V=4/3πr³

詩と物語を紡ぎます

夜の雨

2017-11-30 23:45:00 | poem


     夜の雨



よるのあめ           夜の雨
きりのあめ           霧の雨
ただよって           漂って

ぬれたよる          濡れた夜
ぬれたみち          濡れた道
ぬれたまち          濡れた街

よるのあめ           夜の雨
きりめいて          霧めいて
ふりかかる         降りかかる

ぬれたよる          濡れた夜
ぬれたはな          濡れた花
あかいはな           赤い花

かさはある?        傘はある?
きみはだれ?        君はだれ?
ぬれたかげ          濡れた影

かさはない          傘はない
さっていく         去っていく
ぬれたかげ          濡れた影

よるのあめ           夜の雨
きりのあめ           霧の雨
ただよって           漂って

ぬれたよる          濡れた夜
ぬれたみち          濡れた道
ぬれたまち          濡れた街

よるのあめ           夜の雨
きりめいて          霧めいて
ふりかかる         降りかかる

ぬれたよる          濡れた夜
ぬれたはな          濡れた花
あかいはな           赤い花

ひえたゆび          冷えた指
ひえたせな          冷えた背
いてついて         凍て付いて

あたためる           温める
たいおんの           体温の
こいしくて          恋しくて

たちどまり         立ち止まり
そらあおぐ           空仰ぐ

よるのみち           夜の道



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written,elaborated:2017/11/30

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コメント (2)
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文旦

2017-11-29 21:15:00 | monologue


   文旦

とある路地裏でたわわに実をつけた柑橘の樹と出逢った。暇を見つけて調べると、どうやら文旦というらしい。高知の特産品とか。

デコポンやキンカンは食べたことがあるが、文旦は未知の果実だ。(ふーむ、どんな味わいかな?)となおも調べると意外な事実に行き当たった。



南国特産・ボンタンアメ。大学生の頃ハマっていた飴菓子である。九州・鹿児島では文旦をボンタンと呼ぶそうで、ボンタンアメとは文旦の飴だったのだ。

俄に食感と味が甦る。求肥の弾力満ちた食感と、甘味酸味のバランスも上品な風味。

わたしは文旦の味を知らないながらに知っている、という不思議をも味わう。

当時は駅のキオスク(現在、ニューデイズ)で買えたのだが、今も売っているのかな?


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2017/11/29
22:15 pm
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コメント (4)
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さざんか

2017-11-28 21:51:00 | daily tsukasa


   さざんか

早過ぎても遅過ぎても、わたしたちはすれ違い、【淘汰】されて仕舞う。
どんなに強く、堅く、深く愛し合おうとも、それが【永遠の愛】だとしても例外ではない。

さざんかにできることは、花言葉を生きること、なのです。


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2017/11/28
15:56 pm
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羊、大休暇

2017-11-26 16:20:00 | daily tsukasa


   羊、大休暇

めえめえ、めえめえめえめえ。
この二、三日ふと羊の声を聞いた気がしたのは、気のせいではなかったのだ。

めえめえめえ、めえええめえ。
空を渡るのはただの雲などではなくて、行進する羊の大群大行列ではないか。

みなさん揃ってどちらまで?
三年ぶりのヴァカンスです、ご不便おかけしますが。
ご不便?

めえめえめえ、めえめえめえ。

その意味は直ぐわかった。眠れない。ウトウトしても、スカスカしてすぐ目が覚めてしまうのだ。

これはイカンと羊を数えようにも、夢の世界はすっからかんで羊の姿は何処にもないのだから、どうしようもない。

めえめえ、めえめえめえめえ。

もう直、長い夜の入り口だ。三年ぶりの休暇、羊は何処に行ったのだろう? 南の海で、もこもこの毛皮を脱ぎ、日光浴しているのだろうか?

めえめえめえ、めえめえめえ。

そして、いったいいつ、帰ってくるのだろう?


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2017/11/26
13:26 pm
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Colored Leaves(another version)

2017-11-26 02:55:00 | poem
     Colored Leaves
     (another version)




わたしの中の
季節と時刻が同期して
置き去りに忘れたはずの
訪いを改めて確かめる
血液の色に
開いた瞳の煌きを
分かち合いたかったのは
時計が指差している君だけだ



さらさらと金色の光が降り
さわさわと黄色の葉が降り
戯けた手風琴の調べすらも
哀愁を帯びている晩秋の
黄金色に煌やき照らされた
並木道でつい唇を許したのは
初めて逢った時とよく似た
beaujolaisnouveauの薫りを感じた
……からかも知れないと微笑うと
金色はマーマレイド色に雲を染めて
逆光に表情の隠れた君はわたしを
欲しいと告げて汗ばんだ指を絡めた



文具店の奥
何年かぶりに求めた
真新しい無地のnotebook
そのひと際真白な

第一頁目

にこそ
わたしは徴を刻まなければならないから
パレットに水彩絵の具の青赤黄を溶き
輪郭線も書かずにただ色彩だけを
たっぷり筆に含ませたら一気に走らせて
色を重ねて色を滲ませて色を深めて
幾ひらかのぼやけた黄葉を描き
幾ひらかの滲んだ紅葉を描いて



黄葉の下に余白をとって
君の名を草書で書き記してから



紅葉の下に余白をとって
君の名と綺麗に並ぶ位置に

わたしの名を草書で 刻み 記した



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written,elaborated :2017/11/08〜26

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当ブログの別館、Yahooブログ『ことの葉天氣堂』にて、詩『Colored leaves』オリジナルヴァージョンを公開しております。併せてお読みいただけると幸いです。

Yahooブログ『ことの葉天氣堂』
https://blogs.yahoo.co.jp/tsu81ka7026sa91fjt

詩『Colored leaves』
https://blogs.yahoo.co.jp/tsu81ka7026sa91fjt/15500182.html

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