Graceful Distortion

ゲイの管理人が発信する平々凡々な日々の出来事&映画その他興味のある事

孤独な2人

2005-06-06 21:40:24 | Weblog
遂に観てきました。アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた
「ミリオン・ダラー・ベイビー」です。

・・・で物語は・・・

ボクシングの老トレーナー、フランキーは元ボクサーで23年来の
付き合いとなる雑用係のスクラップと、昔ながらのジムを経営
している。フランキーは選手を大切にするあまり、たとえ有望な
選手でもタイトル挑戦を先延ばしにしてしまうため、彼の元からは
次々と選手が去っていってしまう。そんな折、フランキーの前に
女性ボクサーのマギーが現れる。マギーはフランキーの指導を
乞うが、フランキーは女には教えたくないと中々首を縦に
振らない。しかし毎日ジムに通う彼女を見て、フランキーは
練習中の彼女に近づく・・・・。

まあこんなところです。

前半はスポーツ映画のような底辺から這い上がっていく
主人公とトレーナーの二人三脚のお話。後半はある事件を
きっかけに訪れる試練にどう向き合いどう解決するか、
という話です。その解決に向けて2人の頭の中に愛・道徳・
家族・罪・悪・幸せ・偽善・宗教・欲・絆と様々な思いが
彼らをがんじがらめにします。それらからどう抜け出すか、
これがこの映画の核になります。

過去にこのBLOGで紹介した「ミスティック・リバー」同様、
監督のイーストウッドはラストで観客を突き放します。その
後味の悪さを感じる人もいるかと思いますが、でもこのラスト
だからこそ人間の無力さをこの映画で浮き立たせているのだと
思います。

イーストウッドはハリウッドを代表する監督であり、俳優という
イメージがありますが、実は違うんですね。彼は50年代にテレビ
俳優として地位を確立しましたが、その後ハリウッドを干されて
しまい、60年代はイタリアで低予算ウェスタンを中心に活動します。
「ダーティ・ハリー」でアメリカ映画に復帰しますが、その後は
ハリウッドから一線を引いて自分で自分の作品を監督をするなどして
現在まで独自の道を歩んでいます。彼の出演作品でハリウッドらしい
映画というと、「ザ・シークレットサービス」ぐらいじゃないで
しょうか?なぜか他人の監督作品に出演しています。

マギー役のヒラリー・スワンクとスクラップ役のモーガン・
フリーマンはこの作品でアカデミー賞を獲得しています。
ヒラリー・スワンクも良かったですが、ハリウッドで一番実力を
過小評価されていると言われているフリーマンが賞を取ったのは
喜ばしい事です。

さて重い映画ばかり撮っていると思われているイーストウッドですが、
90年代以降もアナログテイストですが、「ブラッド・ワーク」、
「目撃」、「トゥルー・クライム」などの娯楽作品も監督しています。
レンタルビデオ屋で借りる物が無いと思ったときは是非借りてみて
下さい。