私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

日中の厳しい残暑(その2)~中露大規模軍事演習の余波

2005年08月24日 | 極東情勢(日本とその周辺)
中国が軍の近代化へと体質転換を図るきっかけとなったのは90年の湾岸戦争であったとされています。湾岸戦争で米軍が採用したハイテク戦争の形態は、中共に「量」から「質」へという新たな戦略形式へと方針転換させるに至りました。軍備の近代化それ自体はさほど問題とはなりませんが、中共の場合はその「規模」と「意図」に対する脅威は高まる一方です。軍備の近代化に対する自信の裏づけなのか、軍幹部の過激発言も種々漏れ伝わってきておりますし、「台湾問題で日米を叩き潰す」と公言してはばからないと発言した中国高官もいるようですから看過できません。

◆江沢民軍事路線を継承(産経)
◆中露が初の大規模軍事演習 極東で兵員1万人参加(産経)
◆中ロ合同演習、本格的な海上封鎖・上陸作戦を実施へ(日経)
◆「注意深く見守る」中露の大規模軍事演習で防衛庁(産経)
◆中露軍事演習、台湾外交部長が非難「地域平和に影響」(読売)
◆戦略爆撃機売却を決定か=来月、中ロ国防相が討議(時事)

「平和の使命―2005」と名づけられた(その奇抜なネーミングに噴出してしまいましたが・・・・)中ロ初の合同軍事演習もいよいよ終盤、山東半島や黄海海域で実施された「第3ステージ」では本格的な海上封鎖や上陸作戦などが実施されるなど、誰がどう見ても「台湾侵攻」を想定した演習内容となっております。
この軍事演習は中国側が持ちかけ、ロシアは商売上と強大化する中国との強調という側面から付き合ったものと思われますが、戦略的な共通点としては台湾とチェチェンの「独立阻止」。また六月の上海協力機構の首脳会議で中央アジア駐留米軍の撤退要求を決議したように、大陸東部での結束を目論む点が挙げられると思います。今回の演習は、従来の反テロを主眼とするものから、西太平洋といった広範囲への覇権拡大も思わせるような戦略的な性格が強いものとなりましたが、かつてのスターリンがそうであったように、いざ有事という段でもロシアがそこまでお付き合いすることはないように思います。(そもそも露助の小ずるい性格からしても・・・・)
中華民國(台湾)の陳唐山・外交部長が指摘しているように、この演習は「台湾問題に手を出すなという、米国や日本への中国の警告」であることは疑う余地がありません。しかしながら、台湾が好きとか、嫌いといった問題ではなく、台湾は日米共に戦略的な要衝であり、96年の台湾海峡危機の際は日本のEEZ内にも人民解放軍が放ったミサイルが着弾しています。それ以来漁獲高が激減するなど実質的な被害を被っている訳で傍観するわけにはいきません。ヒトラーに宥和政策という「誤ったメッセージ」を送ったチェンバレンの愚を繰り返してはならないということです。

人民解放軍が実際に台湾を侵攻するという段だと、「日米安保発動」に伴う日米の軍事的介入を如何に排除するかということが争点になるのではないでしょうか。その場合は「時間」が最大の要素となるでしょうし、必ずしも全面的な台湾攻撃である必要はありません。手間と時間がかかる殲滅戦や消耗戦は日米の介入を招く可能性も高まりますし、中共にとって得策とはいえないでしょう。海上封鎖ということならば台湾海峡の全面封鎖というより、南シナ海といった遠方から台湾を封じ込め台湾を兵糧攻めにするとか、限定的な局地戦で西岸域に上陸して情報・通信系等を遮断し、スパイを投入して情報を錯乱させる等して抵抗意志をくじくといった方法も考えられます。
米国が台湾海峡に介入する場合でも、限定的な武力投射に止まり、大陸本土への攻撃はおろか中国の領海内にも入らないでしょう。日米を排除するという観点からは、台湾と尖閣の二方面に侵攻をかけ、日米を尖閣に足止めするという手段を取るかもしれません。
どうする、どうなるのかは予測がつきかねる部分も大きいですが、日本への影響は必至だということと、関東大震災Ⅱや東海沖地震と同程度の可能性であるという認識に立った上で対策を立てておく必要があるのは論を待ちません。

※写真・・・・中ロ合同軍事演習に参加するロシア太平洋艦隊の海軍兵士

◆李外相、「中国外交は世界平和の擁護や共同発展の促進に貢献する」(CRI)

こういうのを「チャイナ・ジョーク」というのでしょうか?

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1 コメント

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日本にはどうのこうのと言う中国だけど (ボッケニャンドリ)
2005-08-26 17:18:34
 靖国参拝や日本の社会科の教科書、これらに中国は「日本は軍国主義になる兆候だ。」などとしきりに文句をつけてくる。



 文句を言われるたびに日本政府はただただ一方的に謝ったりするけど、実際に軍備をしきりに拡張したり隣接地域に侵略したりしてる事を何故中国に言えないんでしょ。



 北朝鮮のような今にも倒れそうな国でさえ手を焼くというのに元気な中国がこんな風ののさばるのは心配だ。やがて第二のソビエトになることもありそうだ。
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