弁護士法人かごしま 上山法律事務所 TOPICS

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実質証拠化  の  問題点

2016-12-06 | 取調可視化
取り調べ録画 実質証拠なるか 司法研修所が議論 「直接主義に反する」懸念も



実質証拠化の問題って 太陽にほえろ や 西部警察 で育った国民には分かりにくいと思います。

各裁判官が判断することになる。のはその通りですが、

基準ぐらいはないとね。


※引用

取り調べ録画 実質証拠なるか 司法研修所が議論 「直接主義に反する」懸念も


 取り調べの録音・録画(可視化)を刑事裁判でどのような証拠として扱えるか、最高裁司法研修所が議論を始めたことが4日、分かった。可視化は「無理な取り調べが行われていないか」といった判断をする際の「補助証拠」とする想定で始まったが、検察側が犯罪を証明するための「実質証拠」として、供述調書に代えて申請する例が相次いでいる。こうした状況が、法廷での供述を聞いて判断する「直接主義」に反するとの懸念が生じている中で、裁判官同士の議論を深めるのが狙いだ。

検察は積極活用

 「審理が長時間の取り調べを視聴し、その適否を審査する手続となる懸念がある」。東京高裁は8月、強盗殺人罪で起訴された被告の判決で、録画を実質証拠とすることは「直接主義の原則から大きく逸脱する」おそれがあると指摘した。

 背景には録画を立証に積極活用しようとする検察側の姿勢がある。最高検は平成27年2月の通達で、必要に応じて「録画を実質証拠として請求することを検討する」との方針を示した。

 そもそも、録画は「被告が自分の意思で供述したか」という調書の「任意性」を判断する補助証拠としての利用が想定されていた。ただ、実際は調書の「信用性」を判断する補助証拠、さらには犯罪自体を立証するため、調書に代わる実質証拠として活用される場面も少なくない。

 録画を実質証拠として扱えるかどうかの明文規定はないが、裁判所が採用した例は複数ある。

 さいたま地裁は27年、取り調べ時に調書への署名を拒み、被告人質問で黙秘した強盗殺人事件の被告について、取り調べ録画を実質証拠として採用、法廷で再生した。同年には那覇地裁も脅迫事件で証拠採用。被告は法廷で取り調べと異なる説明をしたが、この部分の調書が作成されていないケースだった。

直感的判断の危険性も

 供述調書の読み上げに比べ、録画は被告の表情や声が裁判員らに伝わる半面、法曹関係者からは「直感的で主観的判断になる危険性がある」との指摘もある。

 今年4月、1審で無期懲役とされた栃木女児殺害事件では、無罪を主張していた被告の取り調べ録画を7時間以上にわたって再生。録画は補助証拠として扱われたが、判決は、供述経過や態度などを根拠に捜査段階の自白は信用できると判断し、有罪とした。

 可視化は日本弁護士連合会が強く求めてきた経緯があるが、刑事裁判に詳しい弁護士は「録画のインパクトが裁判員の心証に強く作用した」と危機感を募らせる。

 裁判所内にも証拠採用に慎重な見方はある。ある刑事裁判官は「弁護人のいる法廷と取調室では被告の心境も違う。録画から真実を話しているかどうか見抜くのは難しい」と指摘する。

「基本は法廷」

 裁判所や日弁連での議論に先行する形で検察側の証拠請求が相次ぐ中、最高裁司法研修所は昨年11月に開いた裁判官の研究会で、録画の取り扱いを議論。先月の研究会でも取り上げた。

 研究会では録画が実質証拠として申請された場合に、「調書と比べ検察官の意図に左右される要素が少なく、情報量も豊富だ」と利点を指摘する意見が出た一方、「法廷が上映会になってしまう可能性がある」との声もあった。そもそも録画を実質証拠として扱えるかどうかについても見解が分かれたという。

 ベテラン刑事裁判官は「法廷でのやり取りを基に判断するのが基本であることは変わらない。証拠採用するかどうかは、議論を踏まえて各裁判官が判断することになる」と話す。


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