Graceful Distortion

ゲイの管理人が発信する平々凡々な日々の出来事&映画その他興味のある事

巨大権力との戦い

2006-06-17 14:25:35 | Weblog
アカデミー賞候補になった、「グッドナイト・グッドラック」。

物語は・・・

舞台は1950年代。エド・マローは鋭い切り口と正確で中立な
報道でお茶の間の人気ニュースキャスター。彼らの報道チームに
やがてマッカーシー議員の赤狩りの魔の手が及んできた。日々の
言動、行動、交友関係などに細心の注意を払って生活している
自分達に疑問を感じ始めたマローは、ある日有能な空軍兵士の
家族が共産党員の疑いをかけられ、除隊の危機にあるという
記事を目にする。マローはアメリカの今を伝えるべく、この
事件を報道するが、それが、マッカーシー議員との長く過酷な
戦いの始まりを意味した・・・・。

まあこんな所です。

この話、まずアメリカの赤狩りについて良く理解しないと
分かり難い。今のイラクやアフガニスタンの報道規制とかに
置き換えてもちょっとピンと来ない感じ。

同じような話で「インサイダー」という作品がありました。
これはタバコ業界とその告発者、告発を報道するジャーナリストの
長く激しい戦いを描いていましたが、その「インサイダー」と
比べるとこの作品は、非常に淡々と描いていて、何か物足りなさを
感じました。1950年代のダンディズムでも描いているん
でしょうか??熱い物が何も感じられませんでした。アッサリ
しすぎですね。ちょっと残念です。

監督・出演はジョージ・クルーニー。彼の父親は報道マンの為、
小さい頃からマローは英雄だったそうです。彼の監督する作品は
非常に政治色が強いですね。でもアメリカ第一主義ではなく、
広い視野で世界と世界の中のアメリカを見ていると思います。
この部分も父親譲りなのかも。

マローを演じたのはデヴィッド・ストラザーン。どちらかと
言うと悪役を演じる事の多い俳優さんですが、今回は正義の
男、エド・マローを見事演じてアカデミー賞にノミネート
されました。

全編白黒映像で、ジャズの調も雰囲気タップリ。でもそれだけ
の作品。

禁断の恋

2006-06-08 00:07:35 | Weblog
またまた遅くなった映画レビュー。すんません。

さて今回はゲイの映画好きならみんな観たであろう、
「ブロークバックマウンテン」。

物語は・・・

1963年、ワイオミング州ブロークバック・マウンテンの
農場にイニスとジャックは季節労働者として意地悪な牧場主に
雇われた。若く、貧しい2人は対照的な性格ながら、いつしか
お互いが精神的に惹かれ、やがて肉体を求め合う。季節が巡り、
山を降りた2人は別々の道へ。その後2人はブロークバック・
マウンテンの出来事は心に閉まったまま女性と結婚する。
しかし、2人は心の衝動を押さえる事が出来ず、やがて密会を
重ねるようになる。

・・・まあこんなことろです。

この作品、世界中の映画賞を獲得し、アカデミー賞も確実、と
言われていましたが、主要部門は「クラッシュ」に持って行かれ
ました。けっして、その判断は間違えていないと思います。

自分からすると、監督はデリケートな話題を綺麗に撮ろうと過剰に
美しさを強調して演出していたように思います。そこがちょっと
薄ぺっらにみえました。「クラッシュ」はもっとガンガン人間臭さを
出していました。主人公達の息遣い、苦しみというのが、「クラッ
シュ」に比べると足りないように思います。

天真爛漫なジャック役のジェーク・ギンレイホールと、大人しく、
やや影のあるアニス役のヒース・レンジャーは共に難しいキャラを
見事に演じきりました。またアニスの妻役のミシェル・ウィリアムズの
存在感もバツグン。ヴィム・ヴェンダースの「ランド・オブ・プレン
ティ」でも光る演技を見せていたので、今後要チェックの女優さん
です。

監督のアン・リーですが、台湾時代に監督した「ウェディング・
バンケット」という台湾人とアメリカ人にゲイカップルの
コメディがオススメです。もっと人間臭く、最後にホロッと
させられ、ブロークバックより数段良い映画です。