2011.08.15 zakzak
「ポスト菅」を決める民主党代表選は、水面下での駆け引きが激化している。現執行部に近い野田佳彦財務相は出馬確実とされ、鹿野道彦農水相らも、立候補に必要な推薦人の確保に向けて動いている。現時点で、野田氏が最有力と伝えられるが、永田町は「一寸先は闇」の世界。隠れた本命が急浮上してもおかしくない。専門家2人が序盤戦を徹底分析した。
現時点で、出馬が取り沙汰されている主な候補は別表の通り。今月末に国会議員票だけで代表選が行われるとして、政治評論家の有馬晴海氏と、政治ジャーナリストの角谷浩一氏に「◎…本命、○…対抗、▲…大穴、△…推薦人確保まで、無印…出馬せず」というルールで、情勢を予測してもらった。
まず、有馬氏は、野田氏に◎を打った。「代表選は、菅直人首相の路線を継承する野田氏と、小沢一郎元代表と鳩山由紀夫前首相の『反増税』『マニフェスト堅持』路線の戦いだ。小鳩連合は『カネの問題がある』という時点で敬遠される。野田氏が本命だ」と解説した。
確かに、他の候補が「所属議員20人」という推薦人確保に四苦八苦する中、野田氏にはその心配がない。自らのグループに加え、仙谷由人党代表代行(官房副長官)や岡田克也幹事長ら、現在の党執行部が支持する公算が大きいからだ。
また、野党との連携という点でも、仙谷氏が一時「野田代表」を前提に、自民党と交渉していたこともあり、下地はある。
ただ、盤石とはいえない。
有馬氏は「前原誠司前外相が出馬の是非を迷っているという。出てきたら、支持層が重なる野田氏の勝ち目はなくなる。まあ、そういう結果になると思えば出てこないだろうが」と語った。
これに対し、角谷氏は、野田氏を○とした。
理由を「菅首相の政権運営がひどく、昨年の代表選で支持した議員が『こんなはずじゃなかった』と嘆いている。後継に当たる野田氏にはその“呪い”が直撃する。また、現執行部は民主党政権を失敗させた元凶だ。政府では鳩山、菅両内閣の政権中枢にいて、未熟な政権運営をさらした。党では、強権的に動いて野党の信頼を失った。仙谷氏率いる前原グループ『凌雲会』への不満は頂点に達している。財務省の傀儡とみられるのもマイナスだ」と説明した。
代わりに、角谷氏が◎を打ったのは海江田万里経産相だ。「小沢氏の参院での講演に150人が集まったが、小鳩連合の基礎票は200票ある。統一候補としては、閣僚経験者で敵が少ない海江田氏が最もバランスがいい。旧民社党系、旧社会党系が保守の野田氏でまとまるとは考えにくいし、票をはがせる。国会議員票だけなので、勝算はある」と解説した。
菅-仙谷ラインと小鳩連合のどちらが上まわるかで、結果が様変わりするのは間違いない。
一方、「ポスト菅」候補として名前が挙がるなかで、年齢も当選回数も突出している鹿野道彦農水相への待望論もある。
鹿野氏も12日、「いささかなりとも期待を持っていただいているならば、大変ありがたい」と意欲を見せた。
有馬氏は鹿野氏に○を打ち、こう話した。
「挙国内閣を掲げて自民党とパイプを作り、『みんなでやろう』という全体の総意ができれば、最適だ。推薦人20人は集まるだろう。まじめで一生懸命やりそうな雰囲気がある。野田氏を支えている人は『民主党が政権取ったのだから協力しろ』と上から目線だが、鹿野氏ほどの年齢なら『助けてください』と言えて、野党も応じやすいだろう」
ただ、角谷氏は「中間派といっても、誰も仲間に入れてくれなかっただけ」として無印にした。
有馬、角谷両氏が「穴」指名したのが馬淵澄夫前国交相だ。「党内対立を終わらせる」「反増税」を掲げ、メディアへの露出を高めている。
有馬氏は「推薦人は集まるだろう。他候補が反小沢、親小沢で争うほど、それを嫌い世代交代を求める若手から、一定の支持を集める」といい、角谷氏は「推薦人さえ集まれば、独自の候補として票を集めそうだ」とまずまずの評価だ。
