まもなく富山県警に逮捕され、懲役3年の実刑判決を受けた。ところが、刑の執行を終えて1年以上過ぎた昨年8月、真犯人が鳥取県警に逮捕され、11月に2事件を自供した。
 男性は再審の公判で「無罪になっても失われた5年間は戻ってこない」と述べた。弁護側は「高圧的な取り調べで虚偽の自白を強要された」と主張した。警察の大失態だ。ずさんな捜査で、償いようがない冤罪(えんざい)事件を起こしてしまった。
 男性が犯人と似ている点にだけ目を奪われ、突っ走ってしまった。物的証拠はなく、男性の自宅の電話には、アリバイを示す通話記録もあった。これらを丁寧に調べ、吟味することもなかった。
 国選弁護人としてついた弁護士も、男性を犯人と見て対応した。男性が取り調べの不当さや身の潔白を強く訴えなかったこともあるが、5年前の裁判では最初から罪を認め、控訴もしなかった。弁護士の側も教訓としなければならない。
 警察捜査を巡っては、鹿児島県警も厳しく批判されたばかりだ。県議選での公職選挙法違反容疑で逮捕した12人の被告全員が、無罪となった。強圧的、誘導的な取り調べで自白を引き出していた。
 こうした事態を受け、警察庁は、緻密(ちみつ)で適正な捜査を求める通達を全国の警察本部に出した。証拠収集の徹底など、いずれも基本的な内容だ。両事件とも、捜査幹部はどんな指揮をしたのか。幹部の育成方法なども見直す必要がある。
 警察捜査への信頼が揺らぐ中で、民主党や日本弁護士連合会から、被疑者の取り調べの全過程を録音・録画すべきだとする「可視化」論議が高まっている。密室の中では、自白の強要から冤罪事件につながりやすい、という理由からだ。
 一部の国では導入しているが、例えば英国では、黙秘権がないに等しい。日本は無罪判決は全体の0・1%にとどまるが、英国では4分の1が無罪だ。刑事司法制度の違いを考慮せずに可視化だけ導入しても、解決する問題ではない。
 最高裁と日弁連、法務省・最高検察庁の法曹3者に警察庁も加わり、可視化を含む刑事手続きのあり方について、協議が始まっている。治安にどのような影響を及ぼすかも考慮しつつ、冷静で掘り下げた論議を期待したい。


刑事司法制度の違いを考慮せずに可視化だけ導入しても、解決する問題ではない。

しかし、可視化を導入するだけで、現在の刑事司法の問題点の相当部分が改善されるか改善されるきっかけになるのではなかろうか。


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