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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

千曲市森の自然石道祖神 前編

2024-10-01 23:43:08 | 民俗学

 これまで東信の自然石道祖神を見てきたが、実は自然石道祖神は北信域にも多い。小布施町の自然石道祖神について先ごろ触れたところだが、長野市には自然石のみを祀って「道祖神」としているところが多い。特徴的ではないかと思われた千曲市森を訪ねてみた。

 

千曲市森石田理髪店西 自然石道祖神(令和6年8月21日撮影)

 

 森はあんずの里として知られているが、集落の真ん中を沢山川が北進して流れている。ようは北が下流で、南が上流となる。したがって集落の入口は北側にあるということになるが、千曲市中心から森に入り、北寄りの住宅密集地内の三叉路に道祖神が祀られている。石田理髪店という店の西側に建物の土台に沿って道端に並べられている。そこそこ大きな石のため、通行に邪魔かもしれないが、この石を道祖神かと聞いても「解らない」と答える人は多い。事実理髪店の方に聞いても不明であった。見ての通り、「二十三夜」2基とともに無銘の石がふたつ並んでいる。この二つが道祖神である。実は東信境から長野市あたりの自然石道祖神は、こんな感じの石碑が多い。これまで扱ってきた自然石道祖神と言うと、ゴツゴツしたいしだったり、溶岩風のものだったり、また伊那市内のもののように緑色の石だったり、特殊な石であることがほとんどだった。ところがここの道祖神を見ると、ほかの石碑と石質も似ていれば、まさに石碑の形をしていて、ただ無銘名だけなのである。風化して文字が消えた?、ともいえるかもしれないが、おそらく彫った形跡はない。裏を返すと、いまから「道祖神」と彫っても彫れないことはないということになる。

 この理髪店の横にある道祖神は、北西の中村池のあたりにあったものが、道路の拡張のためここに移されたのだという。

 

更埴市森岡森集会所前辻 自然石道祖神(令和6年8月21日撮影)

 

 さて、ここから南西400メートルほどのところにやはり大きな池がある。その脇に「岡森集会所」がある。その前に変則な四つ角があるが、集会所側の辻隅にやはり自然石道祖神が立っている。前述のものより小ぶりであるが、「文字が彫ってあるのでは?」と見てみるが、刻銘らしきものはない。前述のものほとせ石碑っぽくはないが、これらも「道祖神」と彫って彫れないことはない。そしてこれらも花崗岩系で、珍しい石ではない。

 このように、このあたりの自然石道祖神は、これまでの傾向とは少し異なる。

続く


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