斎藤まさし (酒井剛)
2011/08/08 産経新聞
菅直人首相の資金管理団体が、日本人拉致事件容疑者の長男(28)が所属する政治団体「市民の党」(酒井剛代表)から派生した政治団体に計6250万円を政治献金していた問題で、自民党の古屋圭司議員は8日の衆院予算委員会で、菅首相との関係を追及、「この問題のキーマンだ」として、市民の党の酒井代表の証人喚問を求めた。今後理事会で実施の是非を協議する。
古屋氏は予算委で、市民の党や派生団体に対する所属議員16人からの個人献金額が3年で計1億円を超す実態を指摘。月額報酬50万円台の地方議員が年500万円以上献金しているケースもあるとし、「これだけの献金をできること自体が摩訶(まか)不思議だ」と寄付金の原資に疑問を呈した。
また、地方議員らは、民主党議員の国会議員関係政治団体など複数の政治団体を通じて、一団体に対する個人献金の年間上限額の150万円を超える献金を行っており、「(民主党の団体を使った)迂回(うかい)献金に当たるのではないか」との見解を示した。
菅直人首相の資金管理団体が北朝鮮や拉致事件容疑者と関係の深い政治団体に巨額の政治献金をしていた問題で、自民党側はこの団体の母体にあたる「市民の党」の酒井剛代表の証人喚問を求めた。真相解明のために、国会は早急に喚問を実現させるべきだ。
菅首相側から政治団体に渡った献金額は平成19年から21年までの3年間で6250万円に上る。19年には、限度額上限の5000万円が献金された。
19年は参院選と統一地方選が重なった年だ。先の衆院予算委員会で、自民党の古屋圭司議員は「選挙支援だったのではないか」と菅首相を追及した。また、この年の市民の党の人件費が際立って多いことから、公職選挙法221条で禁止されている選挙運動者への金銭供与の疑いも指摘した。
これに対し、首相は「連携・支援のため」とあいまいな答弁を繰り返した。酒井代表との関係についても、首相は「会って話したことがある」と述べるにとどめ、具体的な説明を避けた。
国会で酒井代表から、菅首相との関係や献金目的、使途などを詳しく聴く必要がある。19年の参院選などで、当時の民主党代表代行の菅氏からどんな指示があったかも重要なポイントだ。
市民の党の酒井代表は10年ほど前、北朝鮮を訪れ、よど号ハイジャック事件の犯人らと接触したことが明らかになっている。この事件は昭和45年、赤軍派が日航機を乗っ取り、「日本革命」のため北朝鮮へ渡った事件である。