【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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借入金があれば赤字ということ?

2017-09-01 17:00:00 | 決算書・試算表
「借入金があれば赤字」と直感的に考える人がいますが、借入金は赤字と「直結する」ものではありません。

まずは、借入金は「負債」であるという認識が必要です。負債ですから、利益計算(収益-費用)に影響しません。借入れをすれば負債が増えます。借入金を返済すれば負債が減ります。

◆借入れをする前後には赤字が生じる
借入れの前後には「利益=収益-費用」がマイナス(赤字)になることが多いです。この状態では資金繰りも苦しくなります。だから、借入金で資金を調達するのです。

◆借入金の返済をすると資金繰りが苦しくなる
借入金の返済は経営を圧迫します。資金の流出があるからです。借入金の返済で資金が減ってしまうと仕入代金、給料、諸経費の支払いに窮することもあります。

借入れをするということは恐ろしいことです。返さなければならないからです。返せなくなって悲惨な運命をたどった会社と経営者は数多いです。

★借入金は利益計算を不可解にする(経営者には確かな計数管理が必要となる)

もうひとつの借入れの恐ろしさは、借入をすると利益の計算を不可解にしてしまうということです。借入れをしたときの入金が収益にならないということは多くの人が理解しています。しかし、返済という出金が費用とはならない(利益の減少要素とはならない)ことが理解できない人が多いです。

借入金の返済が始まると、見る見るうち資金が減ります。しかし、利益は減らずに法人税の納税が必要となるケースもあります。その典型は、借入金で資金調達をして土地や建物を購入する場合です。土地は減価しませんので購入代金が費用となることはありません。建物は減価しますが、費用化するのに長期を要します。借入金の返済はこれらの費用の発生とは無関係に先行してしなければなりません。これが不可解なのです。これは、売掛金に買掛金という入出金に先行して収益や費用を計上することと同じように、発生主義会計のルールです。しかし、売掛金や買掛金とは比較にならないほど理解するのが難しいのがこのルールなのです。

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