Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

人災

2024-06-29 23:36:40 | 地域から学ぶ

 先週18日だっただろうか、妻が家に帰ってきて、「帰りがけにお宮の坂を下りてきたら、洞の中が湖のようになっていた」と言ったのは。その洞はそれほど大きなわけではないが、村道の暗渠の上流側に幅15メートルほど、高さで4メートルほど、奥行きは30メートル以上あるだろうか、ポケットがある。そこが湖のようになっていたということは、1000トン以上の水が溜まっていたということになるだろうか。先週末、草刈に出かけたついでにその洞を確認してみると、村道の暗渠であるヒューム管が、口元は半分ほどだが、中を覗くと下流側の明かりは見えず、途中でほぼまんぱいに土砂が溜まっているようだった。口元は勾配が緩いが、下流側はけっこう急にヒューム管が布せられている。したがって緩い区間の土砂を、下流側へ流してしまえば溜まっている土はなくなると思うのだが、これを地元の人たちでするのは無理で、消防のポンプなど利用して水撃で流さない限り、容易に土砂を除くことは困難と見た。我が家には区の役員がいるので、そのように伝えたのだが、区を通して村にそのことが伝わっていたのかどうかは不明である。

 ところでこの土砂がなぜ溜まったのか、推測すると、この洞の村道側の法面は近年何度となく崩落していて、そのたびに土建業者によって直されていた。もちろん推定であるが、法面が崩落したから、その土砂がヒューム管の中に溜まっていたと推測するのはふつうの推測。法面を直した際に詰まっている土砂を取り除いたという可能性も否定できないが、それほど流域が広いわけではなく、経年で溜まった土と、崩落した土とが相まってヒューム管を塞いでしまった、とはわたしの推察である。もちろん何度となく法面の工事をしているというのだから、竣工後の検査時にこの中を村の関係者が覗いて、その状況を認識していたかは、これもまたわからないことであるが、いずれにしても、一気に詰まったものではない。加えて、法面の工事をした業者が中を覗かなかったとは思いたくない。ようは暗渠の中を覗いて、状況を確認する機会が何度となくあったのに、「放置された」のかどうか。これは一つの問題点であることは、とりあえず置いておくとして、実は、28日の雨でこの村道の法面が見ての通り、「決壊」したのである。申し訳ないが、つい1週間前のことである、わたしが暗渠の中を覗いたのは。そしてこのまま放置すれば、当然このようなことになると推測されたのに、「なぜ放置されたのか」。聞くところによると、この村は災害が発生すると「区を通せ」という。妻が以前直接村に連絡したら、みごとに周囲から批判された。「なぜ区を通さないのか」と。加えて「嫁に行ったよそ者が」と口撃を受けた。そもそも村道なのだから、異変があれば(気がつけば)通行した人が村に連絡する、が当たり前だと思うが…。

 この時代に「よそ者」がまかりとおる村だ。村の人間だけが村には「住んでいる」、あるいは「村の権利者」と勘違いしているムラ。さて、今回何が大問題かといえば、事前に察知して、連絡していたのに、このザマなのである。地域も、行政も、勘違いしている「ムラ」であることは間違いない。

 なお、28日の日雨量は現場で98ミリ程度であったという。これは災害発生雨量を越えているが、繰り返すが、事前に対応していれば発生しなかった「人災」である。さらに妻が「湖になっていた」という日の日雨量は72ミリほどであった。


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