ふんわり夜空に浮かぶ月が海に入りたくておりてきた
月はプカプカ海に浮かぶと海は黄色のひかりに照らされ
お魚もいそぎんちゃくもコンブたちも目が覚めて
楽しく踊りはじめます、月は嬉しくながめます
楽しく踊りつかれたら、月も眠くなりはじめ
また夜空へふんわり帰り浮かぶのです
わたしは、わたしの、とおい記憶の中から、わたしをよんだ
すると「ここはどこ?」とたずねてきた
「もう40の貧弱な体をした、わたしだよ
小さなベランダで花と猫と戯れて桜がもうすぐ散る風景を遠くからみてるの」
「そう」とわたしはこたえた
わたしの、とおい記憶のなかのわたしがいう
「おはなの中をいっぱい走った、畑からきゅうりをもぎった。ミーとあそんだ。シロの背中にのった。桜がとても、すきだった」
「散るさみしさを、まだおぼえてるんだね」
「むねがキューっとくるしくなるよ」
「ずーっと同じことをまだ感じてるんだ」
「そっか、へへ」
とおい記憶のなかのわたしがわらってる
40のおばさんもわらった