旧刊時空漂泊

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レター・フロム・ニューヨーク  Letter from NewYork

2015-05-07 09:58:59 | 日記
1995年12月7日 初版発行
著者 ヘレーン・ハンフ
訳者 キャシー・圭子・デクート
発行所 中央公論社

          

 『チャリング・クロス街84番地』の著者が、BBCラジオの人気番組『ウーマンズ・アワー』で語ったNYの日常生活。
1978年10月から1984年4月まで放送されました。

1980年6月
   六十四、五丁目あたりのブロックには、大金持ちのタウンハウスが並んでいます。(中略)二軒目は
  デヴィッド・ロックフェラーの所有物で、昨年の十一月にイランの国王をニューヨークに連れて来た責任
  は主に彼にあると多くのニューヨーカーは考えています。
  三軒目の家は最近買われたもので、現在はリチャード・ニクソンの持ち物になっています。私自身はこ
  のブロックは歩かないことにしています。                         (73頁)

ヘレーン・ハンフは熱烈な民主党員ですから、当然かもしれません。


1981年2月
   これまで八十年か九十年の間、ニューヨーク市はアメリカの英雄をユニークなパレードで讃えてきま
  した。そのユニークな特徴から名前をとって、このパレードはティッカーテープ(紙テープ)のパレードと呼
  ばれています。
   このパレードはいつも、ニューヨーク発祥の地でありもっとも古い地区であるロウアー・マンハッタンか
  らスタートします。というのは、そこに株式市場があるからです。このパレードの名前は、株式市場のテ
  ィッカーテープ、つまり一日中機械から打ち出される株の値を記録する細い紙テープからきています。
  パレードの前日仲買人たちは、その日にたまったティッカーテープを丸めて保存します。そして、英雄
  たちが立ったり座ったりしながらゆっくりオープンカーで通るのを高層ビルの窓から見て、彼らの頭上め
  がけてティッカーテープを紙吹雪のように投げるのです。  (中略)
  高層ビルで働いている人達も負けずに、伝統の紙吹雪を作るためにコンピューターのプリントアウトを
  集め、IBMのカードを破き、電話帳をシュレッダーにかけました。   (101~102頁)

ティッカーテープを紙吹雪に見えるように細かく切るのは大変だったでしょうね。 


1981年11月
   まだお会いしていないジェームズ・エバンスという男性が『チャリング・クロス街84番地』を劇用に改
  作しました。そしてまだお会いしていないマイケル・レディントンという男性が、その劇をロンドンのウェスト・
  エンドの劇場で演出することになったのです。そして、来たる十一月二十六日の木曜日にアンバサダー・
  シアターで、自分の書いた劇のオープニング・ガラに出席するというほとんど生涯の始まりの頃からの夢
  が実現するのです。                                 (129頁)


実に「劇的」な展開です。ヘレーン・ハンフの生涯を劇にすれば、魅力的なアメリカ現代史になるのではないでしょうか。 

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