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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

それは〝村〟の方針

2018-12-12 23:22:02 | 地域から学ぶ

 三度目の「崩れた畦畔」ヘボイ住民で触れた農地の災害復旧の査定が先月行われた。35メートルにも及んで崩れていることもあって、復旧額は当初見込み500万円ほどだった。申請するにあたり、義弟のところ(農地の所有者は義弟)に役場の方が訪れて確約書にサインをしたが、負担額を聞いて愕然としたようだ。「いいよ、俺が払うから」とわたしは口にしたが、この村の場合補助残の80パーセントを地元で負担しなくてはならない。通常国庫補助額は50パーセントのため、最大地元負担は、50パーセントの80パーセントだから40パーセントとなる。したがって500万なら200万円を負担しなければならない。わたしもこの村の補助額を認識していなかったが、周辺他村のことは耳にしていて、もっと安いかもしれないと事前に話をしていたことがいけなかったかもしれない。とはいえ、もしかしたら村の負担が少ないことも考えられ、200万負担も「ありかも」とは想定していた。そうしたら事実200万だったというわけだ。

 あらためて今回郡内で災害の発生した市町村の負担額を聞いてみると、補助残の30パーセントという村が最大で、80パーセントは突出している。30パーセントとしても事業費の最大15パーセントとなるから、75万円ということになる。今回はわたしの働いている上伊那でも災害が発生していて、補助残10パーセントというところが比較的多く、50パーセント超えというところは聞いたことがない。実際のところ全国を見渡すと、本当かどうかは実際その市町村に聞いてみないとわからないが、自治体の補助率ゼロというところもあるようで、まだ10パーセント村が負担してくれるだけ「ありがたいと思え」と言われると、そうかもしれない。しかし、わたしも災害復旧に関わっていて、とても迷惑な話が、災害復旧申請をするといっていて、復旧額に対する負担額を聞いて(今回義弟のところに確約書をもらいに来たような例)、「申請しません」と降りるケース。すでに手続きを進めているから、事前に負担額の話を地権者にしていればもっと早い段階で「災害にはあげない」という判断がされるわけだ。ようは補助残に対する自治体の補助率をみれば、「この村は災害がたくさん出ても災害申請は行わない」と推定できるわけだ。

 35メートルにも及んで、それも高さ5メートルを超える畦畔が崩れているから、いいかげんな復旧はできない。選択として自力復旧もあるだろうが、まだ6割の補助をもらえて、しっかり復旧できるだけ「マシ」と思った方が良い、ということで今回負担は大きくても災害復旧申請を行ったわけだ。妻に言わせると自分の生まれた村だからなのかもしれないが、「ひどい村だ」と言う。確かにこの補助率では、崩れた畦畔を直そうという農家はいないだろう。もちろん激甚災害のような大災害の際には、国の補助率が高くなるため、補助残80パーセント負担でもわずかな金額で直せる。事実平成25年には、この激甚に該当して復旧した農地がこの村にはいくつかあった。しかし、通常の災害で、この村で農地を復旧する動きはほとんどない。当たり前だろう、この負担額では申請したいと思っても躊躇してしまう。

 妻の憤慨はまだ続く。たまたま役場を訪れた際、顔見知りの村役場のトップに会った際に、負担が大きいと愚痴をこぼしたようだ。するとその方、「よくこんな負担額でやるね」などと言われたという。愚痴る妻に「そもそも農地を守ろうなどと思っていない村なんだよ」と諭した自分がいた。ただし、査定後の実際の事業費は500万は大きく下回ったから、200万負担はなくなったが、それでも最大150万くらいが今の見込み。国の補助率が最終的に決まらないと、負担額ははっきりしないが…。


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