前原氏については、有馬、角谷両氏とも「来年秋の代表選に狙いを定めている」として今回は見送り。樽床伸二元国対委員長は「様子見をして、閣僚を狙う」(有馬氏)、松野頼久元官房副長官は「海江田支持に回る」(角谷氏)と、それぞれの思惑で「出馬せず」に傾く候補も出てくるようだ。
勝利の女神は、誰にほほえむのか。
現時点で、出馬が取り沙汰されている主な候補は別表の通り。今月末に国会議員票だけで代表選が行われるとして、政治評論家の有馬晴海氏と、政治ジャーナリストの角谷浩一氏に「◎…本命、○…対抗、▲…大穴、△…推薦人確保まで、無印…出馬せず」というルールで、情勢を予測してもらった。
まず、有馬氏は、野田氏に◎を打った。「代表選は、菅直人首相の路線を継承する野田氏と、小沢一郎元代表と鳩山由紀夫前首相の『反増税』『マニフェスト堅持』路線の戦いだ。小鳩連合は『カネの問題がある』という時点で敬遠される。野田氏が本命だ」と解説した。
確かに、他の候補が「所属議員20人」という推薦人確保に四苦八苦する中、野田氏にはその心配がない。自らのグループに加え、仙谷由人党代表代行(官房副長官)や岡田克也幹事長ら、現在の党執行部が支持する公算が大きいからだ。
また、野党との連携という点でも、仙谷氏が一時「野田代表」を前提に、自民党と交渉していたこともあり、下地はある。
ただ、盤石とはいえない。
有馬氏は「前原誠司前外相が出馬の是非を迷っているという。出てきたら、支持層が重なる野田氏の勝ち目はなくなる。まあ、そういう結果になると思えば出てこないだろうが」と語った。
これに対し、角谷氏は、野田氏を○とした。
理由を「菅首相の政権運営がひどく、昨年の代表選で支持した議員が『こんなはずじゃなかった』と嘆いている。後継に当たる野田氏にはその“呪い”が直撃する。また、現執行部は民主党政権を失敗させた元凶だ。政府では鳩山、菅両内閣の政権中枢にいて、未熟な政権運営をさらした。党では、強権的に動いて野党の信頼を失った。仙谷氏率いる前原グループ『凌雲会』への不満は頂点に達している。財務省の傀儡とみられるのもマイナスだ」と説明した。
代わりに、角谷氏が◎を打ったのは海江田万里経産相だ。「小沢氏の参院での講演に150人が集まったが、小鳩連合の基礎票は200票ある。統一候補としては、閣僚経験者で敵が少ない海江田氏が最もバランスがいい。旧民社党系、旧社会党系が保守の野田氏でまとまるとは考えにくいし、票をはがせる。国会議員票だけなので、勝算はある」と解説した。
菅-仙谷ラインと小鳩連合のどちらが上まわるかで、結果が様変わりするのは間違いない。
一方、「ポスト菅」候補として名前が挙がるなかで、年齢も当選回数も突出している鹿野道彦農水相への待望論もある。
鹿野氏も12日、「いささかなりとも期待を持っていただいているならば、大変ありがたい」と意欲を見せた。
有馬氏は鹿野氏に○を打ち、こう話した。
「挙国内閣を掲げて自民党とパイプを作り、『みんなでやろう』という全体の総意ができれば、最適だ。推薦人20人は集まるだろう。まじめで一生懸命やりそうな雰囲気がある。野田氏を支えている人は『民主党が政権取ったのだから協力しろ』と上から目線だが、鹿野氏ほどの年齢なら『助けてください』と言えて、野党も応じやすいだろう」
ただ、角谷氏は「中間派といっても、誰も仲間に入れてくれなかっただけ」として無印にした。
有馬、角谷両氏が「穴」指名したのが馬淵澄夫前国交相だ。「党内対立を終わらせる」「反増税」を掲げ、メディアへの露出を高めている。
有馬氏は「推薦人は集まるだろう。他候補が反小沢、親小沢で争うほど、それを嫌い世代交代を求める若手から、一定の支持を集める」といい、角谷氏は「推薦人さえ集まれば、独自の候補として票を集めそうだ」とまずまずの評価だ。
前原氏については、有馬、角谷両氏とも「来年秋の代表選に狙いを定めている」として今回は見送り。樽床伸二元国対委員長は「様子見をして、閣僚を狙う」(有馬氏)、松野頼久元官房副長官は「海江田支持に回る」(角谷氏)と、それぞれの思惑で「出馬せず」に傾く候補も出てくるようだ。
勝利の女神は、誰にほほえむのか。