旧刊時空漂泊

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太陽 10月号 No.64 特集 中尊寺と奥の細道

2015-06-07 08:43:12 | 日記
1968年9月12日発行
発行所 株式会社平凡社


        


 目次より

酒田の餘波(なごり) ・・・・加藤楸邨
日暮いそぎぬ羽前路 ・・・・加藤楸邨

      出羽三山を下って鶴が岡(今の鶴岡)に入った時、長山重行に迎えられて
     歌仙を巻いている。
      めづらしや山をいで羽の初茄子
     この近くから民田茄子と呼ばれる小粒ですこぶるうまい茄子が出るが、私も
     三山を下る度に「山を出で羽(端)の初茄子」と口の中で呟いては味わうのが
     常である。
      酒田へは鶴岡から赤川の川船で下っている。
                                 〔45頁 酒田の餘波(なごり)〕



     酒田の鎧(あぶみ)屋で俳句の会が催された。本町の静かな通り、「奥の細道」
    に「川船に乗りて酒田の湊に下る。(中略)
     初真桑四(よつ)にゃ断(わら)ん輪に切(きら)ン
    と真蹟にある「あぶみや」が在来鎧屋とされていたのだが、そうであるかどうかに
    ついては近年疑問が投げられている。しかし、今夜はそうした問題を離れて、最も
    酒田らしい雰囲気を生かした作句の時間を味わってみたいというので、この地方の
    特産である五百目の大絵蝋燭を古風な燭台に立てつらねて、その光の中で沈思し
    たわけである。                  (56頁 日暮いそぎぬ羽前路)

              
              芭蕉のむかしをしのび、ゆかりの鎧屋邸で、句会をひらいた。座の中央には、まくわうり


 ところでこの雑誌の後ろの方に「5分間インタビュー」というページ半分くらいの欄があります。
そこでインタビューされているのが小説家の丸谷才一さんです。
丸谷さんは山形県鶴岡の出身。特集のテーマに合わせたとしたら、編集部のみごとな技ですね。
偶然だとしても、すごいです。 丸谷さんは大正14年(1925)8月27日生まれですから、このとき42か43歳です。

                            
                             5分間インタビュー    文学論はオフ・レコだよ    丸谷才一

                         それと、ビフテキだけはうちの女房の作るのがうまい。外で食べると、どんなに生焼きでといっても少し焼き過ぎるんだ。
                         こうしてみると、ぼくも結構うるさ方みたいだな。酒は料理に合わせて飲みます。西洋料理の時はブド―酒、日本料理
                         は日本酒、中華料理には老酒なんかいいですね。食事が終って本格的にという時にはウイスキー。なに、水割一〇杯
                         くらいですよ。                                     (146頁)    

私生活を語ることのなかった丸谷さんにしては珍しいインタビューではないでしょうか。

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