旧刊時空漂泊

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東京横浜300円味の店

2012-06-06 12:19:14 | 日記
山元嘉次郎 著
昭和40年12月15日 5版発行
発行所 有紀書房

       

まえがきに曰く

     私は、人後におちぬ食いしん坊であるとともに、人後におちぬケチ精神の持ち主であって、安くてうまいと
    聞くと、千里を遠しとせず、まず試さずにはおかぬ“何でもカジロウ”主義だから、自然と、ひとさまより多少
    その道には、くわしくなった。 
     そこで 有紀書房より乞われるまま、≪三百円を前後とする、安くてうまい店≫の案内記をまとめること
    になったが、こればかりはどうしても、自分自身の舌で納得したものでないと、安心してご紹介ができない。

小料理の頁に <新橋> 中川  東京都港区西新橋一の一四 という店が紹介されています。

     極端な宣伝嫌いである。味の店の本に中川を取りあげるからといったら――ご好意は有難いが、うちの
    店はほんの小さな店で、料理らしい物はなく、普通の家庭食事をお出ししているだけで、宣伝など、いろ
    いろごひいきのお客様から奨められますが、いつもご辞退しております。その宣伝によってこられたお客様
    にご満足いただける自信がないからです、とメニュー一つ出してくれない。   (中略)
    料理なら、どんな種類の料理でも食べられる田村町界隈で、中川の料理は中川だけでしか食べられない。
    店屋物の味がしないのだ。主人のいう通り、家庭料理の味である。ご馳走疲れのした舌が、中川へくると
    ホッとする。       (126頁)
   
         



博多料理  <銀座> 有薫酒蔵  東京都中央区銀座西二の一(西欧ビル地下)
    筑後の酒、有薫(特級百五十円)のPRの店だけに、店内オール九州調。 (中略)
   筑後平野の家具の町大川産のちくわ、五島のイカ、がめになんてものもある。  
    博多っ子が、朝飯に欠かさぬというおきうともある。おきうと草という海草からつくったところ天みたいな
   もので、かつおぶしなどをかけて食べる。    (172頁)

         

どのページを見ても信じられないような値段の料理がならんでいます。
山本嘉次郎氏が甘いもののほうは、苦が手というのは意外でした。
   

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