私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

<毒餃子騒動>から汲み取りたい教訓

2008年02月03日 | 極東情勢(日本とその周辺)

小学生の頃、食品添加物の危険性を訴える担任の先生に対し、「注意を喚起すべしという趣旨は理解できますが、あまり神経質になり過ぎると何も食べられなくなりますね。例えば今日の給食も完全に安全であるという保証はない訳ですが・・・・」という見解を述べたことがあります。「食品添加物」を「中国産」に置き換えれば今日の小学校の光景となるのかもしれませんが、日教組のアカ教師らは沈黙を守ったままなのでしょうか・・・・

◆Japan, China scramble to contain dumpling scare(Taipei Times)
◆在日本中国大使館、ギョーザ食中毒事件で談話(人民網)

<The Bureau of Food Sanitation issued a press release yesterday assuring the public that no tainted dumplings have been imported into Taiwan. Meat and meat products from China are not approved to be imported for disease control reasons, the bureau said.>
(食品衛生局は、汚染された餃子が台湾に輸入されていないことを国民に保証するという趣旨の声明を昨日発表した。中国産の肉ならびに肉製品は、疫病隔離の点から輸入が承認されていないという)

中国産毒餃子の一件は、台湾や韓国といった近隣諸国でも関心を集めているようですが、WHOへの参加を不当に阻まれているだけに、台湾の「自己防衛」はシビアだなといささか感心した次第。中国国民党(KMT)の馬英九氏が、その〝親中性向〟を質す日本のマスコミに対し、「三十余年前は、貴国の〝親中〟ぶりを我々は心配したものですよ」と切り返したことがありました(これは痛いところを突かれたなと苦笑しましたが)が、LT貿易以来の日中貿易のリスクはこれまでも様々な局面で顕在化しています。中国産野菜の残留農薬の問題等はこれまでも散々指摘されていた話ですし、ダンボール肉まんや毒ウナギ事件もありました。平生報道等に関心を払っている層には、今回の一件は起こるべくして起こった話といったところではないでしょうか。(直接的な被害に見舞われた方々にはお見舞いを申しあげます)
もっとも、漠然とした中国産食品への不安が「毒入り危険。食べたら死ぬで!」(この文句が解る世代も私ら位が下限か・・・)の域に達したという事実が今後どう波及していくのかは興味深いところです。日本の消費者心理、とりわけ食に対するそれは世界的に見ても繊細かつ過敏すぎる位ですので、戦略の再考を余儀なくされる食品関連企業は多々あるでしょう。アメリカ産牛肉が問題になった際も、WTOに提訴されれば日本の敗訴は必至(リンゴの検疫か何かでも数年前に敗けてたな)でしたが、合衆国側がそれを手控えたのは、日本の消費者心理を読んでのことだったとも聞きます。〝ガイアツ〟をかけても日本の消費者に受け入れなければ逆効果、という絶妙な判断をメリケンも出来るようになったかといささか感心した次第ですが、「日本の消費者には、調査結果が明らかになるまでは客観的かつ冷静な態度を保っていただきたい」という在日中国大使館の声明を見る限り、連中の日本への理解はまだまだですね・・・・
(「何の根拠もなく無責任だ」と即ギレせず、被害者への見舞いを述べている点は驚きましたが)



ウチの冷蔵庫にも味の素謹製の冷凍餃子がありましたが、同社の関東、中部、九州工場で製造されているこの製品も、原材料のキャベツの一部、にら、にんにくは中国産である由。私的なガイドラインではこの位は仕方ないだろうという判断なのですが、生産拠点を国内に置いている同社も『国内工場で生産している製品の一部に当該会社製「味付けカルビ肉」を加工用原料として使用している事実が判明』したため、「自主回収を実施」(味の素冷凍食品HP)のだそうです。中国の連中には「客観的かつ冷静な態度」ではないと映るかもしれませんが、これが日本の消費者心理を読んだ企業の対応なのだという点を理解する必要があるでしょう。

それにしても、今回の<毒餃子騒動>は様々な側面から考えさせられます。この件を教訓として、四割にも満たない食料自給率と輸入食品頼りという現状を直視し、食糧安保のグランドデザインを再考するいい機会なのかもしれません。十余年前は、米不足に見舞われたこともありましたが、政治リスクや気象変動リスクのマネジメント、安全管理体制のあり方や、国内の生産者を如何に保護・育成していくかといった点も切実な問題です。原油高に苦しむ天草の漁業関係者の実情を報じたローカルニュースを先日目にしましたが、漁業に従事する人間が減れば、魚もまた中国頼みということになり、目方をごまかすべく水を注射された刺身が食卓に並ぶことになります。

<毒餃子騒動>の原因は「中国」という二文字に収斂されるもので、最終的にはうやむやになるんでしょうね。輸入の全面禁止といった強硬措置も、WTO絡みと企業活動への影響面から現実的な選択肢とはなりにくいと思われます。消費者の賢明な行動で生活防衛意識を高め、中国産食品を忌避する「空気」を醸成するのが早計なのかもしれません。

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