上原正稔日記

ドキュメンタリー作家の上原正稔(しょうねん)が綴る日記です。
この日記はドキュメンタリーでフィクションではありません。

沖縄人とは何か ─米人医師の分析─ 7

2013-05-11 09:25:54 | 沖縄人とは何か ─米人医師の分析─

カンパのお願い 

5月30日に結審があります。 

徳永弁護士も手弁当で支援して下さっていますが、 

打ち合わせ等をするにも交通費等の出費を無視できません。 

カンパは支援している三善会にお願いします。 

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ゆうちょ銀行からの振込の場合 
【金融機関】 ゆうちょ銀行
【口座番号】 記号:17010 口座番号:10347971
【名  義】  サンゼンカイ
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ゆうちょ銀行以外の金融機関からの振込の場合 
【金融機関】 ゆうちょ銀行
【店  名】  七〇八(読み:ナナゼロハチ)
【店  番】  708
【口座番号】 普通:1034797
【名  義】  サンゼンカイ 


前回の続き

 ここまで沖縄人について分析してきたが、沖縄人の性格と日本人の性格にははっきりした違いがある。民俗学者ジオフリー・ゴーラーの研究により判明したが、日本人の子供は満一歳になるまで厳格な幼児期のしつけを受ける。ゴーラーは、この生まれてすぐに受けるしつけは日本人の性格形成に決定的影響を及ぼす、としている。情け容赦のない、きびしい幼児期のしつけは、その後一生を通じて権威に服従する性格を作り上げる。そして生まれてくる自己犠牲の精神は完ぺきであり、本来の個性は殺され、日本人(特に男)は権威にさっと応じ、言いなりになる遵具と化してしまう。日本人の子供にとって最初の権威者は父である。成長すると父に代わって天皇が権威者となる。

 天皇と自分を一体化することが特に日本人の自殺にはっきり示されている。自殺する時、日本人は死刑を執行する者であると同時に死刑を執行される者でもある。天皇のために死ぬと、(もっと正確に言えば、天皇から授けられた命を天皇に返すと)彼は天皇と一体になるのだ。キリスト教ではこのサド=マゾの関係はスケープ・ゴート(身代わり)としてのキリストがその役を担う。キリストは我々のために死ぬ。なぜなら我々は立派に成人し、自立した人間になるために十分に努力しなかったという“罪を犯す”からだ。我々のサド=マド傾向(加虐と被虐の傾向)をキリストに負わせることによって、我々は自分を救う道を見つける。しかしながら、我々の人生は恐ろしい代価─キリストの命で買われたことになる。自由に解放された成人になりたいという我々のうっせきした願望と無実の人キリストの死によってもたらされた「みじめな人生」を我々は送っているのだという認識とが重なって、我々は辛い罪の意識に悩まされることになる。多くの戦争ノイローゼも似たような心理過程を示している。こうした患者は罪の意識を抱いている。なぜなら彼の命は戦友の死によって救われたものだからだ。自分の身体に弾が当たっておれば戦友が助かったのに、と考えるのだ。これは複雑な状況をもたらす。戦友が死んだことによって、彼がキリスト教徒として幼年時代から教え込まれ、培われた性格が眠りから眼をさますのだ。目覚めた感情は、戦争ノイローゼの内に潜む、自分の死によって生まれるもの─安堵感を得ようとするマゾ(自虐)的願望をもたらす。これは大きな不安を生み出す。なぜなら、自分の心のどこかで、自己破壊の傾向があることを認識しているからだ。キリスト教で教え込まれた“道徳”に従って、キリストのスケープ・ゴートを利用することによって自殺を避けることになる。この複雑な状況は尾を引く。“無実の人”(キリストあるいは戦友)の死によって自分の死が避けられる、ということが罪の意識をもたらし、“天罰”の恐怖がつきまとうことになる。これが自己保存能力の問題に突き詰められる。すなわち“誰かが死ななければならないとすれば、彼を死なせてくれ、しかし、私は生かしてくれ”ということになる。

 (この部分はかなり専門的な心理学の分野であるが、アメリカ人を理解するためには、重要である。「プライベート・ライアン」という映画のラスト・シーンでライアンニ等兵を救出して死んだ兵士の墓にライアンがぬかずいて「自分は生きる価値があったのか」と問う場面も、マローニー先生の分析する戦友の死によって自分が生きているという罪の意識を理解することなくして、感動することはできない。事実、筆者はこれまで、「プライベート・ライアン」の真の意味を理解していなかったのだ。そして、ライアンニ等兵ひとりを救出するために多くの兵士が犠牲になるアメリカ人の精神を今、ようやく理解し始めたところだ) ─

つづく


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