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Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

紙の地図からパソコンの地図へ 前編

2025-04-06 23:46:05 | つぶやき

 『地図中心』630号(令和7年3月号 一般財団法人日本地図センター)では、「令和も読図は紙の地形図か?!」を特集している。卜部勝彦氏は「おわりに」の中で「本稿では、中学・高等学校の地理教育で、1人でも多くの生徒に「紙の地形図」の実物に触れてもらい、地域の理解につなげることを目的」にしたと記している。冒頭では地形図の愛好者を自負するものの、PCやスマートフォンの画面を介して地理院の地図に触れる機会が、紙のものより多くなっていると本音を記している。

 かつて会社の一角にはマップケースがあって、その大きな引き出しを引き出すと、そこには国土地理院の地図がたくさん入っていた。地域別にクリップ留めしてその中から選択しやすいように管理していものだが、そのケースには2万5千分の1と、5万分の1の2種類が納めてあって、なくなりそうになると、事務方に言って補充していたもの。それほどよく国土地理院の地図を利用した。わたしが会社に入ったころには、すでにコピー機が流通し始めていたが、初期だったこともあり、そのころも地図を裁断したりして設計書に「位置図」として添付していたものだ。その後コピーが当り前になると、地図をコピーして添付するようになって減る速度は落ちたが、昔は本当によくこの地図を本屋に注文していたものだ。さらにPCにデータとして取り込むようになると、実際の紙地図を裁断して利用することはなくなり、スキャンするようになったが、さらにデジタル化するようになると、加工が楽になった。それもわずかな期間で、今は前述されているように、ネット上にある国土地理院の図を利用するようになって、紙ベースの地図はすっかり使わなくなった。もちろん会社からマップケースも、いつの間にか消えた。手書きで図面に線を引いていた時代から、コンピューター上でマウスを使って線を引く時代の違いと同じで、紙媒体は一気に消えていった。

 国土地理院の地図は、柾判と言われ、580mm×460mmという今では特殊な大きさのものだった。卜部氏は「画面サイズがA4判(292mm×210mm)に近い14インチのPCで地理院地図を閲覧する場合と、柾判の「紙の地形図」を利用する場合とでは、明らかに後者の方が一覧性で勝る」と言っている。一覧性とはひと目で全体の情報を見渡せることという。紙の方が全体を見渡すには視界性が良いということは、歳をとるほどにそう思うもの。というか、紙地図に目を通さない現代人の視覚に何が入っているのか、あるいは入れば良いのか、といったところが既に違うのかもしれない。以前キャドで線を引く際の手法について、手で線を引くことを知らない若者は、まったく違った世界で線を引いているのではないか、ということに触れた。紙媒体が遠ざかる今、紙地図のことに触れながら、少し考えてみたいのは、そもそも民俗地図ともかかわるからだ。

続く


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