アヴァンギャルド

アヴァンギャルド

写真を撮った時には全然気が付かなかった。そのまま気付かなければ、幸せだったろうに……。しかしこういう時、由縁ちゃんは、刺々そのままに鋭いのだ。

つかささん、このしやしん、うつけつした、めだまのおやじ、だいぶんしん、ですね♡♡

『鬱血した、目玉の親父、大分身』

もうそれ以外の何にも見えない。

はこだてとらぴすと、ばたーあめ、なめなめ、かにをくわえた、くまの、ちようこくは、あばんぎやるど、な、まりもです。

ドキッ！　びっくりした。
由縁ちゃんの寝言の方が『アヴァンギャルド、な、毬藻』だ。


2017/10/18
15:19 pm

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15:17

15:17

すっかり墨色の濃淡に戻った空の下、弾力に満ちた草原っぱに子どもたちが躍動している。縄跳び、ボール遊び、鬼ごっこ。原っぱを取り囲む雑木林では、幾組の母子がどんぐり拾いに興じていて、彼方此方で歓声が上がる。

まず青が消え、白が消え、眩しさが消えてしまった空の下、まだまだ遊び足らないと、子どもたちは躍動し続けているのだった。

鳥の群れが飛び去っても、子どもたちの去る気配はまだ微塵もない、午後三時十七分の空の下に、わたしも居る。


2017/10/18
15:17 pm

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声

声

声を聴いた。

……待たせてしまった、ね……。
……待ち侘びて、いました……。

それはすぐ樹々のさざめきに掻き消され、幽かな笑い声だけ、残した。

……あははははっ……。
……ふふふふふっ……。

風が巻き日光が揺らめいて、身じろいだわたしの頭上で、秋晴れが抜けている。


2017/10/18
09:13 am

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