学生時代、戸隠高原から妙高笹ヶ峰まで黒姫山のヨッホを超えて歩いたことがあった。山道が途絶えて笹ヶ峰が向かいの山の斜面に見え始めた平地に出た時、道の前方に場所に似つかわしくない大きな屋敷が見えた。こんなところにまるで旅館みたいだな、と言いながら同行の友人とそこへ行って見た。廃墟であったが元は立派な屋敷と見えた。庭を横切り、大きな玄関ポーチの中に入って荒れ放題の屋敷をしばし望見した。
しかし何となく落ち着かない、何かに見られているような感じがする。じっと見ている視線を感じるのだ。思わず隣の友人を見た、同時に向うもこっちを見た。少し青ざめている。総毛立つ、とはこのこてあろう、まさに身震いする気分で大急ぎで屋敷を出た。暑中見舞いの度に、今でもその薄気味悪かったことを話す。
俳優の草刈正雄の先祖は佐世保の人と聞く。以前、その先祖の屋敷跡近くの会社に勤めていたことがあった。昼休みにそこここ散歩する内にその荒れ屋敷の門と思しきところから道が一本真っ直ぐに伸びて前方の小高い丘に通じていることに気がついた。その道を歩くとやがて石段を登り、木立の中を潜って広い墓地があった。そこに巨大な墓が三基、比較的小さいのがいくつかあって鳥居めいた石造りの何かがあった。これは珍しいものがある・・と昼休みにはよく散歩がてらそこに行った。
しかしある日、その墓石が自分を見ているような感じがし出した。昔のあの山歩きの時の経験と同じだ、同じ感覚に襲われた。ジーッと見つめられていると言う気味の悪さ、そそくさとそこを後にして二度と行かなくなった。
しかし何となく落ち着かない、何かに見られているような感じがする。じっと見ている視線を感じるのだ。思わず隣の友人を見た、同時に向うもこっちを見た。少し青ざめている。総毛立つ、とはこのこてあろう、まさに身震いする気分で大急ぎで屋敷を出た。暑中見舞いの度に、今でもその薄気味悪かったことを話す。
俳優の草刈正雄の先祖は佐世保の人と聞く。以前、その先祖の屋敷跡近くの会社に勤めていたことがあった。昼休みにそこここ散歩する内にその荒れ屋敷の門と思しきところから道が一本真っ直ぐに伸びて前方の小高い丘に通じていることに気がついた。その道を歩くとやがて石段を登り、木立の中を潜って広い墓地があった。そこに巨大な墓が三基、比較的小さいのがいくつかあって鳥居めいた石造りの何かがあった。これは珍しいものがある・・と昼休みにはよく散歩がてらそこに行った。
しかしある日、その墓石が自分を見ているような感じがし出した。昔のあの山歩きの時の経験と同じだ、同じ感覚に襲われた。ジーッと見つめられていると言う気味の悪さ、そそくさとそこを後にして二度と行かなくなった。