私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

米朝「音楽外交」の行方(その二):平壌響、米国答礼公演か

2008年06月30日 | 極東情勢(日本とその周辺)
〝半ライス〟ならぬ〝反ライス(国務長官)〟デモといった抗議活動は報じられていないようですが、何だか韓国市民の「威勢のよさ」のお裾分けにでもあずかりたい気もいたします。あらゆる面で日本の社会全体に諦観が蔓延していると申しますか、時折報じられる陰惨な事件は、そうした鬱憤めいたものが水面に顔を出す瞬間なのでしょうか・・・・
<米国、北朝鮮の交響楽団の受け入れを検討>
中国の武大偉外務次官は23日、北京訪問中の超党派議員グループ「日中新世紀会」代表団(団長=遠藤乙彦財務副大臣)と会談し、「米国政府が北朝鮮の交響楽団の受け入れを検討している」と述べた。北朝鮮は今年2月、米国の名門交響楽団ニューヨーク・フィルハーモニックを平壌に招き、盛大な公演を開催した。北朝鮮はこれに対する答礼の形で、北朝鮮の国立交響楽団の派遣を米国に打診したとみられる。韓国の聯合ニュースによると、同楽団は来年5月にロンドンとソウルでの公演を計画しており、それを続く形で米国のニューヨークで公演する可能性もある。
 また、遠藤団長によると、武外務次官は北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の進展についても言及。調整はすでに大詰めを迎えており、「今週が最も重要な週になる」と語ったという。(北京 矢板明夫)【産経】

2月のNYP平壌公演では、ライス国務長官或いはヒル国務次官補が金正日と並んで鑑賞することも検討されていたようですが、 来年五月という段なら、国立平壌交響楽団のカーネギーホール公演とその手の政治ショー(政権は交代していますが)の実現の可能性は高いでしょう。
一時は一般教書演説で「悪の枢軸」と名指しした相手から、核兵器以外の「不完全な申告」を受領したに過ぎないにも関わらず、その見返りにテロ支援国家指定解除という伝家の宝刀の大盤振る舞いとは、メリケン幕府の凋落ぶりもここに極まれりといった感があります。
「寧辺(ニョンビョン)核施設に限定した放棄」を見せ付ける白々しいパフォーマンスは、とりもなおさず「すべての核兵器及び既存の核計画の放棄」という六者協議の合意事項が反故にされたことを象徴するシーンでもありました。合衆国側は「不拡散の誓約」を最低到達目標と見なしている節がうかがえますが、結果的に「核保有国としての北朝鮮」の存在を既成事実化する装いに手を貸すだけでしょう。

こうした状況について、日経は社説で「北朝鮮の思惑通りの展開であり、日米同盟の基盤を崩しかねない危機である。(中略)ブッシュ政権はイランには厳しく、北朝鮮にはそうでもない。今回の決定は北朝鮮に対する日米間の脅威感覚の違いを見せつけた。脅威感覚の共有は同盟の前提であり、それがなければ日米安保条約は紙切れに近い」と異例の強い調子で非難しています。私自身は、昨年九月の段階で「合衆国の対北政策はよりいっそう融和的になることが予想されます(拉致の扱いで最後まで同一歩調を取ってくれる確証はないと思う)」(記事)と思っていただけに「いよいよ〝不都合な真実〟とのご対面か・・・・」といった感慨でしたが、日本政府の無為無策の責任も重大だと考えます。とりわけ、指定解除前に見せた〝アンサンブル〟の乱れ(安倍vsエロ拓とか下らない連中が舌戦やっているのも「やらせ」かと勘ぐっちゃう・・・・)は米朝双方に誤ったメッセージを送る結果となった感が否めないですね。
もっとも、ブッシュ政権も〝ABC〟(=Anything But Clinton)は日本人拉致被害者以上に「その時の国益」に照らして気にかかっているものと思われます。オルブライト国務長官の訪朝で「時間切れ」となったクリントン政権を凌駕する成果を収めたい思惑──北京五輪の開会式への参加を表明しているブッシュ大統領ですが、このタイミングで金正日との電撃首脳会談あたりを目論んでいる(時間的に国交樹立までは厳しいか)のではないでしょうか。米朝接近、直接対話ですっかり影が薄くなった議長国・中国の顔も立てる形となりますし、「枯れ木の山も賑わい」でひょっとしたら我らが福田首相も混ぜてもらえたりしてね・・・・(何なら今からワシントンに探り入れてみたら?)

合衆国の日本に対する、「引き続き核の傘を提供する。拉致問題も忘れない」という姿勢は今後も堅持されるでしょう。しかしながら、「核の傘と緊急地震速報、どっちが信用できるのか?」という問いを突きつけられたら、私自身は苦笑する以外にありません。あからさまに言わずとも、米国に対する潜在的な疑義には根深いものがありますし、その意味で「私たちはブッシュ大統領に問いたい。あなたは太平洋の対岸にある最も重要な同盟国を失うきっかけとなる決定をした大統領として歴史に名を刻みたいのですか、と」という日経の怒りの社説は印象深いですね。

何れにせよ、「踏まれても 踏まれても ついて行きます 下駄の雪」という現状からのレジーム脱却を見せる意志がないのであれば、もはや日本は脳死状態と言っても過言ではありません。


中国はジャーナリストにとって世界最大の監獄 国境なき記者団



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