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詩と物語を紡ぎます

ドルイド尼僧

2020-12-21 23:30:00 | poem
赤黒く錆び付いた
鉄階段の踊り場で
埃にまみれて
渇ききった牛乳瓶と
並んで見上げた
天球の日光に
生命の気配が
希薄だったのは

秋の夜の窓硝子に
モザイク模様を刻んでいた
蛾の葬儀が
ようやく開かれるからだろう




直進する時間
円環する時間
いう相容れない命題について形而上学的見解を論じなさい、Gabriel。

Gabriel?

教授、Gabrielは、二千年前の月曜日に、死にました。

ああそうだった、牛乳瓶に詰めたのだったね、ああ、可愛そうに、Gabriel。






淡い空色の匂いがする
女性《おんな》の乳房《むね》に
抱かれて観たのは
鮮烈かつ不条理な詩篇の羅列と
天球を巡る太陽と月の精神融合とを
伝承する《ものがたる》


ドルイド尼僧の止まない喘ぎ《うた》
だった


――地の時代の終末と
風の時代の始元の
はざまに寄せて



photograghed
2020/10/12 , 11/17 , 12/20
written
2020/12/21

冬季

2020-12-01 00:30:00 | uta

みあぐれば
ふゆのはじめの
さゆるそら
きよらにてらす
けふのもちづき




見上ぐれば
冬季の初めの
冴ゆる天球
清浄に照らす
今日の満月



十一月最後の夜は、
十二月最初の朝に続いている。

すべての夜は、
すべての朝に繋がっている。


photographed:2020/11/30
written:2020/11/30,12/01