わたしは、わたしの、とおい記憶の中から、わたしをよんだ
すると「ここはどこ?」とたずねてきた
「もう40の貧弱な体をした、わたしだよ
小さなベランダで花と猫と戯れて桜がもうすぐ散る風景を遠くからみてるの」
「そう」とわたしはこたえた
わたしの、とおい記憶のなかのわたしがいう
「おはなの中をいっぱい走った、畑からきゅうりをもぎった。ミーとあそんだ。シロの背中にのった。桜がとても、すきだった」
「散るさみしさを、まだおぼえてるんだね」
「むねがキューっとくるしくなるよ」
「ずーっと同じことをまだ感じてるんだ」
「そっか、へへ」
とおい記憶のなかのわたしがわらってる
40のおばさんもわらった