カンパのお願い
5月30日に結審があります。
徳永弁護士も手弁当で支援して下さっていますが、
打ち合わせ等をするにも交通費等の出費を無視できません。
カンパは支援している三善会にお願いします。
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ゆうちょ銀行からの振込の場合
【金融機関】 ゆうちょ銀行
【口座番号】 記号:17010 口座番号:10347971
【名 義】 サンゼンカイ
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ゆうちょ銀行以外の金融機関からの振込の場合
【金融機関】 ゆうちょ銀行
【店 名】 七〇八(読み:ナナゼロハチ)
【店 番】 708
【口座番号】 普通:1034797
【名 義】 サンゼンカイ
ジェイムズ・マローニー医師の分析した「沖縄人とは何か」はこれで終わる。賢明な読者は既に気づかれておられるだろうが、第10話は極めて重要な物語である。日本人と沖縄人がどう違うのか、明瞭に示してくれたばかりでなく、戦争の中で沖縄人が正気を失わず、人間のあるべき姿を見せてくれたことを伝えている。しかも、沖縄の母親たちの無心で献身的な子育てにより、健全な成人がはぐくまれ、世界平和が達成されるのだ、と断言している。沖縄人こそが世界平和の希望だ、と結論している。世間が信じているように沖縄人が「戦争の哀れな犠牲者」ではなく、力強く生き残ったことを明確にしてくれた点で大きな意義がある。
筆者はこの数年ひとりで沖縄戦のフィルムを集め、フィルムの中の沖縄人の老人たちの超然とした姿と子供たちの曇りのない笑顔の謎を解明しようとしてきた。その答えをマロー二ー先生が与えてくれたのだ。筆者は心理学や民俗学には全く無知で、精神科医師のジェイムズ・マローニー先生の分析で沖縄人の糟神の強さがこうした形で証明されたことに驚いている。
ただ、ルース・ベネディクトの「菊と刀」が日本人の正体を見事に暴いたことに感心し、民俗学に一目を置いていた。しかし、これまで「沖縄人しについて科学的にメスを入れた論文にはついぞ出会うことはなかった。今、マロー二ー先生が明快に示してくれた。沖縄人はすばらしい民族だということを。沖縄人はこれまで自分たちのことを余りにも軽んじてきたのだ。
「唐の世から大和の世、大和の世からアメリカ世、アメリカ世から大和の世」という歌の文句があるが、その句には大事なものが抜け落ちている。「ウチナー世」だ。故西銘順治さんは知事時代、朝日新聞記者の質問に答えて、「沖縄の最大の問題は日本人になろうとしてなれないことだ」と言った。だが日本人になる必要はない。日本人と沖縄人は違うということを認識すればよいことだ。その認識に立って筆者は生きてきた。そして沖縄戦の中の人間を見つめてきた。
残酷なはずの戦争の中に美しい、信じられない物語が存在することを知った。グレン・スローター、グレン・ネルソンと一緒に沖縄人数千人を救出した米須精一さん、深い井戸の底に隠れていた数十人の住民を救出した宮城清英さん、数百人の住民が潜む轟の壕を爆破しようとするアメリカ兵に涙を流して止めてくれと頼み、全住民を救出した玉城朝子さんらの話は氷山の一角にすぎない。すばらしい沖縄人たちが無数にいた。だが、これらの物語も人との出会いがなければ、生まれない。
二〇〇四年、沖縄県平和祈念資料館のウチナーンチュ島袋記美子さんから依頼を受けて、「そしてぼくらは生き残った」という映画を作った。その時、編集してくれたのが沖縄テレビの山里孫存ディレクターだった。彼は正に映像の魔術師だった。見事な作品をつくり上げてくれた。フィルムの一本一本はそれだけでは無味乾燥なものだが(それに意味を加えて感動を与えるものにするのがテレビ・ディレクターの仕事だ。山里は多くの賞を手にしたが、いささかもおごる所がない。本当のウチナーンチュだ。実を言えば、このシリーズの添付写真 すべは全て彼がフィルムからおこしてくれたものだ。遅くなったが、読者と共に二ヘーデービルと感謝する。
今は確かに生き難い時代だ。だが、若者たちは世界に飛び出して人生を諏歌している。忘れてならないのは、戦争の哀れな生き残りだ、という感傷を捨て「世界のウチナーンチュ」として誇り高く生きていくことだ。 これでこの物語は終わるが、すばらしい沖縄人─ウチナーンチュは戦争の時だけでなく、今も無数に生きている。そうそう、筆者の物語を読んでくれている読者もその一人だ。贄(二へー)デービタン。
(おわり)