ツメレンゲについては何度も触れてきた。『秋の花百選』(山と渓谷社)によると、ベンケイソウ科のこの花は、日当たりのよい海岸の岩場や屋根の上、野山の岩などに生える草で、花茎が伸びるまではロゼットになっている、という。今まで触れてきたツメレンゲは、石垣の合い間に茎を伸ばしているものであったが、ここで紹介されているように屋根の上に生育しているものもある。写真はまさにそんなものを撮影したものである。真新しい瓦屋根に生育することはないが、古い建物の、少し土が隙間に溜まっていたり、苔がつき始めたりすると、そんな場所に茎を伸ばしていたりする。この写真の場合、瓦がセメントで造られたもので、以前はセメン瓦といわれてよく利用されていた。今ではこんな瓦は製造されていないのだろうが、かつては安いということもあってこうした瓦が使われた時期があった。とくにそんな瓦屋根を注意深くみてみると、ツメレンゲの姿を見ることがある。
この写真のツメレンゲは、下伊那郡松川町の天竜川宮ケ瀬橋の生田側に渡ったところに咲いている。この宮ケ瀬橋を利用することが多く、川西から川東に渡る際に、ほぼ正面左より小さな建物があって、その建物の屋根に咲いているのである。急カーブの外側の道沿いに建物が面しているため、目にしやすい場所にある。だからもう何年も前からこの建物の屋根にツメレンゲが咲いていることは認識していた。ところが、ことしはその姿がなかなか運転しながら見えないので、どうしたのだろうと車を止めてわざわざ確認してみた。株の数は明らかに減っているが、数株を確認した。割合日当たりの悪い場所で、まだ花が咲くまで至っていなかったが、建物の北側の屋根まで観察してみると写真のような少し花が開いた株があった。数年前は道端の屋根にたくさんのツメレンゲの姿が見えていたが、減ったのはどういう影響なのだろう。本来なら日当たりのよい場所に咲くのだろうから、環境からいけばあまり良好とはいえない場所なのかもしれない。1から3年の生育後に花が咲くというから、毎年同じように咲くわけではないようだ。
■ニョキニョキとツメレンゲ咲く
■ツメレンゲ咲く
■道端のツメレンゲ
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