ある男性の話。
ある夜、実家に一人でいたとき、
誰もいないはずの妹の部屋から女のすすり泣くような声が聞こえた。
おかしいと思いながらも妹の部屋のドアをノックしたがもちろん返事はなく、
しかし依然として泣き声は続いている。
意を決してドアを開けると、誰かがベッドの上で布団にくるまって座っているのが見えた。
彼が動けずにいると、それはこちらを振り向いて言った。
「お兄ちゃん」
妹だった。
けれど妹は先日、実家の風呂場で自ら命を絶っている。
気付けば朝だった。
彼はその妹がしていたように、自室で布団をかぶり、膝を抱えていた。
妹の死で疲弊している両親に話せるような話ではない。
昨晩の出来事は胸に秘め、二人には黙っていることに決めた。
それでも彼が実家に帰ると今でも時折、
妹の部屋からすすり泣く声が聞こえるのだという。
ある夜、実家に一人でいたとき、
誰もいないはずの妹の部屋から女のすすり泣くような声が聞こえた。
おかしいと思いながらも妹の部屋のドアをノックしたがもちろん返事はなく、
しかし依然として泣き声は続いている。
意を決してドアを開けると、誰かがベッドの上で布団にくるまって座っているのが見えた。
彼が動けずにいると、それはこちらを振り向いて言った。
「お兄ちゃん」
妹だった。
けれど妹は先日、実家の風呂場で自ら命を絶っている。
気付けば朝だった。
彼はその妹がしていたように、自室で布団をかぶり、膝を抱えていた。
妹の死で疲弊している両親に話せるような話ではない。
昨晩の出来事は胸に秘め、二人には黙っていることに決めた。
それでも彼が実家に帰ると今でも時折、
妹の部屋からすすり泣く声が聞こえるのだという。