劇場公開時、なんだかんだで見送ってしまったダーク・ナイト。
暗いとか、重いとかいう世間の評価もさることながら、一番の壁はビギンズでした。
あのニンジャ世界やクリスチャン・ベイルのバットマン見たあとでは…
と、二の足を踏んでいたのですが、やはり同様の理由で見送っていた友人ナージャがなぜか購入&絶賛のサントラを聞いているうちに、やっぱり観たいよ!熱が上り詰めてしまい、Amazonでクリックしてしまいました。
以下、ネタバレ感想につき、未見の方はご注意ください。
ネ
タ
バ
レ
警
報
発
令
中
面白かったです。色んな意味で。
一言で言うと、アメリカ人まっしぐら、という映画だったような。
オレたちはDark Knightなんだ!って、カタルシスあったのではと。
悪気はありません。今までKnight in shining armor(正義の味方)だったはずの母国が、最近ではぐんぐんグレイな?存在になっていて、色々とジレンマが多いのだろうと思います。生来のテロリスト、ジョーカーはアメリカ人が抱いているであろう様々な疑問を代表していたのかも。アメコミ・ヒーローのバットマンに向かって、self righteousness(独善的)といいきってしまう辺りは、自虐モードまで感じてしまいました。正義全開だったデントが、恋人の死でイカレてまっさかさま…というのも、昨日の友は今日のなんとやらで。とにかく、彼らのストレスがこの映画で少しでも発散できたのなら、祝福あれ、という感じ。
アメコミ映画化なのに、この暗さは何?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、60、70年代ならいざ知らず、80年代以降のアメコミは結構シリアス路線全開で、大人の鑑賞?に堪えるものもあります。そっち方向で観ると、かなり原作を意識して作られているのではないかと。もちろん、バットマン→リターンズ、その後に続くオリジナル?シリーズの色合いとは違っていますが、同じものを焼きなおすなら作らなくていいではありませんか。アメコミが勧善懲悪のお気楽ヒーロー話だったのはもう昔のことなのです。
てなわけで、個人的にはこのダーク・ナイト、結構気に入ってます。
アメコミ原作ものではシン・シティーの次に気に入ったかも。
最近のウルヴァリンや、いつぞやのデアデビルなんかも、このノリで作って欲しかったなあ。
映像面ではIMAXを使った、特撮やアクションシーンがやけにリアルで、かっ飛んでるアメコミというジャンルにおよそそぐわないような気もしますが、それはそれでまた楽しめました。懐かしいシカゴの街や、バットマンが草薙素子ジャンプする香港の合成シーンなんか、結構面白いです。
オヤジファンとして堪らなかったのは、ゴードンがバッチリ活躍してくれたこと。カッコいいよ、ゴードン。冒頭から暗~い流れだったので、最初はゴードンがマジ殉職したのかと思った自分が痛いです。(笑
とはいえ、レイチェルを吹っ飛ばしてしまったのには正直驚きました。今回のレイチェルはルックス的にスター・ウォーズのレイア姫系(またはスパイダーマンのMJ系)ミスキャスト臭がしていたのですが、いなくなってしまうととたんに惜しくなりました。
ミスキャストといえば、個人的なキャラ・イメージでは、殆どのキャスト、中でもブルースがどうしようもなく違和感炸裂だったのですが、もうこうなったら脳内フィルターかけまくりの妄想補正マックスで視聴。なんとかなるものです。クリスチャン・ベイルも皮を被ってしまえば、声がステキで気にならないし。
ブルースとレイチェルの関係といいますか、レイチェルはデントじゃなくて自分を愛していたと最後まで勘違いしていたブルースは、真っ暗なこの映画の中でクスッと笑えるワンポイントだったように思います。アルフレッドがレイチェルの事実上の遺書を焼いてしまったので、ブルースは永遠に悶々とするネタにことかかなくなりました。(笑
重い→切ない→複雑なカタルシス、のいわば長い2時間半でしたが、視聴後の気分は意外とスッキリです。ラストシーンでは、フィジカル/メンタル双方からの攻撃で疲れた目を癒す涙もひねり出すことが出来ました。テンパり続けるBGMも相まって、体育会系映画?みたいなとこも何気に気に入ってます。(爆
最後にナージャ、いつもネタの提供をありがとうございます。m(__)m