【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

社長一人だけの会社の福利厚生(社長の健康増進)

2008-09-16 16:21:32 | 勘定科目と仕訳
昨今の健康志向から各企業とも健康増進のための福利厚生を重視しています。社内に健康器具を設置する、フィットネスクラブに入会して社員に利用してもらうなどは、すでに多くの企業が実施している福利厚生です。(メタボ対策としてこれらを実施している企業も数多くあります。)

福利厚生を一言で説明するのは難しいですが、社員の意欲を向上させ組織に活力を与えるための重要な手段であることは間違いありません。特に、社員が心身ともに健康であることは何よりも大切で、企業はこのための費用を惜しんではいけません。

そこで問題となるのが「社長一人だけの会社」、つまり組織と呼ぶには疑問のある会社でも福利厚生はあり得るのかということです。

結論からいえば、社長一人だけの会社では福利厚生という考えはなく、当然のこととして「福利厚生費」は認められません。

「零細企業を差別するのか!?」との反論もあるかもしれませんが、社員が多数いる会社でも、「社長だけ」が利用している健康器具やフィットネスクラブに関する費用は福利厚生費ではなく「社長の給与」(社長に税金が課税され、しかも損金不算入)と扱われることからすれば、決して不公平とはいえないのではないでしょうか?

税務において福利厚生費として損金算入できるための重要な条件の一つは、「全員で、平等に」ということなのです。(そのほか、福利厚生の程度や内容も決め手となります。)これは、日本企業が長年維持してきた終身雇用や年功序列を背景とする集団主義が影響しているのだと思います。

「社長一人が全員だ!」
「私は社長兼社員だ!」
「将来の社員採用に備えて今から福利厚生を充実させているんだ!」

理屈をいい出せばきりがありません・・・

手厚い福利厚生の恩恵をしかも無税で受けられるのは、ほんの一握りの大企業の社員、公務員だけです。このような実情からすれば福利厚生費は「全額損金不算入」で「社員にも課税」されるというのがあるべき姿なのかもしれません。要するに「社会全体」で考えれば、現状の福利厚生費に関する税務上の扱いは不公平であるということです。

【せめて交際費に・・・】
健康器具やフィットネスクラブを接待に利用する?
さて、どのような方法があるのでしょうか・・・
ただし、交際費として認められたとしても全額が損金算入されるわけではありません。

【医療費控除】
医療費控除の対象は治療や療養のための費用ですので、健康増進のための費用は対象にはなりません。

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
感謝です (ブーフーウー)
2008-09-16 17:53:44
いつも楽しく読ませていただいています。
経営者の考え方、税務署の考え方など
「なるほどね!」、「そういうことか!」と
すごく参考になります。
普段は読むだけですが、なぜか今日は
感謝のコメントをしたくなりました。
いつもありがとうございます。
返信する
ありがとうございます (築山哲)
2008-09-17 16:09:08
ブーフーウー様
このブログを書いております築山です。
コメントありがとうございます。感謝していただけるとはありがたいです。
私の考え方が唯一絶対であるとは思いませんが、私的出費を無制限に会社の経費にしようとしている一人会社の社長を説得するときにはこのように説明しています。
一人会社の場合、社長の健康診断費用や残業夜食代も同様の問題が生じます。健康診断費用は健康器具やフィットネスクラブ同様だと思いますが、残業夜食代については状況次第で変わってくるでしょう。
返信する