私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

問い:「中国の真意を説明せよ」~軍事大国へのススメ!?

2005年09月01日 | 極東情勢(日本とその周辺)
昨日の帰路、自宅付近の選挙用掲示板のポスターを眺めておりましたら、ふと大学受験時の現代文の模擬試験が頭をよぎりました。私の選挙区では、
ア.自民党小泉氏
イ.民主党岡田氏
ウ.社民党福島氏
エ.共産党四位氏
という選択肢が並べられていて、「次のア~エの中から、首相を任せるのにもっともふさわしいと思われる人物を選び、記号で答えなさい」という設問が用意されているという訳です。今回の選挙は政権選択でありながら、実質的には「首相の選択」という色彩が強いものとなっています。
記号選択式の問題で要求されるのは、あくまで「相対的な判断」です。明らかな誤りの選択肢を二つばかり落として、残りの二つを見比べ、「どちらがより適切か」を判断する。正解と思われる選択肢も、細部を見ればやや本文の趣旨からは論理が飛躍していたり、説明が舌っ足らずだったりする部分もあったりしますが、「より傷が少ないものを選ぶ」ということです。その意味では新聞各紙のように「X党のマニュフェストは~だが、Y党も~な部分では説明が不十分だ」等と仔細に論っていては制限時間内に解答は出せなくなってしまう。何だか大雑把な話ですが、そういう側面もあるのではなかろうかとふと思った次第です。

◆日本の軍事力欠如も要因 常任理問題で中国人専門家(産経)

この記事ですと、「この文章から読み取れる中国の真意を50字程度で説明せよ」といった記述式の設問が適切でしょうか。極東ウォッチャーのブロガー諸氏であれば、「憲法9条で60年やってきた日本に、中国再侵略を目論む〝危険な軍国主義国家〟という何の根拠もなく、無責任な言いがかりをつけて反日教育やってきているのは何処のどいつだ!」と怒りを通り越して開いた口も塞がるといった感慨を抱かれるのではなかろうかと思います。憲法9条について言及しているのが興味深いですが、教育の現場等では確信犯的にその存在を秘匿して、「日本は米国と組んで危険な軍国主義を戦後なお継続している」という「愛国教育」という名の反日洗脳教育がなされているのでしょう。
「軍事力強化によってのみ、平和は保証される」という件はある意味本質を突いたものです。覇権拡大や侵略の野心を抱かない軍事プレゼンスは地域の安定に貢献します。中露軍事演習に関して、中華民國(台湾)の蔡明憲・国防部副部長は、
「台湾は日米、および東南アジア諸国と、安全面で連携を図り、協力し、台湾海峡の自由通航、無害通航を確保したいと望んでいる」
と述べていますが、仮に日本が日米同盟の相手方として、マラッカ海峡~千島海峡辺りまでを防衛できる程度の軍事プレゼンスを拡大すると宣言したら、台湾は真っ先に歓迎してくれるでしょう。
もっとも、ここで中国が言うところの「軍事力強化」というのは、自国の平和を保証するために他国を威圧するという外征的要素の軍事力であり、先日行われた中露軍事演習、及び急速な軍拡の正当性を主張する意味合いが強いものと思われます。
さてそこで、この専門家の真意ですが、「日本は軍事力がないために常任理事国としては適任ではない。従って常任理事国入りを目指すのであれば、それに見合うだけの軍拡をすべきである」という「軍事大国へのススメ」なのでしょうか? 私には到底そうだとは思えません。(当然のことながら、この報道は「検閲」を経て日本に流れて来ているわけです)
これまでの言動から考えると、中国は日本の軍拡や日米同盟の強化を阻止したいのは間違いないところでありますから、この文章の要旨としては、
「国連の常任理事国として強大な軍事力を保有する中国こそが地域の平和を保証する国家であり、アジアの盟主としても適任だ」
---日本への牽制と、ASEAN諸国辺りに日本と中国を対比させる形で優位性と正当性を示し、睨みを利かせているといったところではないでしょうか。

ある意味、地域の安全保障という観点を顧みず一国平和主義と米国の核の傘の下で惰眠をむさぼってきた大国日本の姿こそが、極東の不安定要因の一因となっている側面も否めません。東南アジア諸国にしても、日本が「頼りない」存在であるが故に中国の顔色も伺わないといけないという事情があります。先日FTA締結のために来日したタイのタクシン首相が、日本の常任理事国入りに支持を表明しつつも、中国との関係改善への期待をにじませていたのもその表れでしょう。
2月の「2+2」では、それまでの「周辺事態」というぼやけた表現から一転して、台湾海峡と朝鮮半島を日米安保の共通戦略目標として具体的に名指しするに至りましたが、日本が、何を、どこまでやれるのか、そのためにどのような手続きを踏んでいくのかが今ひとつ見えてこないもどかしさは否めません。
ここで腹を決めて中国の覇権拡大阻止に積極的に動くか、それとも中国の覇権拡大を手をこまねいて傍観し、いよいよ尻に火がついたところで「中共からの大東亜解放」という塩梅でまたまたアジアへ出向く羽目になるのか・・・・ある意味日本は岐路に立たされているのではないでしょうか。
9月の声を聞いたところで、中国は「春暁」ガス田の生産開始へと動く模様です。昨年の中国の漢級原潜の領海侵犯に続いて、東シナ海のガス田関係が試金石となろうかと思います。

※写真・・・・平湖ガス油田

局地的なつばぜり合いが起きる位の方が平和ボケした日本人にはよいのかもしれません。

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2 コメント

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苦渋の選択 (喜多龍之介)
2005-09-01 21:09:12
こんばんは。TBありがとうございました。



タイトルの「苦渋の選択」とは、エントリーの冒頭に書かれた

コネズミ自民党か売国奴オカダ民主党か、という所です…。

帯に短し襷に長し。どうやったら、オマエを好きで投票した

わけではない、とあのライオン頭に教えられますかね?



何かと言えば軍靴の音がする、とギャアギャアわめく馬鹿共を

野放しにしている日本…古き良き日本を知るアジアの人々を

絶望させておいて「世界第二位の経済大国たる日本に相応しい地位を」

なんて、全く恥ずかしくて言えませんよね(鬱)。



国防なくして国家足りうるのか…こっちの方を郵政民営化の

茶番より先にやっつける政治家に総理大臣はってほしい

今日この頃です。
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TBありがとうございました。 (クリッパー)
2005-09-02 12:02:33
よく勉強されてますね。こちらからも別の視点から、TBしました。意見聞かせてください。
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