Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ハザ掛け2016③

2016-09-28 23:09:34 | 農村環境

ハザ掛け2016②より

 今でこそ我が家のハザは杭と杭を、そして杭と竿を縛る際にビニール製の縄を使う。我が家に限らず同じようにビニール製の縄を使うのはごく普通だが、かつては藁縄を使った。藁縄とは、稲藁を使って軽くなったもので、今これを使って縛りつけられる人は少ないかもしれない。これだとハザを解体する際には楽だった。藁縄をほどくのではなく、鎌で切っていった。

中川村飯沼

 

 写真は生家のあった飯島町本郷から天竜川を挟んで対岸の中川村飯沼で作られていたハザである。掛けた稲の上に稲を傘のように掛けたもので、ハザ掛け2016②で触れたハザとはワカサの向きがつがうタイプだ。この形式のハザも生家の近在で見られたものだが、圧倒的にハザの方向に向けて掛ける前者が多かった。ワカサによって掛けられた稲への雨水の進入を防ぐわけだが、これでブルーシートの代わりになるのなら、この方が理想だ。そもそもブルーシートを掛けている稲作農家は、それ以前はどのようにしていたのか。

飯島町本郷本四

 

 飯沼の対岸の飯島町本郷本四にあったハザである。ハザを見つけ出すのも容易ではない飯島町にあって、本郷本四は比較的ハザを見ることができる地域である。写真でも解るように、水田の半分ほどは稲刈りを終えているが、残り半分は今もってそのままになっている。倒伏しているだけに早く刈りたいところなんだろうが、なかなか天候が回復しない。ここでもクロスした杭と1本杭が交互に使われている。そして掛けた稲の上に、同じように半割りにした稲を掛けている。竿には竹が使われていて、けっこう竿への負担が大きくなる。台風通過後に、竹竿が折れて垂れ下がる例が、かつてはよく見られたものだ。

 今年ほど悪天候が続くと、早くに稲刈りをしてハザ掛けをした人たちも頭が痛いかも。ようは水田に水がついているということは、地面から湿気が伝わって稲がなかなか乾かないどころか、カビが出やすい状況たろう。そもそも天日で乾かすことに意図があるのに、これではコンバインで刈った方がコメのためには良いだろう。

続く

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