旧刊時空漂泊

さまざまな本・出版物がランダムに現れます。

昭和二十年六月十日 日立工場戦災記録

2011-06-26 12:10:58 | 日記
昭和32年10月30日発行
編集  株式会社 日立製作所日立工場 総務部 庶務課
発行所 株式会社 日立製作所日立工場

      

                 

                      


昭和20年6月10日、B29による日立工場爆撃の記録。 十三回忌に当たって出版された。

被爆当時の工場幹部によって昭和32年8月に開催された座談会が収録されている。

座談会の中では「しかしあれだけの大爆撃を受けるとは思いませんでしたね。焼夷弾を食うとは

予想してバケツリレー消火訓練などやっていましたからね。」(90頁)という発言がある。

本文には「B29による一トン爆弾の集中攻撃による破壊力は予想を遥かに上廻るもので、信頼

し切っていた地下壕までが埋没するに至ったのです。」(27頁)という記述がある。

昨今よく言われる「想定外」ということでしょうか。

歌集 山麓

2011-06-25 18:24:44 | 日記
著者 結城哀草果
発行所 岩波書店
昭和4年8月15日 第2刷発行
  

      




表紙装幀 平福百穂
口絵「厩」 平福百穂

   あまざかる鄙の子供は胸のへに喪章をつけて橇曳きあそぶ
                                    312頁 奉悼歌

昭和2年の作。

当時は子供も「大葬」の際、喪章をつけたのですね。

本書はアララギ叢書第38編、岩波とアララギの結びつきがうかがえます。



              
                

これぞ、開高 健。 面白半分11月臨時増刊号  

2011-06-24 10:39:46 | 日記
第13巻第7号・通巻第94号
昭和53年11月2日発行
編集人 細川布久子

発行所 株式会社 面白半分



         



         「作家の成熟ということがもしあるとすれば、それはものごとに対

        する認識をふかめ、さまざまな世界を描き分ける技術的に習熟する

        ことではなく、その資質によって誘い出され、いやおうなく彼に課

        されてくる特定の表現志向を生かすことのできる視点を見いだすこ

        とにほかならない。ものを見るすぐれた目と鋭敏な感受性にめぐま

        れ、それをあざやかに表現できる能力をそなえながら、いくつかの

        習作を試みたきりでついに大成することなく終った作家志望者はお

        そらく数え切れないだろうが、その多くはこうした作家的開眼の機

        微に無知であったことに由来する。」

 作家の成熟――開高 健の場合  向井 敏  123頁より



大成することなく終った作家志望者とは向井氏自身のことでもあるのでしょうか。

昭和18年 満支旅行年鑑

2011-06-22 01:25:25 | 日記
東亜旅行社 編纂
康徳9年12月25日 発行
(昭和17年)
発行所 東亜旅行社奉天支社

          



温泉、スキー、狩猟、釣魚、ゴルフ・・・・・世界大戦のさなかの昭和17年。

「大東亜戦争」とは何だったのでしょう。

高倉正三の「蘇州日記」にも旅行に大きな頁が費やされています。

我々は何が何でも「旅行」。

弘文荘待賈古書目 第一號

2011-06-20 21:31:17 | 日記
昭和8年6月1日発行

編輯兼発行者 反町茂雄

発行所 弘文荘



          



                       



   この目録は反町茂雄の回想録『一古書肆の思い出』の第1巻によれば、当時七百五十部を印刷して

  各方面へ寄贈したという。

  『古事記大成 研究史篇』(昭和31年平凡社刊)の古賀精一「古事記諸本の研究」266~267頁によれ

  ば、八雲軒本の周囲の枠は木活字を使って印刷され、本文は書写。何やら不可思議。

  「八雲軒本 古事記」は朝日新聞の上野精一が購入し、現在は天理図書館に蔵せられています。

  『一古書肆の思い出』全5巻は何度も読み返した本です。著者急逝のため、昭和28年の項で途絶

  したのは本当に残念です。ほっと胸をなでおろした方々もいらしたのではないでしょうか。