【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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次回の税務調査に備える(個人事業者の場合)

2017-10-06 17:00:00 | 税務調査
すっかり秋らしくなってきました。真夏に始まった税務調査の結論がようやく出て、愕然とする人がいる一方、早くも次回の税務調査に向けての決意をした人もいます

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個人事業者は会社と比較して税務申告に対する意識が低い傾向にあり、誤った税務申告を長期間続け、税務調査で多額の追加納税をしなければならないことがあります。多額の追加納税をした場合、数年後に再び税務調査が行われる可能性が極めて高く、その税務調査で前回の指摘事項が改善されているかを確認されます。

◆申告をしていなかった

これはだめです。個人事業者の場合は会社のような登記制度がないことから、事業を開始しても直ちに税務署に知られることがありません。そんなことから、長期間、確定申告をしない人がいます。

事業所得(事業収入-必要経費)があり、そこから所得控除(基礎控除、配偶者控除、扶養控除など)を差し引いた額がプラスであれば所得税が課税されます。その場合は、税務署からの連絡がなくても確定申告をしなければなりません。

◆帳簿をほとんど作成していなかった

帳簿の作成は個人事業者の義務です。事業を開始したならば帳簿の作成方法を自ら考え出し、それを実行しなければなりません。

とはいっても、最初は自身が作成すべき帳簿についてのイメージさえ浮かばないと思います。帳簿は、確定申告書と一緒に提出した収支内訳書あるいは青色申告決算書の損益計算書の「計算根拠」です。この計算根拠を「科目」ごとに示すものが帳簿です。科目とは、売上、仕入、地代家賃、水道光熱費、旅費交通費などのことです。

帳簿の作成方法のことを「簿記」といいます。簿記の書物を読んでも直ぐに収支内訳書あるいは青色申告決算書は作成できるようになりません。なぜならば、簿記では個々の取引から科目を分類集計しているので、簿記が初めての人には非常に回りくどく感じます。帳簿の基本は取引の大部分を占める入出金の把握です。入出金とは現金(硬貨と紙幣)と預金(通帳)の動きです。これらの個々の動きを漏れなく正確に把握することがスタートです。簿記の教科書ではこのことの大切さを説いているのです。

最近では会計ソフトで帳簿を作成することが当然のようになっていますが、会計ソフトも簿記を基本としています。ですから、漏れなく正確に入力しなければなりません。「お好みに合わせて」の「自動作成」とはいかないのです。

◆取引先の氏名・名称などを明かさなかった

税務署に取引先の氏名・名称などを明かすと、取引を打ち切られる、取引先に迷惑をかけるという「心情」は理解できます。しかし、これだけはどうにもなりません。取引先の氏名・名称などが記載されていない帳簿は、たとえ日付や金額が正しくても証拠として認めてもらえません。税務署は、このような考えの人に対しては考えを改めるまで何度でも税務調査を繰り返します。

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★次回の税務調査ではパーフェクトを目指す!

税務調査で間違いを指摘されると大変悔しいです。同じ間違いをしないためには、間違いの原因を冷静に分析しなければなりません。

収入に関しては漏れに気をつけなければなりません。事業用の預金口座に入金されている分はよいとして、現金回収分と事業用でない預金口座に入金されている分は「注意」しておくしかありません。しかし、注意力には限界がありますので、できるだけ早く記録するという習慣を付けるしかありません。

必要経費に関しては、「事業に必要か?」を冷静に判断することです。必要経費の証拠として領収書の入手と保存が必要となりますが、闇雲に入手保存しておいて後から整理するのではなく、記憶の確かなうちに取捨選択して保存しておく必要があります。

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フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。
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